世界への挑戦編
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フットボールフロンティアインターナショナル、グループA、イナズマジャパン対ナイツオブクィーンの試合はここ、ウミヘビスタジアムで行われる。
ナイツオブクィーンコールに包まれる会場は明らかにアウェイで、皆空気に飲まれていた。
そんな中、秋ちゃんが円堂に声をかけてキャプテンマークを渡す。
「どうってことないよ」
そう言った秋ちゃんに、え?と円堂は聞き返す。
「ぜーんぶ、自分たちへの応援だと思えばいいの」
そう言って秋ちゃんは微笑んだ。
相変わらず彼女のメンタルの強さ、そして、それを分け与える力は凄い。
私も見習いたいところである。
選手達がピッチに入り、キャプテン同士のコイントスが行われる。
審判が投げたコインの結果、ジャパンボールからのキックオフに決まった。
審判からボールを受け取った円堂に、エドガーは腕をのばし、握手を求めた。
「お互いに頑張ろう」
ああ、と返事をして円堂はその手を握り返す。
「健闘を祈る」
そう言ってエドガーはほくそ笑んだ。
「なんっか、嫌な感じだぜ」
ベンチで見ていた染岡がそう睨みを聞かせる。
「ああ、余裕綽々って感じがな」
染岡の隣に座った佐久間が同意するようにそう呟けば、彼らとは少し離れて座った不動が鼻で笑った。
「奴らにとっちゃ、勝って当然の相手だからな、ニッポンは」
まあ、イギリス代表は優勝候補のひとつに挙げられているし相手から見れば格下なうえ、先日のPK戦の事もある。だが、
「勝負は最後まで分からないものよ」
秋ちゃんが真っ直ぐフィールドを見つめてそう言う。
そんな彼女に流石の不動も、それ以上悪態をついたりはしなかった。
ホイッスルが鳴って試合が開始される。
キックオフで虎丸が豪炎寺にボールを渡し、それはすぐに鬼道へとバックパスされた。
無論ボールを持った鬼道にナイツオブクィーンのFWのフィリップとMFのエリックがマークに着くが、鬼道は器用にその間を抜け、先を走る虎丸へとボールを回した。
DFのランスが近づいてきたの見て豪炎寺がフリーな事を確認した虎丸はすぐにパスを飛ばした。
「よし、……なに!?」
飛んできたボールをトラップしようとした豪炎寺の前からDFのエッジが膝でボールを掠め取った。
「そんな!」
慌てて虎丸と豪炎寺はエッジを追って引き返す。
観客はナイツオブクィーンの活躍に大きな歓声を上げている。
「クソッ、あのパスが通らないのか!?」
同じFWとして、虎丸のあのパスの判断は間違いではなかったというように染岡が悔しがる。
「まだまだ試合は始まったばかりですよ」
きっと大丈夫というように立向居が呟く。
『さて、どうするかな……』
久遠監督を見れば表情は一切崩れておらず、真顔でフィールドを見つめている。
なんならその後ろでベンチに座っている不動の方が真剣に攻略法を考えている顔をしている。
フィールドは防戦一方で、ナイツオブクィーンからボールを奪うことが出来ずゴール目前に走ってきたエドガーにMFのピーターからセンタリングが上がる。
「通さねえぞ!!」
そう言って最終防衛ラインに立つ壁山の前に綱海が飛び出した。
だが、それでもエドガーは落ち着いた様子で綱海に背を向け、飛んできたボールを胸でトラップした後、前に回り込んできた壁山の大きな身体を諸共せず横からボールをパスした。
受け取ったフィリップは間髪入れずにそのボールをシュートした。
何とか円堂が飛びついて全身でボールを押さえた。
「これが日本のサッカーか。なかなか頑張っているじゃないか」
そう言ってエドガーが上から円堂を見下ろした。
『うーん、流石イギリス人。皮肉めいていらっしゃる』
「本当にムカつくぜ」
イライラとした様子で染岡が手のひらに拳を打ち付けている。
『まあ、顔がいいから許せるけどねぇ』
「なっ、……ああいうのがタイプなのかよ」
どこかムッとしたように言う染岡に、思わず小さく吹き出してしまう。
『いいや?それに、うちの風丸の方がイケメンでしょうよ』
「うちのって……」
オイオイと呆れた言うように呟くが、風丸の方がイケメンという事に誰も否定しないところを見るに、私だけじゃなくて皆してチームメイト贔屓じゃないか。
さて、フィールドでは反撃と言わんばかりに、2人にマークされた鬼道から、1番前を走る虎丸へとパスが繋がる。
虎丸は向かってきたエリックをフェイントを使って抜けてゴール前までボールを運んだ。
そこへ、ランスが駆けつけてきた。
「ストーンプリズン」
岩の柱が次々と地面から生え、虎丸を囲んでいく。抜け道を探すのに視線を動かした彼の目の前から岩柱が生えて虎丸は盛大にぶつかって飛ばされた。
『虎丸!』
ボールは転がってランスがそれを大きく蹴り飛ばした。そのボールはフリーのエドガーに渡ってしまった。
「受けてみろ!聖なる騎士の剣を!」
そう宣言したエドガーは両腕を大きく伸ばして旋回した後、ボールと共に高く飛び上がって天高く右足を上げた。
「エクスカリバー!!」
エドガーの足と共に振り下ろされた剣がボールを斬撃と共にゴールへと運ぶ。
「止めろ、円堂!!」
鬼道が叫び円堂がどっしりと構える。
その円堂とボールの前に壁山が飛び出した。
「ザ・マウンテン!!」
しかし、壁山の作り出した山は斬撃によって打ち砕かれる。
「キャプテン頼むッス!」
吹き飛ばされながら壁山が叫び、おう!と返事をした円堂は右の拳を掲げたまま飛び上がった。
「いかりのてっつい!!!」
振り下ろされた拳が、ボールは地面にめり込むくらいに叩きつけられた。
《なんと!エクスカリバーを防ぎました!》
実況のマクスターも驚きの声を上げている。
「よぉし!」
「やったッスね、キャプテン!」
「ありがとう、壁山。お前のおかげだ」
そう言って2人はグータッチを交わす。
シュートを打ったエドガーが驚いた表情を見せていたがすぐさま不敵な笑みに変わりポジションへと戻っていった。
《さあ!イナズマジャパンの反撃です!》
円堂から風丸にボールが渡り、駆け上がっていく。
「ゆけ!完全無欠のナイトたちよ!」
ナイツオブクィーンの監督、アーロンは持っていたステッキを真っ直ぐフィールドに向けた。
その指示を見たエドガーも右手を真っ直ぐに、宣誓をするかのように高く空へと掲げた。
そうすると、エドガーを頂点としたV字とフィリップを頂点としたV字に彼らはフォーメーションを変えた。
駆け上がる豪炎寺と虎丸に対し彼らは微動だにせず、ゆけ、というようにエドガーが手を振り下ろすとフィリップを先頭とした5人が一斉に走り出した。
フィリップはボールを持っている風丸に向かうが、風神の舞で吹き飛ばされてしまった。
先へと風丸が行こうとすると、今度はエリックが立ち塞がって、風丸はそれを避けるが次にやってきたポールにぶつかりボールを蹴り飛ばされてしまった。
零れ球は何とかヒロトが拾ったが、今度はヒロトがエドガーを先頭とした次々と現れる敵にボールを奪われてしまった。
「次から次へと……!」
「あれでは攻めることが出来ない……」
ベンチのメンバーもどうすればと固唾を飲んでフィールドを見守る。
「ボールを持った相手に次々と襲いかかってくる ……これぞ、私たちの必殺タクティクス」
アブソリュートナイツ
反撃開始だと、ナイツオブクィーンの監督はステッキを掲げるのであった。