サブストーリー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※まだ書いていない章の先のお話です。多少のネタバレが有ります。
※not恋愛。ただただ大晦日を過ごす話。
ピンポンとインターホンを鳴らせば、一軒家の主がドアホン越しに返事をした。
『ちょっと、待ってて。直ぐ開けるから』
そう言った水津の声がドアホンから聞こえて、数十秒の家に目の前のドアが開かれた。
『いらっしゃい。野坂、一星』
「こんにちは、梅雨さん」
僕がそう言えば、後ろに立っていた一星くんも同じように、こんにちはと挨拶をした。
『寒かったでしょ。早く入りなさい』
そう言って大きくドアを開き僕らの入れる隙間を作ってくれたので、軽く会釈をして中に入らせてもらった。
この家は、梅雨さんがアイツから謝礼として分捕った...いや、貰ったものなのだが、僕と一星くんはお邪魔するのが今日が初である。
梅雨さんとお付き合いしている西蔭は何度か泊まりにきたりしてるみたいだけど。
その西蔭はお正月休みで寮が閉まるので実家に帰っている。
僕も去年のお正月は施設に帰っていたけれど、今年はロシアから直に転校してきた一星くんが、帰る所がない、と言うことで、梅雨さんが2人で泊まりにおいでと声をかけてくれたのだった。
「西蔭がすいぶん来たがってましたよ」
靴を脱ぎながらそう言えば、梅雨さんは笑って、これ履いてとスリッパを2組廊下に置いた。
『まー、でも、帰ってこいって言ってくれる家族がいる内はそっちと過ごした方がいいよ』
親に捨てられた僕と、家族に先立たれた一星くんを前に、普通なら地雷だと避ける話題だろうが、さらりと言ってしまう所が梅雨さんだなぁ。
まあ、彼女もこっちの世界で生きるため家族と離れ離れになったんだけど。
そうですねと頷く一星くんが、スリッパに履き替えれば、こっちだよ、と梅雨さんは廊下を歩いて部屋を案内してくれた。
『寝泊まりは2階の部屋ね。2人一緒でもいい?』
「構いませんよ。ね、一星くん」
そう聞けば彼は、はい、と頷いた。
『そうじゃあ、奥の部屋に荷物置いて来なさい』
そう言う梅雨さんに、今度は2人で、はい、と返事をして階段を登った。
1階のリビングに設置されたコタツに入って付けられたテレビに目を向ける。
ふと横を見ればコタツの隣りの辺に入っている一星くんが、テレビに流れる映像を見てアハハと声を上げて笑っている。
「どうしました野坂さん?あ、もしかして紅白の方がよかったですか?」
今すぐ変えますと、見ていたお笑い番組からチャンネルを替えようと一星くんは慌ててリモコンを手に取ろうとする。
「ううん。みかん取って貰ってもいい?」
「ああ、みかん、ですね!」
はいどうぞ、と一星くんは、嫌な顔せず僕とほぼ距離の変わらないコタツの真ん中に設置された竹籠からみかんを手に取って僕の方に置いてくれた。
『あれ、お蕎麦だけじゃ足りなかった?』
みかんの皮を剥こうとしていたら、キッチンで先程食べた年越しそばの後片付けをしていた水津さんが、タオルで手を拭きながら戻って来た。
「いえ、十分でしたよ。ただ、こういう風にのんびりと年末を過ごすのは初めてで、なんというか手持ち無沙汰で」
『ああ、なるほどね。でも半日でそれじゃあ、後3日もゴロゴロしないといけないのは苦痛かもね』
ケタケタと笑う水津さんに、じゃあ、と一星くんが小さく手を上げる。
「明日は初詣に出かけるのはどうですか?」
『え、めんどくさ』
「えぇ、ダメですか?」
『寒いじゃんお家でゲームしとこうよ。みんなでやろうと思ってピーチ太郎伝説も買ったよ?』
「それは2日目にやりましょうよ!」
『えー』
そのやり取りに思わず、ふふっと笑えば、2人はキョトンとした顔でこちらを向いた。
「どうしたんですか?」
「いや、こういう普通の家族、みたいなのいいなって思って」
素直に思った事を口に出せば、2人は黙ってしまった。
あれ、流石にコレはダメだったのかな。
『...一星。明日初詣行きましょうか』
何故か急に手のひらをひっくり返した水津さんに、一星くんが、はいと力強く頷いた。
「3人で、あっ、西蔭さんにも連絡して来れたら一緒に詣りましょう!ね、野坂さん」
「ふふ、そうだね。初詣が終わったらみんなでゲームもしようか」
「はい!」
『そうね』
優しく笑う2人を目の端に入れて、テレビの方に向き直れば、お笑い番組の端に表示されていた時計が0時に切り替わった。
あけましておめでとう!
今年もよろしくをこんな時間に言うのも初めてかもしれないな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ただ単に2人の実家になりたいなって思って書きました。
※not恋愛。ただただ大晦日を過ごす話。
ピンポンとインターホンを鳴らせば、一軒家の主がドアホン越しに返事をした。
『ちょっと、待ってて。直ぐ開けるから』
そう言った水津の声がドアホンから聞こえて、数十秒の家に目の前のドアが開かれた。
『いらっしゃい。野坂、一星』
「こんにちは、梅雨さん」
僕がそう言えば、後ろに立っていた一星くんも同じように、こんにちはと挨拶をした。
『寒かったでしょ。早く入りなさい』
そう言って大きくドアを開き僕らの入れる隙間を作ってくれたので、軽く会釈をして中に入らせてもらった。
この家は、梅雨さんがアイツから謝礼として分捕った...いや、貰ったものなのだが、僕と一星くんはお邪魔するのが今日が初である。
梅雨さんとお付き合いしている西蔭は何度か泊まりにきたりしてるみたいだけど。
その西蔭はお正月休みで寮が閉まるので実家に帰っている。
僕も去年のお正月は施設に帰っていたけれど、今年はロシアから直に転校してきた一星くんが、帰る所がない、と言うことで、梅雨さんが2人で泊まりにおいでと声をかけてくれたのだった。
「西蔭がすいぶん来たがってましたよ」
靴を脱ぎながらそう言えば、梅雨さんは笑って、これ履いてとスリッパを2組廊下に置いた。
『まー、でも、帰ってこいって言ってくれる家族がいる内はそっちと過ごした方がいいよ』
親に捨てられた僕と、家族に先立たれた一星くんを前に、普通なら地雷だと避ける話題だろうが、さらりと言ってしまう所が梅雨さんだなぁ。
まあ、彼女もこっちの世界で生きるため家族と離れ離れになったんだけど。
そうですねと頷く一星くんが、スリッパに履き替えれば、こっちだよ、と梅雨さんは廊下を歩いて部屋を案内してくれた。
『寝泊まりは2階の部屋ね。2人一緒でもいい?』
「構いませんよ。ね、一星くん」
そう聞けば彼は、はい、と頷いた。
『そうじゃあ、奥の部屋に荷物置いて来なさい』
そう言う梅雨さんに、今度は2人で、はい、と返事をして階段を登った。
1階のリビングに設置されたコタツに入って付けられたテレビに目を向ける。
ふと横を見ればコタツの隣りの辺に入っている一星くんが、テレビに流れる映像を見てアハハと声を上げて笑っている。
「どうしました野坂さん?あ、もしかして紅白の方がよかったですか?」
今すぐ変えますと、見ていたお笑い番組からチャンネルを替えようと一星くんは慌ててリモコンを手に取ろうとする。
「ううん。みかん取って貰ってもいい?」
「ああ、みかん、ですね!」
はいどうぞ、と一星くんは、嫌な顔せず僕とほぼ距離の変わらないコタツの真ん中に設置された竹籠からみかんを手に取って僕の方に置いてくれた。
『あれ、お蕎麦だけじゃ足りなかった?』
みかんの皮を剥こうとしていたら、キッチンで先程食べた年越しそばの後片付けをしていた水津さんが、タオルで手を拭きながら戻って来た。
「いえ、十分でしたよ。ただ、こういう風にのんびりと年末を過ごすのは初めてで、なんというか手持ち無沙汰で」
『ああ、なるほどね。でも半日でそれじゃあ、後3日もゴロゴロしないといけないのは苦痛かもね』
ケタケタと笑う水津さんに、じゃあ、と一星くんが小さく手を上げる。
「明日は初詣に出かけるのはどうですか?」
『え、めんどくさ』
「えぇ、ダメですか?」
『寒いじゃんお家でゲームしとこうよ。みんなでやろうと思ってピーチ太郎伝説も買ったよ?』
「それは2日目にやりましょうよ!」
『えー』
そのやり取りに思わず、ふふっと笑えば、2人はキョトンとした顔でこちらを向いた。
「どうしたんですか?」
「いや、こういう普通の家族、みたいなのいいなって思って」
素直に思った事を口に出せば、2人は黙ってしまった。
あれ、流石にコレはダメだったのかな。
『...一星。明日初詣行きましょうか』
何故か急に手のひらをひっくり返した水津さんに、一星くんが、はいと力強く頷いた。
「3人で、あっ、西蔭さんにも連絡して来れたら一緒に詣りましょう!ね、野坂さん」
「ふふ、そうだね。初詣が終わったらみんなでゲームもしようか」
「はい!」
『そうね』
優しく笑う2人を目の端に入れて、テレビの方に向き直れば、お笑い番組の端に表示されていた時計が0時に切り替わった。
あけましておめでとう!
今年もよろしくをこんな時間に言うのも初めてかもしれないな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ただ単に2人の実家になりたいなって思って書きました。