サブストーリー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
買い物袋片手にスーパーを出る頃にはすっかり日が暮れてしまっていた。
流石に今日は疲れたと、考えながらダラダラ歩いていたら、向かい側から見知った2人が歩いてきた。
「あ、」
向こうも気がついたのか、そう声を上げた。
「水津さん!」
そう言って銀髪の少年が駆け寄ってくれば、彼の隣に居たピンク坊主の少年も歩み寄ってきた。
「スーパー行ってきたのか?」
染岡の問に、そう、と頷く。
『あれだけ家開けてたから、なんもなくってね……。雷雷軒に行こうかとも思ったけど今日は響木さんも監督業でお休みだったし』
「それでスーパー行ってきて、今から晩御飯つくるの?」
吹雪が大変そうという顔をしたが、いやいや、と首を振る。
『流石に今日は疲れたからお惣菜』
作る気力のない日は、スーパーのお惣菜が本当にありがたい。お惣菜売り場の人ありがとう。
「そうなんだ」
『吹雪は今日染岡ん家に泊まるんでしょ?こんな所でなにしてんの?』
吹雪は1人だけ北側に戻るので、飛行機で北海道に帰ることになったが、飛行場まで迎えに来るのは彼の祖父母になるので、夜遅いと危険だろう、ということから翌日の便で立つことになった。
そこで、今日の吹雪の宿泊先として手を挙げたのが染岡だったわけだ。
「あー、急な話だったからな。家を片付けるまでちょっとまっててくれって事になって……そしたら、コイツが少し稲妻町見て回ってくるって出掛けて、この時間まで戻って来ねえから迎えに来たんだよ」
「ごめんね。キャプテンや豪炎寺くんとすっかり話し込んじゃって」
染岡に謝ったあと、私にそう説明をくれた。
『豪炎寺とも仲良くなったね』
「うん。染岡くんが豪炎寺くん豪炎寺くん言ってたのも分かるよ」
「はあ!?言ってねえよ!」
顔を真っ赤にして染岡が怒るが、言ってたよねー、と吹雪と顔を見合わせる。
『豪炎寺の代わりなんか認めねー!とか言ってたじゃんねぇ?』
「うんうん。最初の頃、ボクへの当たり酷かったもんね」
「ぐっ、」
心当たりがあったのか、染岡が押し黙った。
「でも、実際に豪炎寺くんにあってみたらわかったよ。確かに豪炎寺くんの代わりにはなれないなぁって」
「そりゃあそうだろ。豪炎寺は豪炎寺。お前はお前、吹雪士郎だろ」
染岡そう言えば、吹雪が何やら可笑しそうに笑った。
「なんだよ」
「だって、それ、水津さんの受け売りでしょ?」
『あー!言った言った!』
ちゃんと言った覚えがあるぞ。吹雪がチームプレイ出来ないって、喧嘩になった時に。
「う、うるせぇな。確かにそうだなと思ったから………!悪ぃかよ」
そう言って染岡はむくれた。可愛いやつめ。
『悪くないよ。染岡も丸くなったねぇ』
背伸びして、よしよし、と坊主頭に手を伸ばせば、やめろと真っ赤顔して引き下がられた。
「ふふ、」
私たちの方を見て吹雪がニコニコと笑った。
『どうしたの?』
「あ、いや、ボク、2人のことが好きだなって思って」
「なんだよ急に気持ちわりいな」
吹雪のストレートな言葉に、染岡が照れ隠しにそんな言葉を言う。
「気持ち悪いってヒドイなぁ」
『酷いねぇ。私は吹雪のこと好きよ』
「は、はあ!?」
染岡が急に大きな声を上げる。
『染岡のこともね?』
そう言って意地悪く笑えば染岡は、また顔を真っ赤にした。
「な、なっ、な……!!!」
いやぁ、純粋無垢で可愛いなぁ。
久しぶりに弄り倒すと面白いのなんのって。
私がニヤニヤと笑っていれば、吹雪もくすくすと笑った。
「で、染岡くんは?ボクらのこと好き?」
「なっ、ぐっ………!」
からかわれていると分かっているのか、苦い顔をして染岡が唸る。
「べ……」
『べ?』
「………別に、………嫌いじゃねぇ」
そっぽを向いて紡がれた言葉を聞いて、吹雪と顔を見合わせた。
『まあ、及第点?』
「そうだね。染岡くんにしては頑張った方なんじゃない?」
「だあああああ!!お前らなあ!!」
先程とは別の意味で顔を真っ赤にした染岡が怒声を上げたのを見て、またケラケラと笑った。
「あ、ねぇ、水津さん」
ひとしきり笑い、染岡の怒りも落ち着いたところで吹雪がそう切り出してきた。
『なぁに?』
「あのね、3人で写真撮りたいんだけどダメかな?」
吹雪は子犬の様な顔で、きゅるるん、と見つめてきた。コイツ自分の顔面の良さ分かってやがる。
『3人で?いいけど』
「わー、ありがとう!」
そう言って吹雪は自分の携帯電話を取り出した。
「お前、俺にも聞けよ」
「えー?染岡くんダメなの?」
「まあ、いいけどよ」
やれやれという風に言いつつ染岡は、吹雪の横に並んだ。
水津さんも来て、と吹雪に手招きされて画角に入るように寄る。
「……ボクの身長じゃ染岡くんが見切れちゃうね……」
『それはそれで面白いからいいんじゃない?』
オイ、と低い声で怒られる。
「染岡くん真ん中にきてよ」
そう言って吹雪が立ち位置を変え、染岡を真ん中に押しやった。
「お前の記念だろ?」
「けど、ボクが真ん中だと見切れちゃうから。はい、染岡くんコレ持って」
有無を言わさず、吹雪は染岡に携帯電話を渡した。
「ほら、もうちょっと寄らないと」
そう言って吹雪が染岡をこちらへ押してきた。
「あ、おい!」
『わっと、』
ドンとぶつかるが、そんなのお構い無しと言った様子で吹雪は染岡に早くカメラ向けてと急かした。
「あー、もう。コレでいいのか」
「うん。大丈夫だと思う」
「おー、じゃあ切るぞ?」
1+1は、と染岡が言ったのに、私と吹雪がにーと返せば、シャッターが切られた。
「ほら、コレでいいのか?」
「見せて」
染岡から返してもらった携帯電話の画面を吹雪は見つめる。そしてニッコリと笑顔になった。
「ありがとう。すっごくよく撮れてるよ!」
みて、と吹雪が画面をこちらへ向けた。
王子様のように微笑む吹雪と、照れているのか少し頬を染め笑っている染岡と、満面の笑みの自分がいた。
「近すぎねぇか」
「スリーショットだもん。こんなもんだよ?」
「そ、そうかよ」
「後で2人にも送るね」
『ありがとう』
そう礼を言えば、こちらこそと返された。
「どうしても3人で撮りたかったから、水津さんに会えてよかったよ」
『そうなの?』
「うん。だってボクらは最強トリオでしょ」
そう懐かしい言葉を言って、吹雪は笑ったのだった。
元二重人格者
また一緒にサッカーやろうね!そう言って吹雪と染岡と別れたのだった。