フットボールフロンティア編
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猫耳付けた可愛いメイドさんが描かれた扉を潜り抜ければそこには、ファンシーな内装の部屋の中に数名のメイドさん達が整列して声を揃えて、お帰りなさいませご主人様、と言っておじきをした。
おお...と雷門イレブンたちから感嘆が漏れる。
『先程お電話しました、』
「あっ、13名様ですね!こちらへどうぞ!」
そう言ってビッグテールのメイドさんが席まで案内してくれた。
1年生ズ4人と私、影野、松野の3人はそれぞれ4人掛けのテーブルに、他の2年生達は2人ずつ2人掛けのテーブルに着く。
手渡されたメニューを開いてみてみる。
わ、ほんとにハート描いてもらえるオムライスあるじゃん〜!!流石にここでオムライス食べるのは晩御飯がなぁ...。
「ご注文は何にいたしますか?」
「えっ、えっーと...じゃあコレ」
赤面しながら円堂がメニューを指差せば、メイドさんが、どちらですか?とずいと、顔を近づけた。
「ピ、ピンクの、と、とき...」
しどろもどろに言う円堂の注文を聞きながらメイドさんは端末でオーダを取る。
「ピンクのトキメキミルクティーですね。かしこまりましたぁ!」
顔を真っ赤にした円堂は、はあ、と大きな息を吐いて机に伏せた。
「いけませんねぇ。メイド喫茶に来たら彼女達との交流を楽しまなければ。緊張していては逆に彼女達に失礼ですよ」
ただのくそオタクの理論だけど、接客してくれる彼女らに失礼ってのは正しいんだよなぁ。
ああ、と目金はスッと手を上げた。
「僕はトキメキピコピコケーキセットを」
「かしこまりました、ご主人様」
「「「な、馴染んでやがる...」」」
一同が声を揃えて目金を見つめる中、ねぇねぇと隣のテーブルの壁山に声をかける。
『壁山、お腹すいてない?』
「空いてるッス!」
『先輩が奢ったげるからオムライス食べない?』
「食べるッス!!」
「えっ、壁山だけズルいでやんす!」
栗松がそう言えば、そうだズルいズルいと宍戸と少林寺も乗っかったのを見て笑う。
『いいよ。1年生ズのは私の奢りね』
やったー!と4人が声を揃える中、つんつんと隣に座った松野が腕をつついて来た。
「水津、水津。ボクはコレがいいな!」
『1年生ズって言ったじゃん』
ダメ?とあざとく聞いてきた松野の額にデコピンをかます。
『しょうがないね。今回だけね』
「やったー!流石水津〜!」
いえーいと喜ぶ松野を見て正面に座っている、影野が大丈夫?と聞いてきた。
「...結構な金額になるんじゃないかな」
まあ、メニューを見る限りそこそこなお値段するし、中学生の小遣いから考えたら大丈夫かな、とは思うよね。
『ちょっとした臨時収入があるし大丈夫だよ』
稲妻KFCのリフィングコーチの件のお駄賃もあるし、そもそも謎の毎月10万振込あるし余裕余裕。
『影野の分も奢ろうか?』
そう聞けば、影野は長い髪をブンブンと揺らして首を降った。
「...女の子に奢ってもらうのは...流石に」
「ええー、影野、そんな事言ったらボクも自分で払わないとって思ってきたじゃん」
『マックスは少し遠慮を知りな』
そう言って肘で松野を小突いて、すみませーん!と手を振る。
『こっちも注文いいですか?』
そう言えば、はーい!と元気な声と共にメイドさんがやってきた。
「お待たせしました、お嬢様」
「あ、女子はお嬢様になるんだ」
『そうそう。ほら、各々注文言いな』
1年生から順番に、もごもごと照れた様子で注文していていきメイドさんが復唱する。
『萌え萌えお絵描きオムライスセットチェキ付きで。ドリンクは、麗しの君ジャスミンティーで』
「はいっ、萌え萌えお絵描きオムライスのチェキ付きでセットドリンクが麗しの君ジャスミンティーですね!かしこまりました。お嬢様」
オーダーを取り終わってぺこりとお辞儀をしてメイドさんが下がる。
「流石、水津さん、我が同士。チェキ付きとは分かっていますね〜」
キラリンとメガネを光らせながら目金がそう言ってくる。しょうがないよね私も中身はオタクだからさ。
「チェキってなんですか?」
こてん、と首を傾げて宍戸が聞いてきた。
「チェキとはそもそもインスタントカメラの事で」
『メイドさんとお写真とれるんだー!』
カメラについての説明を始めた目金の言葉を遮ってそう言えば、まあ簡単に言えばそういう事です、と目金はメガネのブリッジを押した。
「先程から様子を見ていたが、キミたち、見所があるね」
そう言って、メガネを掛けた如何にもオタクな男子2人組が声をかけてきた。
てかキミたちって私も巻き込まれてんのか。類は友を呼ぶってやつか。
「キミたちに見せたいものがある。着いてきたまえ」
そう言って歩き出した2人組に、見せたいものとは?と目金が席を立ちついて行く。
まあ、これついて行かなきゃ話進まないかと、立ち上がれば、他の皆もこのまま残されるのはというのがあってか一緒に立ち上がった。
2人に案内されたのはメイド喫茶の地下3階。
エレベーターから降りるとそこは、ネカフェのようにそれぞれ仕切られたオタク空間があった。
フィギュアを造る者、オンラインゲームをする者、コンシューマーゲームをする者、鉄道模型を作る者、ネット掲示板を荒らす者、プラモを組み立てる者、コスプレ衣装を作る者、自作PCを組み立てる者、アニメを見る者、各ブースに様々なオタクが居る。
目金は飛び出して、キョロキョロと各部屋を覗き見る。
「ああっー!コレはカメソーヤの復刻モデル!こっちはレア号機トンガリアンのブラックバージョンでは!?」
「...、知ってるの?こんなマイナーなロボット」
ふふん、と目金は得意げに胸を反らせた。それから、鉄道模型を見に走る。
「見事な鉄道模型ですね!あっ!スイッチバックまで再現とは!」
「わかってくれるのかい!?」
またも、目金は得意げに胸を張る。
そして今度はゲームをしている部屋を覗き見た。
「こ、コレは10年前に発売されて全く売れなかった幻のゲーム機パブンGXではありませんか!!」
「「「!!」」」
この地下にいた一同が何者だ、というように目金を振り返って見た。
「お前すっごく詳しいんだな」
「僕に知らないことはありませんよ!」
それにしても守備範囲広すぎでは?
「やはり君ならここにあるものの価値が分かってくれると思ったよ」
「僕達と同じオタク魂を感じたんでね」
3人それぞれがキランと自身のメガネを光らせる。
「あ、あの、姫はど、どうです?」
頭に小さいベレー帽と鉛筆や筆をさしてる方のオタクにそう聞かれて、は?と口を開ける。
というか、なんで急にしどろもどろになった???...あ、オタクくんだからか。
「えっ、姫って水津の事か!?」
「いや、姫って感じじゃないでしょ」
半笑いで言った松野に、おいこら、とツッコミを入れてため息をつく。
『あの、うちオタサーじゃないんで姫じゃないです』
「あ、そ、そうでしたか...。な、なにか気に入った物とか...」
「水津さんの好きなジャンルはJRPGでしたよね!この僕がめぼしいものを見つけて来ますよ!」
ふんす、と鼻息荒く意気込んで目金が駆け出す。
いや私こっちの世界まだ来たばっかでゲーム10作くらいしかプレイ出来てなくてこっちの作品そんな知らないんだけど...。
「ああっー!!」
駆け出した目金が直ぐに大きな声を上げた。
「コレは...まさか!マジカルプリンセスシルキー・ナナの全巻セット!水津さん!水津さんでもご存知のありましたよ!!」
うんうん、ご存知だよ。君に布教されたからね。
後ろで、なんですかそれ?と少林寺が首を傾げてる。
「原作を野部流来人先生、絵を漫画萌先生が手掛けられた史上最高の萌え漫画です!!」
「嬉しいねぇ。我々の作品をそこまで褒めてもらえると」
そう言ったのはここに連れてきた2人組の1人。
「えっ、我々...!?」
走って戻ってきた目金は上から下まで、ここに連れてきた2人組をマジマジと見た。
「そう。私が原作者の野部流来人」
「僕が、漫画萌さ」
「まさか!伝説の2人にお会い出来るなんて!」
まあ、確かに中学生で売れっ子漫画家は凄いよなぁ。
「我々も君のようなファンと出会えて嬉しいよ」
「しかも姫にも、読んで貰えてるとは...!」
『いや、だから姫じゃないです』
なんか知らんけど、漫画先生にさっきからロックオンされてんのなんなの。フラグ?フラグですか、折っていいですか??
「す、すみません...嫁に似ているものですからつ、つい」
中学生なのに奥さん居るのか!?なんて子ボケた事を言っている雷門イレブンはほっといて、嫁って事はキャラクターの事でしょ?つまりフラグではないな?よし。
『なんの作品の子?』
「え、っと、ブレンドMっていう」
『ああ、知ってる』
「本当ですか!」
ドMのお客さんが集まる喫茶店という設定のヤバい漫画だが、その中に似た子なんていたか??
『えっ、どの子だ...??』
「あの、夏雨様です...」
『......』
「ああ、なるほど。言われてみれば似てますね!」
知らないことはないと言い切っただけあってやっぱり目金も知ってるし。
「水津に似てる漫画キャラってどんなのだ?」
興味本意で聞いた半田に、この子ですよ、と本棚の中にあったブレンドMの漫画を見つけて目金は表紙に描かれた、メイド服を来た巨乳のお姉さんを指さした。
「夏雨様はドS巨乳メガネお姉さんメイドさんですね!」
「ドS巨に....」
真っ赤っか顔して、雷門イレブン達はパクパクと口を金魚のように開けたり閉めたりしている。
というか似てんの9割胸じゃねーーーか!!あと1割は目の色くらい。
『髪色も全然違うし、私ショートポニテだし』
「いやそこはウイッグ被れば!スタイルは完璧なので!!」
『被らねぇわ!!』
てか、本編の話が全然進まないし!!
「夏雨様のコスプレ衣装、ボク持ってますよ!」
いつの間にか、先程まで自分の部屋で衣装制作していた猫耳付けたオタクが衣装を手にしてそこに居た。
『着ないから!』
「ちょっとだけ試着してみましょうよ」
「そうですよ水津さん!せっかくの機会ですよ!!」
『いーやー!!助けて円堂!!』
円堂の後ろに回り込んで盾にする。
「水津も嫌がってるし帰るぞ目金。悪いけど、俺たちはもうすぐ大事なサッカーの試合があるんだ」
「おや?キミたちもサッカーをやるのかい??」
「えっ、キミたちもって...」
「僕達も今結構大きな大会に出ていてねぇ。えっと、なんだっけ?」
「フットボール...なんとか?」
漫画先生の問に、別の部屋でゲームをしている子がそう答える。
「まさか、フットボールフロンティアか!?」
「そうだっけ?覚えてないな...、おい!俺のアイテムとるなよ!!」
そんな事はどうでもいいといった様子ですぐさまゲームの世界に引き戻される彼を見て雷門イレブン達はハッとした。
「メイド喫茶に入り浸っているオタク集団...」
「秋葉名戸学園サッカー部って、まさか...」
円堂の問に、漫画先生と野部流先生は顔を見合わせる。
「僕たちの事ですが...なにか?」
ええっーー!と上階のメイド喫茶にも響き渡る程大きな声が轟いた。
サッカーは陽のスポーツ
こんな陰の者達がやってるなんて思わないよね。とにかくまぁ、ゲームの彼らみたいに下剤仕込んだりハッキングしてきたりするほうじゃない、ただのオタクの方で少しほっとした。