オリオンの刻印
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フットボールフロンティアスタジアムの選手候補席へと腰をかける。
「野坂さんも見ているかな」
「そろそろアメリカに立つ頃だろう」
私の隣に座る一矢と草加はまっすぐ背筋を伸ばし、発表を今か今かと待ち望んでいる。
野坂と西蔭にも選手候補としての招待状が届いていたけれど、野坂は今日手術の為に飛行機でアメリカに飛ぶし、西蔭は見送りたいと今日は会場へ来なかった。
『………ふぅ』
「緊張してますか?」
一矢が大丈夫?と問う様にこちらを見た。
『流石にね』
「今日、発表ですからね。俺も、ドキドキしてます」
草加は無表情でそう言うので本当かと疑いたくもなるが、表情筋が追いついていないだけで実際には緊張しているのだろう。
解放されたことでサッカー部をやめる子もいるだろうと思っていたのだけれど、皆、サッカーが楽しくて続けたいと言ってくれて、一軍だったメンバーは誰一人として欠けることが無かった。それどころか、アレスの天秤が嫌でサッカー部から逃げた竹見も戻ってきてくれた。
王帝月ノ宮中のみんながサッカーを楽しめるようになって、しかも野坂、西蔭、一矢、草加と4人も候補選手に選ばれて、強化委員としては十分仕事出来たって事でよろしいか?
《みなさん!メインスクリーンにご注目下さい!》
いつもの実況の角馬さんの声が会場中に響いた。
視線を移せば、フィールドに設置されたお立ち台の元へ歩く
《趙金雲監督によって代表メンバーが発表されようとしています!》
日本代表の監督に就任した彼は、円柱状の台の前へ到着すると、おーほほほ、とひと笑いした。
そして、台の上に備え付けられた赤いボタンへと指を伸ばした。
「ポチッ」
その掛け声でボタンが押されると、スクリーンには19人のシルエットが映し出されそれから流れるように選手紹介のPVが始まった。
《FW!豪炎寺修也、灰崎凌兵、吉良ヒロト、剛陣鉄之助》
フットボールフロンティア中の選手たちの活躍シーンが流れ、名前を次々と呼んでいく。
《MF!稲森明日人、鬼道有人、氷浦貴利名、一星充、基山タツヤ、不動明王、野坂悠馬》
よし、と拳を握る。病気の事もあるし外されるかと思ったが、選手に選ばれて本当によかった。
病気を押してまであの試合に賭けていたんだもの。野坂の頑張りが認められて本当に良かった。
《DF!風丸一郎太、万作雄一郎、吹雪士郎、坂野上昇、岩戸高志。GK!西蔭政也、砂木沼治─》
やった!ともう一度拳を握る。そりゃあそう!決勝戦までは無失点のゴールキーパーだったんだからね!!
《キャプテン!円堂守!》
おおお、円堂がキャプテン!3年生だし…、いやまあこのメンツなら円堂だよね!
やったー!と選手候補席から喜びの声や、同じチームメイトを称える声があちこちの席から上がっている。
「水津さん、野坂さんも西蔭も選ばれてましたね」
そう言う草加の顔は少し分かりずらいが喜んでいるようだ。
『うん!自分の事のように嬉しいよ』
「そうですね。でも、その反面悔しいです!俺たちも同じ場所に早く追いつかないと!」
一矢はグッと高い位置で拳を握った。
『そうだね。期間中、選手入れ替えも有り得るそうだし、もっと練習して代表の座奪いに行こう』
「はい!」
やるぞー!と王帝月ノ宮一熱い男である一矢は燃えている。
『おっと、そろそろ時間だ。行ってくるね』
「はい。楽しみにしてます」
「頑張って」
『ありがとう』
2人に見送られて席を立つ。
たった一つの荷物を持って向かうのはスタジアム内の関係者入り口。
道中で、代表選手たちへロッカールームへ集まるようにと放送が流れる。
次期にみんなもここに訪れるだろう。
だけど、一足先にグラウンドで待ってるね。
《代表選手たちの登壇の前に、ここで皆様にお知らせがございます》
入場ゲートで立ち止まって通路の先に見える芝を見て、ひと息つく。
《フットボールフロンティアインターナショナルの開催を盛り上げるため、サッカー協会主催の元、フリースタイルフットボールエキシビションマッチの開催が決定いたしました!》
外からうおおおおと歓声が上がる。
良かった。フリースタイルフットボール?何それって空気にならなくて。
《本日は本戦にて行われるエキシビションマッチに参加する日本代表のフリースタイラーを発表いたします!早速、登場していただきましょう。水津梅雨!》
その合図と共に、フィールドの中央に備え付けられたお立ち台へと走り出す。
道中、観客席に手を振ってファンサービスも忘れずに。
スクリーンには先程の代表選手紹介と同じようなPVが流れている。恥ずかしいな。
トントントンと階段を駆け上がって、お立ち台を登る。
「それでは、水津サン挨拶をどうぞ」
お立ち台の上で待っていた趙金雲がマイクをこちらへ向けてきた。
『はい。改めまして、水津梅雨です。この度、世界の舞台でフリースタイルフットボールのエキシビションマッチをやらせて頂けると聞いて至極光栄にございます!そして、本日、僭越ではございますが代表選手の皆様の登場までの間、フリースタイルフットボールショーをやらせていただきます!』
パチパチと会場から拍手が起きる。
「さっそくではありますが、」
ほっほほと笑いながら趙金雲は、いけますね?と目配せをしてきた。うんと頷けば彼は声を張った。
「それでは、イッツショータイム!」
ぱちん、と鳴らされた指の音と共に、私はボールを天高く蹴りあげるのだった。
やってやるぜ、大舞台
ここから次の幕が始まるんだ。