世界への挑戦編
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残ったオルフェウスのメンバーは、FWのフィディオ、DFのベント、オットリーノ、アントン、マルコ、MFのアンジェロ、ダンテの7人。
目の前でブラージだけでなくフィディオが怪我しそうになったのを見たせいか、試合中に鉄骨が落ちてきた時の話までしたせいか結構減ってしまった。
「残ったメンバーは7人。このままでは明日のミスターKとの試合を戦えない」
「これで水津チャンの思惑通りになったってのに、なんで止めなかったんだ鬼道クンよぉ?」
「思惑だと?」
ニヤりと笑って言った不動を見て、どういうことだ!とダンテが険しい顔をする。
「ああ、アンタらは知らないもんな。ここにいる水津梅雨は昨日、影山──アンタらの言うミスターKとあってんだよ」
クククと不動は悪い顔をして笑う。
「なんだと!?」
「じゃあさっきマントのヤツを庇ったのは……!」
「そう言えばさっき昔の監督だったって……!やっぱり、奴の手下だったのか!」
せっかくさっき鬼道への誤解を解いたのに、不動のおかげであらぬ疑いをかけられる。
「待て、違う!俺たちは──!」
否定しようとしてくれた円堂の前に腕を伸ばして鬼道が静止させた。
「思惑も何も水津はただ忠告をし、自分達に選ばせた。戦うことも逃げることも選んだのは彼ら自身だ」
鬼道の言葉に、それは……とオルフェウスの面々は黙った。
「まあ、本当に何か思惑あるとするなら、こいつのことだ。選手たちに怪我を負わせないためじゃないか?」
そうだろう?とこちらを見てきた鬼道に、敵わないなと小さく笑う。
『まったく、鬼道は私を聖女か何かと思ってる?違うよ。私の目的はチームKとの試合に、この4人をねじ込むことだよ』
「どういうことだい?」
フィディオが険しい顔をして聞いてきた。
とりあえず聞いてくれる姿勢は有難い。
『私はこの子達のトレーナーなの。彼らのレベルアップの為にキミたちの試合が利用できる。そう思っただけ』
「なんだよそれ!そんな事の為に俺たちのチームが分裂するような事を……!」
ベントが怒って掴みかかろうとしてきた所をフィディオが止めてくれた。そんな彼らの傍で、天使のような見た目のアンジェロがニッコリと笑ってみせた。
「あの人もそうだけど日本人って時々、言葉の裏を隠すよね。それ、ボクたちが引け目を感じないようにわざと言ってるでしょ」
驚いて彼を見れば、図星みたいだね、とまだ笑っている。
「どういうことだよ、アンジェロ」
「簡単な話。この人は、遠慮せずにイナズマジャパンの4人をチームに加えて戦えって言ってるんだよ」
「なんだ!そういうことだったのか!」
ニカッと笑って円堂は拳を握る。
「そんな命令するようなことしなくたって、影山は俺たちのみんなの敵だ!協力するって!それにフィディオ達がイタリア代表じゃ無くなるなんてそんなのはいやだ。フィディオ達とはFFIの舞台で思いっきりサッカーしたいんだ!」
『あー、うん?そうだね?』
なんかもう思ってたんと違うけど、戦ってくれるならいいか?
「エンドウ……ありがとう!それにキミも!」
そう言ってフィディオは私に手を差し伸べてきた。
『え、』
「お前、悪役は似合わないといい加減学んだ方がいいぞ」
ぽん、と鬼道に肩を叩かれ、そうかと諦めてフィディオの手を握る。
その後ろで佐久間が、なるほどなと呟く。
「問題は俺たち、じゃなくて不動だったんじゃないか?」
そう言って佐久間の視線が不動に向けられる。
「さっきもわざとかき乱そうとしてたし、こういう馴れ合いの場にしたら、俺には関係ないとか言って逃げ出しそうだからな」
「ちっ、そういう事かよ」
『ははは、考え筒抜けでお姉さん恥ずかしいよ……。でも、因縁のある影山と戦うことでキミらのレベルアップになるって思ってるのは本当だよ』
そう言ってまっすぐ不動を見つめれば、彼は大きなため息を吐いた。
「はいはい、トレーナー様の仰せのままに」
「それで彼らを連れて帰ってきたというわけだな」
かくかくしかじかと今日の出来事を久遠さんと響木さんに説明し終え、ひと息吐く。
グラウンドを追い出されたということは、宿舎にも帰れないだろうし、もし帰れたとしても何か罠があるかもしれないと、オルフェウスの7人をジャパンエリアに連れ帰って来た。
影山さんの事だ。どこかで監視していて、逃げたメンバーの事は把握しているだろうし、試合に出る気のない彼らを攻撃することはないだろうと願う。
『で、そちらはどうだったんですか?』
イタリア代表の監督の件を調べると言っていた響木さんに尋ねる。
「確かに監督は本日付でパウロ監督からミスターKという男に変わっていた。だが、サッカー協会が把握しているのは日本人男性で過去の経歴は不明という事だけだった」
『まあ、そうでしょうね。あの経歴じゃ普通に捕まりますもん』
「それで、サッカー協会からはミスターKが影山零治であるか調べる為に協力して欲しいと要請されてな。明日、俺と久遠で協会へ向かうことになった」
『まあ、イナズマイレブンだった響木も桜崎中の事もある久遠さんも影山の被害者ですから話を聞くにはうってつけですよね』
そういう事だと響木さんは頷く。
「だが、そうなると明日のチームKとの試合……。お前と選手達で行う事になる」
『そうですね……、今日私が好き勝手したんでどうなるか分からないですけど、子供達の事は私が死んでも守ります』
そう力強く言えば響木さんの手が私の頭の上に乗った。
「頼もしいが、アイツらにトラウマを植え付ける気か?死なずに皆を守ってこい」
グリグリと頭を撫でつけられる。
『もう、言葉の綾ですよー!それくらいの気合いでってこと!』
「それならいい」
私と響木さんのやり取りを微笑ましそうに見ていた久遠さんが口を開いた。
「任せたぞ!」
その言葉に、はい!と力強く返して、監督の仕事部屋を出る。
「あ、水津!」
出てきた扉を閉めたところで、ちょうど良かったと言われんばかりに名前を呼ばれて振り返れる。
『!……染岡。どうしたの?』
「いや、お前まだ来ねぇのかな、と思ってな。その……ほら!人数増えた分、早くしねぇと飯もなくなるだろ!」
『そうね』
どことなくソワソワした様子の染岡に笑って、彼の隣に並ぶ。
行こうぜと歩き出した彼と一緒に賑やかな食堂の方へ向かう。
『イタリアの面白い話は聞けた?』
「ああ!やっぱサッカーの本場は違うな!」
『よく聞いときなよ〜。将来の役に立つからさ』
「そうだな。セリエAとかすげぇもんなぁ」
そう言って染岡は食堂の入口の手前で足を止めた。
彼は、拳を握ってそれを見つめた。
「なあ、明日、影山のチームと試合するんだろ」
『うん』
また、ついて行きたいって話かな……。
愛媛の時も、めちゃくちゃ心配してくれてたもんね。
「俺は……。アルゼンチン戦に向けて全力で鍛える。だから円堂たちの事、任せたぜ!」
そう言って染岡はグッと拳をこちらに向けてきた。
『うん』
こつん、とその拳に自分の拳をぶつける。
『明日は監督たちも居ないし、頭脳派3人も連れてくし、精神的支柱の円堂も連れてっちゃうからさ、みんな……特に1年生たちは不安がると思うんだよね。だから、』
皆のことよろしく頼むね
1番、信頼してるよ。