世界への挑戦編
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年上に対する憧れであって好きとは違う。
水津はそう言ったが、俺は……。
「随分と険しい顔をしてるな。まだ、日焼けが痛むのか?」
ソファに座っていた俺にかけられた声に向かって顔を上げれば、風丸が心配そうな顔をしていた。
「いや、まあ、ちょっとな」
海から帰って火傷状態になった身体を氷で冷やしはしたが、若干のヒリつきがまだあるのは確かだ。
「水津さんに言えば、診てくれるんじゃないか?」
「バカ、医者じゃねーんだから」
「ああ、そうか。つい、怪我をした時の感覚でな」
はは、と風丸は爽やかに笑う。
「まあ、さっき明日の練習に響かせるなって、俺と土方に軟膏くれたけどよ」
「それは流石の水津さんだな」
そう言って風丸は俺の隣に座った。
不意に気になった事があり、口を開く。
「お前、なんでアイツによそよそしいんだ?前はそんなんじゃなかっただろ」
ダークエンペラーズの一件の後、水津の話を聞いて以降、風丸は急に水津に対してさん付けするようになったし敬語にもなった。
「だって、年上の女性だろ?」
「そんなん誰も気にして……」
いや、これに関しては水津本人が1番気にしている。
みんなに、今まで通り好きに接してしていいと言っていたが、そもそも、誰よりも大人として自分と俺たちを分ける。
今日だってそうだ。
「みんなは気にしてないだろうけど、水津さんはやっぱり大人の人だよ。俺は、円堂や木暮、音無みたいに無邪気な子供のようには接せれないし、かと言って鬼道のように対等にもなれないし。だから尊敬の念も込めて敬語をつかってるんだけど……」
「尊敬、なぁ……」
風丸の言いたいことは何となくわかる。
円堂や木暮たちは甘え上手で、水津もめちゃくちゃ可愛がっている。
それに、鬼道は大人びてるからか、水津も意見が合うと前から2人でトレーニングメニュー作ったり作戦会議してたりするし、確かに対等なのだろう。
「まあ、染岡の場合は違うもんな」
ふっ、と風丸は優しく笑う。
「う、うるせぇな。俺だって尊敬はしてるっーの」
トレーナーとして選手の危機を少しでも回避出来るようにとスパイクの事まで勉強してたり、誰が危ないことしたらちゃんと叱ったり、そういうところを尊敬している。
だけど、それだけじゃない。
アイツの実はビビりな所とか、強がりな所とか、心配性な所とか、弱い所を含めて好きだと思う。
「憧れてるわけじゃないんだよな……」
こんな苦しいもんが、憧れなわけないじゃないか。
だけど、本人にそれを言えなかったのは……。
水津も、まだ、その年上のお兄さんというのか好きなのではないか、と思ったからだ。
俺が年上への憧れを否定すれば、水津はやっぱりその人の事が好きなのだと思うかもしれない。だから、本人には言えなかった。
「なんだ、さっきも水津さんの事で悩んでいたのか」
「なっ、」
「また険しい顔してるぞ」
眉間にシワが寄っていると風丸は指さした。
「告白はしないのか?」
「……今したって、フラれんのお前が1番知ってるだろ」
前に、水津に断り方聞かれたって言ってたじゃねぇか。
そう言えば風丸は頭から抜け落ちていたといわんばかりにそうだったと呟いた。
「焦って告白する気はねぇよ」
今の水津には、言っても年上に憧れてるだけだと勘違いされそうだし。
「そうか……。でも、その、アピールはしておいた方がいいと思うぞ」
「アピールって……」
「いや、その……今日、俺は円堂とヒロトと出かけたんだけど……。帰る前にヒロトが水津さんにってお土産買ってて」
説明を始めた風丸の頬は少し赤い。
「お土産って普通、家族とかこの場に居ない友達とかに買うだろ?なのにわざわざ水津さんにって……。俺は勝手にそういうことなんだと思ったんだけど……」
意外と初である風丸が、そう思うほどヒロトの行動が露骨なのか。
「やっぱりアイツも……」
これまでの行動をみればそうだよなぁ。
不動も意味深な事いってたし。
「アピールか……」
本気だって分からせるためには必要かもな。
逆に火がついた
水津の希望とは反対に