世界への挑戦編
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別に下心があったわけじゃない。
ただ、あのナンパ野郎達が水津に触れてるのが許せなくて無意識的に自分の方に引き寄せた。
だからあんな密着してるってのは土方が水津に声を掛けた時にやっと気づいたわけで……。
慌てて離せば、水津は俺から逃げるように、壁山達がいる海の中へ飛び込んで行ってしまった。
ナイツオブクィーンとの交流パーティの時だって、余裕そうに人の事からかって来たくせに、エイリア石のせいでハイになってた時にも、抱きしめたことがあるが、あの時だって水津はなんともなさそうだったのに、今の反応は何だよ。
「流石の水津も照れてたな」
土方が海の方を見ながら笑ってそう言うが、本当に照れただけ、だよな?
「俺、汗臭くねぇ、よな……?」
焼くためにずっと太陽の下にいたし汗をめちゃくちゃかいた。
もしかして、臭かったんじゃないか?それで、逃げるように……。
「くっ、はははは!大丈夫だって!」
土方が笑いながらバンバンと背中を叩いてきた。
「あれはどう見たって恥ずかしがって逃げただけだろ?それよりも、どうだった?」
「どうだったって何がだよ」
「柔らかかったか?」
「ばっ!?知らねーよ!」
「知らないことないだろ?あんだけくっ付いといて」
ニヤニヤと笑って土方はこちらを見てくる。
「うるせー!教えねぇよ!!!」
ナンパ野郎を追い払う事にリソース割いてたから、んな余裕なかったつーの。クソもったいねぇ……。
あの大きいのが当たってたんだもんなぁ……。
海にいる水津を見ると、壁山たちを連れて砂浜に上がってきた。
まだ、頬が赤く見えるのは、まだ照れているのか、それとも焼けただけなのか。
『私と虎丸でみんなのお昼ご飯買いに行ってくるからさ、土方、悪いんだけど綱海呼んで来てくれない?』
後輩たちを連れ戻ってきた水津は俺の方から目を逸らしたまま、土方にそう言った。
「おう、もうそんな時間か」
さっき砂浜に上がってきたのは、それを伝えるためだったのか。そこにあのナンパ野郎が来たと。
「2人で持てるか?俺も」
「大丈夫ですよ!オレ、出前で慣れっこなんで!」
ついて行くと言おうとすれば、虎丸に阻まれた。
『うん。虎丸といれば変なのも寄ってこないだろうしね』
ナンパ避けにとでも言おうと思えば、それすら阻まれた。
『悪いけど、1年生のこと見てて。ずっと水の中入ると低体温症になるから、2人がまた海に入らないように』
「……分かった」
仕方ねぇ。一応、頼ってはくれてるみたいだしな。
『すぐ戻ってくるからよろしくね』
水津は虎丸を連れて離れて行く。
『ほら、虎丸、手繋ごう』
「え、嫌ですよ!」
『でも、迷子になるよ?』
「子供扱いしないでくださいって!」
なんて言いながら2人は、先に進んで行った。
「兄弟みたいで微笑ましいッスね〜」
「でもアレで虎丸のヤツ、したたかでヤンスからねぇ」
俺と同じように2人の背中を見送っていた壁山と栗松が呟く。
「さっきだって、水津さんがナンパされたから戻ってきたって言ったら、すぐに、じゃあオレが虫除けに一緒に行きますよ!って、さらりと言うでヤンスから」
なっ、あのガキ……!前もそう言えば水津の事可愛いって……!!
「染岡、お前顔怖ぇぞ。見ろ、壁山が怯えちまってる」
いつの間にか土方が連れてきたのか綱海がやって来て、壁山の事を指さした。
「ハハッ!染岡はホント水津の事が好きだな!」
快活に土方が笑えば、1年生2人が大きな声で、えっ!と叫んだ。
「染岡さん、そうだったんッスか!?」
「知らなかっでヤンス!」
「なっ、うるせぇな!!悪いかよ!!」
「あの染岡さんが否定しないなんて……!」
本当に?と2人が驚いた顔で見つめてくる。
「へーそうだったのか。まあ、水津、良い奴だもんな!」
分かるぜ、とでも言うように綱海が肩に手を置いてきた。
「優しいッスからね、水津先輩」
「……ああ」
「スタイルも抜群でヤンスし」
「ああ……。じゃねぇ!お前は鼻の下伸ばしすぎなんだよ!!」
「ええっー!無理でヤンスよアレは!」
イライラして栗松のイガグリ頭をグリグリと押せば、これ以上縮んだらどうしてくれるでヤンスかー!と叫んでいる。
「んで、染岡は水津のどこが好きなんだ?」
「な、んで、んなこと答えなきゃいけねーんだよ!」
「いいじゃないッスかー!聞きたいっス!」
綱海の質問に、壁山まで乗っかってくる。
「やっぱ胸でヤンスか」
「ちっげーよ!」
お前と一緒にするなと栗松を叩く。
「じゃあ顔か」
「お前ら人の事なんだと思ってんだよ」
まあ、顔も可愛いと思うけどよぉ。
「じゃあどこが?」
「どこがって、そりゃあ………アイツ、嘘ついたりしてたことを自分の為だって言ったり、俺らから距離取ったりするくせに、雷門サッカー部もイナズマキャラバンも、イナズマジャパンの事も好きなの隠せてねぇ、そういうとこ、とか……」
なんで本人にも言ってないことコイツらに言わなきゃいけねぇんだよ、言い出しっぺの綱海を睨めば、すげぇいい笑顔で笑っている。
「確かにアイツ、オレらの事めっちゃ好きだよな!そう言われりゃあ、そういうとこ可愛いわな!」
なるほどなぁと土方が納得したように呟く。
「問題はそれが平等ってことか」
そう。全員の事が好きだからこそ、水津はみんなを一律子供扱いする。
「そこがムカつくんだよなー」
だけど、今日の反応はちょっと違った気がするんだよな……。
真意は分からないが
逃げられたのが照れただけ、だったならいいな。