サブストーリー
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久遠監督から出された宿題が終わってない。そういう話をしたら綱海がオレも終わってねぇから一緒にやろうぜと誘われ、断る理由もないから承諾し、宿題を持って集合場所の談話室に行けば、何故か綱海ではなく飛鷹が居た。
談話室の座席のひとつに腰掛けた飛鷹の前のテーブル上には俺が持ってきたのと同じ宿題と筆記用具があった。
「お前も綱海に誘われたのか?」
宿題を掲げてそう声をかければ飛鷹は、ああと頷いた。
「教えてやるから持ってこい、と」
「教えるって綱海が?」
言っちゃ悪いが勉強出来るように見えねぇんだけど、教えれんのか?
そう思っていたら、ドタドタと言う足音が廊下から聞こえてきた。
「わりぃわりぃ待たせたな!」
「テメェ!引っ張んじゃねぇよ!!」
呑気な声で現れた綱海は何故かブチ切れの不動の首根っこを掴んでいた。
いや、掴んでるからブチ切れてんのか。
「よーし!揃ってんな!それじゃ、さっそく宿題やろうぜ」
そう言って綱海は飛鷹が座ってる席に不動を引っ張って行く。
「はあ?宿題!?んなもんこっちはとっくに終わってるつーの」
「おっ、そうなのか!やっぱり連れてきて正解だったな!」
ガハハと笑う綱海に、なんの説明も無しに連れて来られた不動を少し哀れに思いながら俺は飛鷹の隣に座った。
「わりぃんだけど不動、オレらの勉強見てくれよ」
「はあ?なんで俺が。だいたい同学年のコイツらはまだしもオマエ3年だろ」
「まあまあ、細かい事は気にすんなって!」
そう言って綱海は不動の肩を掴んで無理やり席に座らせる。
「いや、細かくねーよ!」
不動が青筋立てて怒っているが、そりゃそうだ。
なんで2年が3年に教えられると思ってんだ。
「つーか、こういう事は俺じゃなくて水津に言えよ」
不動から出た名に、筆箱から出そうとしたペンを落とした。
「アイツなら中身歳食ってるし、教えられんだろ」
「お前それ本人に言うなよ」
最近アイツ、俺らと年齢差あること気にしてるっぽいのに。そう思って落ちたペンを拾いながら不動を睨む。
「おーおー、流石ナイト様」
「はあ!?変な事言ってんじゃねーよ!」
「変かぁ?真・帝国との戦いで、身を挺して庇ってたじゃねーの」
ニヤニヤと笑いながら不動が言ってきて、顔に熱が集まる。
そもそもあの頃はまだ意識して無かったし……!
「あ、あん時はオマエが女の腹蹴ったりするから!つーか、俺はまだアレ許してねぇからな!!」
水津は自分が煽りすぎたからしょうがないって言ってたけど、普通に腹蹴られるの最悪だろ。
「へーへー、ナイト様は怖いねぇ〜」
「だから変な呼び方すんじゃねーよ!!」
「まあまあ、落ちつけってお前ら」
どうどう、と俺を宥めながら綱海は不動の隣に腰を下ろす。
「ま、染岡のためにも水津呼んでやりたかったんだけど、声掛けたら忙しいみたいでよぉ」
「なっ!?」
俺のためってなんだよ。クソッ、あの海の時のせいで鈍感そうな綱海にも知れ渡ってんだよな。
「だから代わりにその辺で暇そうにしてた不動を連れてきたってわけだ!」
「暇じゃねぇよ」
「じゃあ、あそこで何してたんだ?」
「…………」
純粋な疑問、と言うように綱海が真っ直ぐな目で見れば不動は押し黙った。
そしてその後、チッ、と大きく舌打ちをした。
「……仕方ねぇな、教えてやるよ」
「おー!サンキューな!」
結局のとこ暇だったのだろうが、不動が渋々と言うように折れて綱海にさっさと宿題を開けと顎で指示する。
それにつられるように俺と飛鷹も宿題に取り掛かった。
「………、ああ!染岡は姐さんの事が好きなのか」
真面目に宿題解いてるのかと思っていたら飛鷹が急に声を上げたかと思ったら、そう呟いた。
「は!?」
「いや、今更かよ!どう見てもそうだろ」
「そうなのか?」
首を傾げた飛鷹に不動がやれやれとポーズを取った。
つうか、そんなに分かりやすいか俺?
もう殆どのメンバーに知れ渡ってる気がするし、誰か言いふらしてんじゃねのか……。
「それにしても、趣味悪ぃな。マネージャー達もいてわざわざ水津かよ」
「はあ?なんだよ、別にいいだろ」
「ああ。姐さんは気立てがいいし悪くないと思うが?」
素直にそう思うといったように飛鷹が言い、うんうんと、同意するように頷く。
「何処がだよ。アイツかなり性格悪いだろ」
そんなことないよな?といったように飛鷹が俺を見た。
いや、まあお世辞にも水津がめちゃくちゃ性格良いとは俺も思わないが……。
「お前、水津に世話焼いてもらっときながら良く言えるよな」
ぼっちでいるのを見かねてか、水津はよく不動を構いに行く。
正直羨ましいっつーのに。
「頼んでねぇつーの。それに小言がうるせぇし最悪だっての」
「まあ、水津は怒るとおっかないわな!」
「そのくせ自分は隠し事ばっか。良いとこなんて乳がデカイとこくらいじゃね」
ガハハと笑う綱海につられたように鼻で笑いながら言う不動に何か言い返そうとした時だった。
『へぇ〜』
低く唸るように呟かれたその声に顔を談話室の入り口へ向けると、両手で盆を持った水津が立っていた。
「水津!?いつからそこに!?」
『ん?飛鷹が褒めてくれてた所からかな』
にっこりと張り付いた笑みと共に水津は俺らのテーブルの元までやってきた。
こういう笑い方の時は結構怒ってんだよな。
まあ、とりあえず話しを聞かれてたのがそこからで良かったと俺はひと息つく。
「ところで水津何しに来たんだ?忙しかったんじゃなかったのか?」
水津が怒ってないと思ったのか綱海は呑気に話しかける。
『うん。さっきまで秋ちゃんとお菓子作りしてたからね。それで、綱海が勉強会するって言ってたから糖分いるでしょって思って出来たお菓子のお裾分けにきたわけよ』
そう言って水津は持っていた盆の上に乗っていた皿をテーブルに置いた。
「おおー、クッキー!サンキュー!」
喜んで皿の上に乗ったクッキーに伸ばした綱海の手を、ペシッと水津が叩いた。
「いてっ、……なんだよ」
『乳がデカイくらいしか取り柄がなく性格が悪いので、不動と綱海にはあげませーん』
そう子供っぽく頬を膨らませて、水津はクッキーの乗った皿を俺と飛鷹の方へ寄せた。
「そういうとこだろ」
「待て待て!俺は怒るとおっかないとしか言ってねぇよ!」
更に悪態をつく不動と、何故か水から墓穴を掘っていく綱海を見ながら差し出されたクッキーを手に取る。
「へー、お前料理だけじゃなくて菓子まで作れんだな」
『うん。田舎じゃオシャレな洋菓子屋さんはないし娯楽もないしで暇つぶしがてら自分で作るしかないのよ』
「うめぇ」
話しを聴きながらクッキーをかじってみれば普通に美味い。
『ほんと?』
「うまいっす」
隣で同じようにクッキーを口にした飛鷹がそう言えば水津は嬉しそうに、良かったと笑った。
普通に可愛いと思うんだけどな。こうやって料理褒められて喜ぶとことか。
「2人だけずりーよ!水津、悪かったって!その場のノリでつい!」
『もー、しょうがないねぇ。』
結局俺らに甘くてすぐ折れるとことか、いいと思うところたくさんあるんだけどな。
まあ、
ライバルは少ないに越したことはない
水津の良いところなんて俺だけが知ってればいい。
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