世界への挑戦編
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チームKのキックオフで試合が再開し、ビオレテがデモーニオへとバックパスを出した。
だが、デモーニオは飛んできたボールをスルーし、そのまま膝から崩れ落ちて地面に手をついた。
自分は究極ではなかった、なれなかったとデモーニオは打ちひしがれる。
「力を与えられた者の最期、か……」
「ふっ、脆いねぇ」
彼と同じ境遇であった佐久間と不動が呟き、鬼道は心配そうに眉をひそめデモーニオを見つめていた。
「立つんだ!デモーニオ!」
ビオレテの声にデモーニオは俯いていた顔を上げた。
「デモーニオ!お前はこのくらいで諦める奴じゃなかっただろう!」
「ビアンコ……。でも!オレは……究極じゃなかったんだよ」
「もういいんだ、デモーニオ。こんな力、オレたちには大き過ぎたんだ」
「ビオレテ……」
「戻ろう、デモーニオ。力なんてなかったけど、オレたちのサッカーが出来ていたあの頃に!」
ビオレテの言葉にデモーニオは、でも、でも……と繰り返す。
勝てる力と世界への挑戦権。そりゃあ、手放したくはないだろうなぁ。
「大切なのは勝つことじゃない。全力で戦うこと。そう言ったのはお前じゃないか!デモーニオ・ストラーダ!」
ビアンコの言葉に、デモーニオはハッと口を開いた。
そんな彼の周りで他の仲間たちもそうだそうだと頷いている。
「みんな………」
膝を着いていたデモーニオは立ち上がり、肩に下げていたマントを脱ぎさった。
そして、彼は上を向いて笑っていた。
「ん!鬼道、フィディオ!!ディフェンスラインを固めろ。試合はまだ終わってねーぞ!」
いち早くデモーニオの様子の変化に気がついた円堂が大声で叫けべば、2人はああ!と返事をして動き出した。
「攻めるぞ、デモーニオ!」
「ああ」
先を走り出したビオレテとビアンコの後ろで、デモーニオは付けていたゴーグルを外し、後ろでドレッドをまとめていたゴムを外した。
「行くぞ!みんな!」
「「「おお!」」」
仲間からのパスを受けデモーニオはドリブルで攻め上がっていくのだった。
ピッピッピーと試合終了のホイッスルが鳴り響く。
チームKも最後の1秒まで善戦したが、目に異常をきたしてるデモーニオを仲間がカバーしてだと上手く攻められずに終わりを迎えてしまった。
ありがとう、と、おかげで目が覚めたとデモーニオがフィディオと握手を交わす中、ミスターKがフィールドに歩み寄ってきた。
「総帥……。オレたちは……」
恐る恐る、といったようにデモーニオはミスターKの顔を見上げる。
「オレたちはまた、オレたちのサッカーをはじめます」
「消えろ。敗者に存在価値はない」
自分の行く末を宣言したものの、少し期待があったのだろうか。ミスターKの言葉に、デモーニオは傷ついたような顔をした。
「影山!!」
怒った鬼道の前にデモーニオは手を伸ばし、いいんだ、と首を振った。
いいわけないでしょ、あんな顔しといて。
『いらないんならこちらで彼らを引き取っても問題ありませんね?』
つかつかと歩いて、影山の前で立ち止まる。
「好きにするといい」
その自信はつまり、彼を保護して調べても彼の目を見えなくした原因のプログラムから後ろめたいものは出ない、ということだろう。
『まあ、別にあなたをイタリア代表監督から下ろせるとは思ってませんよ』
後ろが後ろだしね。
アレが影山のバックに居る限り警察だろうがなんだろうが関係ないのだろう。
「貴様は知っているのだから、そうだろうな」
『そうですよ』
私とミスターKのやり取りに、イナズマジャパンの4人は怪訝そうな顔をし、イタリアの子供たちは知ってるって何を?と不思議そうな顔をしている。
そんな中、フィディオが、あっ、と声を上げた。
「約束です、ミスターK!イタリア代表の座はオレたちのものです」
「ああ。イタリア代表の座は君たちオルフェウスだ」
パチパチと褒め称えるようにミスターKは縦に手を叩いて拍手した。
「だが、水津よ、良かったのかね。こんな事に日本代表を付き合わせてしまって」
にやりと笑った影山に、何をと、鬼道と不動が眉を顰める。
影山はきっと、あの時の研崎と同じように私の行動を予測し、裏をかいたつもりなのだろうな。
やれやれ、と思っていたらドタドタと幾つもの足音が駆け寄ってくるのが聞こえた。
「フィディオ!た、大変だ!!」
その声に振り返れば、昨日チームを去って行ったオルフェウスのメンバーたちだった。
「ジョジョ!みんなも帰ってきてくれたのか」
良かったと喜ぶフィディオに、そんなことより!とラファエレがフィディオではなく円堂に近づいた。
「今、知らせがあって!日本とアルゼンチンの試合が今日になったって!もうすぐ開始するみたいなんだ!」
「な、なんだって!?」
驚く円堂の声を聞いてミスターKが、ふははははっ!と笑った。
「お前たちなしで何処まで戦えるかな」
「まさか、影山……!お前が試合日程を……!?」
ふっ、と影山は含み笑いを漏らして、練習場に取り付けられた大型モニターの電源を入れた。
そこには観客の埋まったウミネコスタジアムの様子と、アップをするアルゼンチン代表、ジ・エンパイアと日本代表イナズマジャパンの姿が写っていた。
「そこでイナズマジャパンが負ける姿をじっくり楽しむがいい」
「チッ、
舌打ちした不動も、私の行動の裏を読まれたと思っているみたいだ。
まあ普通に筋書き通りとは思わないよね。チームの主要メンバーを試合に参加させない行動なんて。
「マモル!急ごう!近道を案内するよ!」
『待ちなさい!』
走り出そうとしたフィディオを呼び止める。
「どうして!早く行かないと!」
『間に合わないよ。どう足掻いても』
「そんなこと……!」
試合は毎回ライオコット島の離れ小島で行う。
『フェリーの時間を、この人が把握してないと思えないんだけど』
そう言ってミスターKを見れば、クククと笑っていた。
『ましてや、"安全"に会場まで行けると思う?』
そう言ってブラージの腕の怪我を見る。
「それは……!」
アニメの筋書きならフェリーに間に合わないだけだけど、ゲームの筋書きなら明確な邪魔がやって来る。
「ここで見守るも、ヤマネコ島へ向かうも私は止めはしない。好きにするといい」
『私は、ねぇ』
気配、なんてものは分からないが、恐らく周囲にいるのだろう。
『……。円堂、鬼道、佐久間、不動。私は、貴方たちの身の安全を久遠さんと響木さんに託されているの。だから……
命令よ
この試合に出るのは諦めてちょうだい。