世界への挑戦編
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後半戦はイナズマジャパンもメンバーをガッツリ入れ替えた。
栗松、土方、綱海の3人を下げ、不動、佐久間、木暮に変わった。
司令塔が2人になった事で、選手一人一人に事細かい指示が出てDFが減ったにも関わらず無敵の槍を止めることに成功した。
そして、鬼道と不動それぞれを中心とした、2つのグループが目まぐるしくボールを回して、ナイツオブクィーン陣営へ攻め込んでいく。
ボールを持った風丸が不動へとパスを出した。
「染岡!豪炎寺!」
鬼道が上がれ、と言うように2人の名を叫ぶ。
「いつまでも好きにはさせない!」
そう言ってエドガーが不動に駆け寄る。
「今だ!ヒロト!」
エドガーが驚いた顔をする。
不動の蹴ったボールは、ヒロトの足元には飛んでいなかった。
「1メートル右だ!」
鬼道が叫べば、ヒロトは直ぐに調整した。
右に身体を動かしボールを胸でトラップしたヒロトは直ぐにシュート体勢に入った。
「流星ブレードV2!!」
「ガラティーン!!」
ナイツオブクィーンのGKフレディは飛んできた流星ブレードを光の剣で真っ二つに叩ききった。
《得点こそなりませんでしたが、イナズマジャパン見事な攻撃でした》
「凄い!完全にナイツオブクィーンを封じ込めてる!」
立向居はキラキラとした目でフィールドを見つめている。
「鬼道と不動、2人の天才司令塔がいるからこそ可能な必殺技タクティクスだ」
響木さんの言葉にうんうんと頷く。
ジェニミストーム戦でちょびっとだけ、鬼道と共に司令を出させてもらったから分かるけど、鬼道は私が勝手に指示を出しても、意味を汲み取って合わせてくれる。
そして、不動が私とは違うのは、鬼道のそれさえ予測して使ってしまえるところだ。
『別々だった台風の目が、同じ進路を目指して進む』
「言うなれば、デュアルタイフーン!」
決まったとガッツポーズをして目金がタクティクスを命名した。
「虎丸!」
善戦を見せるイナズマジャパン。ボールは不動から虎丸へとパスが繋がった。
「何度来ても無駄だ!」
虎丸の前へランスが立ち塞がった。
くる!と虎丸は立ち構えた。
「ストーンプリズン!!」
複数の岩の柱を地面から生み出したランスは、はっ、として目の前から虎丸が消えたことに気づいた。
「これならどうだ!」
ストーンプリズンの発動の瞬間、ボールと共に飛び上がっていた虎丸は、ランスの後ろに飛び降りて、シュート体勢に入った。
「はっ!」
虎丸の背に7本の短剣がアーチ状に現れる
「はああああ!」
剣の先がゴールへと向く。
「やあ!」
虎丸がボールをシュートすれば、それに追従して7本短剣も飛んでいく。
「ガラティーン!!!」
フレディは手を高くから振り下ろし、ボールを真っ二つにしようとした。
しかし、7つの刃に弾かれて、ボールは彼の後ろ、ゴールネットを揺らしたのだった。
「な、なんっすか今のシュート!」
「虎丸のやつ、あんな必殺技を隠してたでヤンスか!?」
ベンチ前の芝生に座って試合を見ていた壁山と栗松が驚きの声を上げた。
「剣のように鋭くキーパーに襲いかかるシュート……グラディウスアーチと名付けましょう!」
いつものように目金がキランとメガネを光らせた。
『ナイス!虎丸!』
叫べば虎丸はこちらを向いてVの字を見せてきた。
ちゃんと特訓メニューやったって言ってたもんね。えらいえらい!
さあ、虎丸の点で2対2となった。
試合終了まであとわずか、追加点を取った方の勝ちだ。
焦るが故か、ナイツオブクィーンのキックオフで再開だったのに、ボールを早々に鬼道に奪われてしまう。
「勝利は私たちが掴み取る!」
「染岡!」
フィリップとマイキーの2人のマークに鬼道は直ぐにパスをだした。
「よし」
染岡にボールが渡った瞬間エドガーへ自陣側よゴール前へ全力疾走さした。
「行け染岡!」
円堂がゴールから叫ぶ中、染岡はデービッドにフェイントをかけて彼を躱しシュート体勢に入った。
「轟け!ドラゴンスレイヤー!!」
「負けるわけにはいかないっ!代表の誇りにかけて!!」
FWにも関わらず、ゴール前で待ち受けていたエドガーは両手を広げ旋回して飛び上がった。
「エクスカリバーァァァ!!!」
「なんだと!?」
エドガーはドラゴンスレイヤー打ち返してきた。
《信じられません!ドラゴンスレイヤーを直接蹴り返しました!》
《2つのシュートの相乗効果で凄まじいパワーです!!これは止められませんよ》
実況と解説の通り、ドラゴンスレイヤーのパワーに超ロングシュートで威力を増したエクスカリバーは旋風陣でブロックしようとした木暮を吹っ飛ばした。
「どうする……どうすれば止められる……」
ボールは間もなくゴールへ到着する。
心配そうに、冬花ちゃんが手で手を握って立ち上がる。
『大丈夫。円堂ならやれるよ』
きっと、円堂ならもらったヒントで答えに行きつく。
尾刈斗中との戦いのときから、サッカーにおけるそういった勘のよさを見せてきた。
「そうか!止める必要はない!ゴールに入れなければいいんだ!!」
円堂はグッと右の拳を握って高く飛び上がった。
「どんなシュートでも、ゴールに入らなければ得点にならないんだぁああああ!!」
正義の鉄拳と同じように、円堂は拳を強く叩きつけた。
しかし、異なるのは叩きつけた先。正義の鉄拳では、ボールを直接叩いて止めていたが、今回、円堂が叩いたのはフィールドそのもの。
源田のパワーシールドのような衝撃波が生み出され、それは円堂を中心にドーム状に囲いを作り、飛んできたシュートをそのドームに這わせて受け流した。
流されたボールはゴールの遙か上を飛んで行った。
《外れた!?いや、外させたと言うべきでしょうか!?円堂の必殺技が絶体絶命の危機を救いました…!!》
《これは……、驚異的です!!》
実況解説の2人も驚きを隠せないでいた。
「わあ……!!」
キラキラとした目で冬花ちゃんが円堂を見つめていた。
彼女がこんなに表情豊かなのは初めて見たかもしれない。
「やりました!やりましたよ!」
ぱあっと輝かしい笑顔で喜ぶ春奈ちゃんに、うん!と秋ちゃんが力強く頷いている。
「すっげーぞ!円堂!」
「流石キャプテンッス!」
「あんな方法を思いつくなんて!」
「今までの円堂くんのシュートを止める技とは全く違う次元の発想です!そう正しく、イジゲン・ザ・ハンド!」
目金によって命名されたところで、フィールドでは反撃だと言わんばかりに円堂が、ボールを大きく蹴り上げた。
中盤の鬼道へと届いたボールを彼はドリブルで攻め上がる。
「行くぞ不動!!」
「ッ!偉そうに命令すんじゃねぇ!!」
そう言いつつも不動は鬼道に合わせて前線へ上がっていく。
「決めさせはしない!ナイトの誇りにかけて!」
攻め上がってくる2人に対し、エドガーやフィリップなどのFW選手も後ろに下がっての全面ディフェンスを行ってきた。
「豪炎寺!」
「おう!」
「虎丸!」
「はい!」
それでも絶対にボールを届けるといった強い意志で鬼道は2人にゴール前へ上がるように指示を出した。
そして、鬼道は不動と共に上へ飛んだ。
ボールを中心に対面した2人は同時にボールを蹴って回転をかけた。
「「キラーフィールズ!」」
帝国学園のデスゾーンのような禍々しい色をしたボールは渦巻きながら豪炎寺たちの元へ飛んで相手のディフェンス陣を吹っ飛ばした。
「行くぞ!」
「はいっ!」
はああああと虎丸が力を込めてボールを蹴り上げた。
「タイガー」
「ストーム!!」
虎丸のタイガードライブが豪炎寺に爆熱ストームと混ざり合いゴールへ飛んでいく。
「ガラティーン!!」
フレディが光の剣で止めようと応戦するも、炎を纏ったボールは剣を押し返しそのままゴールへと突き刺さったのだった。
そして、試合終了のホイッスルが鳴る。
逆転勝利だ。
やった、やったと一頻り喜んだみんながベンチへと戻ってきた。
『みんなお疲れ様ー!しっかり水分補給して、汗拭くんだよ』
ドリンクとタオルをマネージャーたちを一緒になって渡していたら、褐色の手がスっと伸びてきた。
『ああ、お疲れ。初得点凄いじゃん』
そう言って伸びてきた手の上にタオルとドリンクボトルを渡す。
「へへ、まあな。お前の、特訓メニューのおかげだ」
染岡は照れたように笑ったあとそう言ってきた。
『あ……。いや、キミの努力のおかげでしょうよ』
いつも怖い顔してる癖に、笑うと可愛いのちょっと勘弁して欲しい。
『私が特訓メニュー作ろうがちゃんとやらなきゃ意味ないんだから』
「そりゃそうだけどよ、そんな謙遜しなくたっていいだろ?お前の作った特訓メニューのおかげで強くなったのは事実だしよ」
『うー、まあ、そうだけど……』
「本来は〜とか言うのはナシだからな」
今度はムスッとした顔で染岡はそう言ってくる。
どうにも逃がしてくれないらしい。
「そうですよ!水津さんの特訓メニューのおかげで、オレも飛び越えるの余裕でした!」
染岡の後ろからぴょこっと顔を出して虎丸が笑った。
『……そっか。2人ともありがとうね』
「なんでお前が礼を言うんだよ?」
『……嬉しかったから』
礼を言うのは俺らだろと不思議そうに首を傾げた染岡からプイと顔を逸らす。
「あはは!水津さんって意外と可愛いところありますね!」
『ちょっと、虎丸クン?』
「ああ、そうだな」
『え、』
え?染岡?
今、なんつった?
ぽかん、と染岡を見れば、彼はあっ、と言うように顔を赤くして、顔を逸らした。
いや、お前が照れるな!!!こっちも照れるだろ!!!
何も言えないでいれば、虎丸が私たちを見て不思議そうな顔をした。
「どうしたんですか?2人して真っ赤になって」
「あー、いや、」
『うん、ちょっと、ね』
「お取り込み中の所、失礼」
なんとも言えぬ空気をぶち破ってくれたその声にナイス!と勢いよく顔を上げる。
視線の先に居たのは、ナイツオブクィーンのエドガーだった。
「なんだよ」
ギロリ、と染岡がエドガーを睨む。
エドガーはそれにひるむことなく、胸に手を置き頭を下げた。
それは私たちだけでなく、イナズマジャパン全体に向けて。
「これまでの数々の非礼、お許しいただきたい」
「いいぜ!そんな事よりお前のシュート凄かったぜ!!」
ニカッと笑って言う円堂に、顔を上げたエドガーは少しポカンとしていた。
そんな事ですましちゃうんだもんなぁ、円堂は。
1番馬鹿にされてた円堂がそう言っちゃうんだもん。誰もそれ以上エドガーに言えないでしょ。
『貴方たちのプレーは紳士らしく真摯でしたよ。子供らしいと笑ったこと、私も詫びねばなりません』
失礼しました、と頭を下げる。
「いえ。それはもとより私の発言が原因です。レディ、頭を上げてください」
『ありがとう。とても素晴らしい試合でした』
握手を求めればエドガーは素直にその手を取ってくれた。
「ええ。貴女のナイトたちもとても強かった」
そう言ってエドガーは笑うのだった。
栄誉称号
戦えて光栄でしたと言ってエドガーは去っていったのだった。