世界への挑戦編
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反撃の合図と共に颯爽と攻め込んできたナイツオブクィーン達はイナズマジャパンのディフェンスを突破し、FWのエドガーへとボールを回した。
彼の足に軽々と蹴られたシュートは円堂が飛びついてボールを押さえ込んだ。
「ナイスセーブ」
ボールと共に地に伏せる円堂を見下ろしてエドガーがそう言って笑う。
「……オレたちは世界一を目指してここに来たんだ!」
「世界一?」
何か引っかかったようにエドガーが聞き返せば、円堂は立ち上がりながらああと頷いた。
「そのために激しいアジア予選を勝ち抜いて来たんだ」
「無理だ」
「なっ!?なんだと!!」
「君たちは世界一の意味を本当に分かっているのか!」
エドガーは円堂以外にも伝えるためか、大きく声を張り上げた。
「円堂。君の言う世界一とは自分たちだけのものなのか」
「な……」
「世界の舞台で戦う代表チームは自分たちの国の数え切れない人々の夢を託されている」
エドガーの言いたいことが分からない彼らではないだろう。
代表候補として紅白戦で共に戦い選ばれなかった者。代表入りしたものの怪我で去っていく者。そもそも代表選考にすら選ばれず、代表をかけて戦いに来た者。
実際に会った人々だけでも、結構な人数いる。だが、それでもそれはほんのひと握りに過ぎない。
「それを裏切ることはできない!その夢を背負って戦うのが代表としての使命だろう!」
「代表としての使命……」
「私たちはナイツオブクィーンに選ばれた誇りを胸に戦っている」
ピシッと背筋を伸ばしたエドガーは腰に手を当て誇らしげにそう言った。
「今目の前の高みしか見えていない君たちに負ける訳にはいかない!」
そう高らかにエドガーは宣言をした。
「水津先輩、何笑ってるんですか?」
『いや、だってねぇ』
春奈ちゃんが不思議そうな顔して私を見つめている。
『今や、イナズマジャパンには思いを託してた側の人間が2人もいるんだよ?』
ちらり、と横目で染岡と佐久間を見る。
『彼らが背負う夢の重さに気づいてないとは思わないけれど?』
何故か染岡と目が合った気がして目を逸らした。
前を向いてフィールドを見れば、再びナイツオブクィーンが攻め上がってきていた。
9番のエリックがボールを奪いに来た風丸をウルトラムーンで避ける。
「行かせるな!」
鬼道の指示が飛び、皆ボールを持ったエリックとゴールに向かって走っているフィリップを追いかける。
エリックがゴール真正面に来たフィリップにパスを回した。
シュートかと思われたが、フィリップは足元に転がってきたボールを真後ろへとダイレクトパスした。
「……!」
イナズマジャパンは完全に虚をつかれた。
「エドガーか!」
気がついた久遠監督が言うより先にボールはエドガーの足元にたどり着いていた。
「これが聖なる騎士の剣、真実の姿だ!」
そう高らかに叫んだエドガーは両腕を伸ばし旋回して飛び上がった。
「エクスカリバー!!!」
《これは無謀だー!エドガー超ロングシュート!》
実況もフィールドプレイヤー達も皆そう思ったのだろう。
センターライン付近からのシュートじゃ、届くまでに威力が落ちると。
「ザ・マウンテン!」
壁山がゴール前で受け止める。
だがしかし、押し負けて後ろに吹き飛ばされた。
ボールは威力が落ちることなくゴールへ届いた。
「いかりのてっつい!」
円堂がボールを拳で叩きつけた。だが、
「うわぁ!!!」
勢いを殺すことは出来ず円堂は弾かれボールはゴールのネットを揺らした。
ピピッーとホイッスルが先制点を決めた事を知らせる。
《驚きました。あれだけ遠くから放ったエクスカリバーが決まった!ナイツオブクィーン先取点です!》
《エクスカリバーは距離が離れれば離れるほど逆に威力が増すシュートのようです》
「ちくしょう!」
ゴールを割られた円堂は地に膝を付き両拳で地面を殴った。
「この剣を引き抜きし者。王たる資格を持つものなり。すなわちナイツオブクィーンだがFFIの覇者となる」
イギリスに伝わるアーサー王伝説ね。
「私たちは母国に誓った。必ず勝利を勝ち取るとね」
そう言ってエドガーは胸の前で力強く拳を握った。
「エドガーにボールが渡ったら防げない……」
ぽつり、と秋ちゃんが呟く。
『合宿の頃を思い出すわね』
「え?」
『円堂がアフロディのボールを止められなかった時、秋ちゃん言ってたじゃない』
「100点取られたら101点取り返せばいい、ですね!」
覚えてますよ、と言うように春奈ちゃんが答えた。
『要はこっちも点を取ればいいのよ』
「でも、点を取りたくてもアブソリュートナイツが……」
冬花ちゃんが困った顔で呟く。
いやいや、キミのパパを見てごらんよ。
鬼道を呼んで何やら耳打ちしている。
「欠点…………そうか!」
何やら気がついた鬼道はフィールドに戻って風丸と栗松を呼んだ。
「えっ、オレでヤンスか!?」
「そうだ。お前のドリブルが必要なんだ」
「ハイでヤンス!!」
あの鬼道に認められた事で栗松は満面の笑みを浮かべて返事をした。
再びキックオフでセンターの虎丸から豪炎寺にボールが渡される。
そのボールを豪炎寺は後ろの風丸に回した。
ドリブル力で選抜した風丸、栗松の後ろに鬼道が並ぶ。
トリプルブーストの時の様な縦1列の陣形で3人は駆け上がっていく。
「ご細工など無駄だ」
エドガーは掲げた手を振り下ろしアブソリュートナイツの指示を出した。
フィリップを先頭としたV字の集団が風丸に向かって一斉に駆けた。
フィリップと対面した風丸はすぐに真横に弱いパスを出した。
するとそれを風丸のすぐ後ろに付いていた栗松が右側に飛び出してドリブルで進む。
その栗松にエリックが付けば、栗松はヒールで後ろの鬼道へボールを渡した。
今度はその鬼道に向かってポールが来るが、鬼道の後ろに周り直していた風丸が横からボールを奪って行った。
その風丸にV字の右側の列の最後尾だったエッジが対面した。
そのエッジの横を風丸からボールを回された栗松がドリブルで駆け抜ける。
だが、ナイツオブクィーンも片側が突破されたからといって止まることはなく、エドガー側の列にいたゲイリーがフォローしに栗松に向かって近づいて行く。
「まぼろしドリブル!!」
追いついてきたゲイリーを栗松は必殺技で突破した。
《アブソリュートナイツが突破されました!》
《目標を次々と移動させ突破口をこじ開けるとは……!》
実況解説の声を聞きながら久遠監督がベンチを振り返る。
「お前たち、全員ウォーミングアップしておけ」
はい!と何か考え込んでいる不動以外の選手達が力強く返事をした。
「豪炎寺さん!」
ドリブルでゴール前まで持っていた栗松が豪炎寺へパスを出した。
「ストーンプリズン!」
シュートは打たせないと言うようにDFのランスが必殺技を使った。
だが、豪炎寺は地面から生えてくる岩の柱をむしろ足場に使い上に飛び上がった。
「爆熱スクリュー!!」
「そうはさせない!!」
炎の渦を起こす豪炎寺に合わせて飛び上がっエドガーがボールを奪った。
《なんと!エドガー自らディフェンスに戻っていた!》
自陣のゴール前へボールを持って着地したエドガーは振り返って、不敵に笑った。
「まさか……!」
「受けるがいい!……エクスカリバー!!!!」
ゴールからゴールへの最長シュート。
絶体絶命
さあ、どうなる。