アレスの天秤編
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稲森のおかげで目が覚めたらしい雷門の選手達は、のりかちゃんが全体の動きを万作に伝え、万作がDFの指揮を取り出して動きが変わった。
連携したディフェンスで相手の動きを止めたところを剛陣がスライディングでボールを奪い、小僧丸がファイアトルネードで決めた。
そうすれば、お返しと言わんばかりに速攻で吹雪兄弟の必殺技、ホワイトダブルインパクトをゴールに叩き込まれた。
試合は白熱し、稲森が追加点を決めたところで白恋中に動きがあった。
選手交代。
2番DFの真都路ちゃんとの入れ替わりで入ってきたのは17番、見た事のないピンク髪の女の子だった。
『…だれ?』
こんな可愛い女の子知らんぞ。
ゲームの控え選手にも居なかったよね?
「白兎屋なえ、ですね。たしかフットボールフロンティア予選中に新たに選手登録された選手だったかと」
知りたい事をすぐ教えてくれる西蔭、便利だな。
「彼女は、今試合が初出しですね」
『へぇ、隠し球か』
入れ替わりで入って来た彼女は、ぴょーんぴょんと楽しそうに跳ねている。そして観客席からは、なーえ!なーえ!と大歓声が起きている。
『凄い歓声…』
《プロフィールによると、彼女は白恋のスポンサー、しろうさぎ本舗の社長令嬢との事です!》
実況解説を聞き、なるほど、と先ほど野坂に貰ったまんじゅうの包み紙を見た。
白兎 屋と言う苗字の読み方を変え、分かりやすくひらがなのしろうさぎにして店名としているのか。
『それにしても……なんだ、この布陣』
モニターに映された白恋のフォーメーションを見る。
「ずいぶんと攻撃的ですね」
真都路ちゃんの代わりに入ってきたからてっきりDFかと思ったら、このなえちゃんとやらはFWなのだ。
つまり白恋は現状4FW。あまりにも攻撃的すぎる。
『…これ、染岡の策かなぁ?』
さっきまでフィールドを仕切ってた吹雪士郎の策って感じしないんだよね。
今の3人FWの攻撃力で十分攻められてるのにDFを削ってまであらたなFWを入れる意味がわからない。
なんか、ガンガン攻めて攻めまくろうぜって染岡か、それかアツヤあたりが言いそうな案だよなぁ。
試合が開始するなり、なえちゃんはパース!パス、パス、パース!と元気よくパスをねだり、ボールを持っていた士郎が軽く蹴りあげパスを送った。
しかし、
「……なんですか、アレ」
西蔭が呆れたように呟く。
隠し球だというから期待していたが、なんと、あんな優しいパスも取れないなんて……初心者じゃあるまいし……。
『緊張してるのかな』
初試合がいきなり本戦なら緊張もする、か………えっ?
フィールドを見ていれば、なえちゃんがトラップミスして転がったボールの近く万作が拾う前に駆ける。
そう。1番近かったのは万作だった。
なのに、いつの間にか、なえちゃんがボールの元に駆けつけて、危ない危ないと、踏んでキープした。
うおおおおぉと観客席いっぱいに歓声が広がる。
『速っ……』
風丸と同じようなスピード選手か。
「こっちだ!」
アツヤが叫び、万作がハッとする。
「ゴール前、固めろ!」
「もらったで〜!てやぁ!」
なえちゃんはボールを蹴るため大きく足を振った。そして、その勢いで彼女は後ろに転がった。
足先に僅かにかすったボールが、コロコロと転がって、それをのりかちゃんがゆっくりと拾う。
え???
なんで、アツヤがパス求めてたのにシュート打とうとしたの?しかも失敗してたし。
『なんだ、この子…まるでズブの素人なんだけど……でも、足だけ以上に速いね』
「そうだね。なんでも彼女は、去年100m走で小学生記録を更新してるらしいから」
『はい??』
なんで、そんな子が陸上じゃなくてサッカーしてんのよ?
風丸みたいに部員数足りないから入ってくれって言われたわけじゃないでしょうよ。
まさか、お嬢様の気まぐれ、ってやつか?
サッカーのプレイはぎこちない。パスは受け取れないし、シュートもから回る。ドリブルも出来てない。でも、ボールを持っていない時はめちゃくちゃに速い。
ボールに触れる時間が長くなったらめちゃくちゃ強い選手になりそう。
あの速さで、ドリブルされたら止められないでしょうよ。
『これからが楽しみな選手ナンバーワンだなぁ…』
何より、フィールドを駆ける彼女は笑顔いっぱいで楽しそうだ。楽しいと感じられる時が1番経験を吸収できる時だ。この本戦の今を失敗しても楽しめて居るんだ。とんでもない大物になりそう。
ボール運びはぎこちないが、1人ワンツーのように、ボールを前へと進めて行ったなえちゃんは、ボールだけを先に蹴って急に体勢を低くした。
まるでクラウチングスタートのようだ。
「いくで〜!!シロウサギダッシュート!」
ドンッと猛スピードで駆け出したなえちゃんはボールを目前にライダーキックをかます。
「ウズマキ・ザ・ハンド!」
のりかちゃんも必殺技で対抗するが、うさぎのように弾けたボールが彼女の手のひらをすり抜けて、雷門ゴールへと突き刺さった。
《ゴーーール!!決めたのはこれがデビュー戦となる白兎屋なえだ!!》
初得点を決めたなえちゃんは、頭の上に両手をうさ耳のように乗せて、ぴょんぴょんぴょーん!と嬉しそうに飛び跳ねている。
それに合わせて観客席からアイドルのコールのように、ぴょんぴょ、ぴょーん!と合唱が起った。
兎の登り坂
そういえば、観客席かなりの数の人が、なえと書かれたうちわを持ってる。アイドルのコンサートじゃあるまいし、なんでだろうか。
連携したディフェンスで相手の動きを止めたところを剛陣がスライディングでボールを奪い、小僧丸がファイアトルネードで決めた。
そうすれば、お返しと言わんばかりに速攻で吹雪兄弟の必殺技、ホワイトダブルインパクトをゴールに叩き込まれた。
試合は白熱し、稲森が追加点を決めたところで白恋中に動きがあった。
選手交代。
2番DFの真都路ちゃんとの入れ替わりで入ってきたのは17番、見た事のないピンク髪の女の子だった。
『…だれ?』
こんな可愛い女の子知らんぞ。
ゲームの控え選手にも居なかったよね?
「白兎屋なえ、ですね。たしかフットボールフロンティア予選中に新たに選手登録された選手だったかと」
知りたい事をすぐ教えてくれる西蔭、便利だな。
「彼女は、今試合が初出しですね」
『へぇ、隠し球か』
入れ替わりで入って来た彼女は、ぴょーんぴょんと楽しそうに跳ねている。そして観客席からは、なーえ!なーえ!と大歓声が起きている。
『凄い歓声…』
《プロフィールによると、彼女は白恋のスポンサー、しろうさぎ本舗の社長令嬢との事です!》
実況解説を聞き、なるほど、と先ほど野坂に貰ったまんじゅうの包み紙を見た。
『それにしても……なんだ、この布陣』
モニターに映された白恋のフォーメーションを見る。
「ずいぶんと攻撃的ですね」
真都路ちゃんの代わりに入ってきたからてっきりDFかと思ったら、このなえちゃんとやらはFWなのだ。
つまり白恋は現状4FW。あまりにも攻撃的すぎる。
『…これ、染岡の策かなぁ?』
さっきまでフィールドを仕切ってた吹雪士郎の策って感じしないんだよね。
今の3人FWの攻撃力で十分攻められてるのにDFを削ってまであらたなFWを入れる意味がわからない。
なんか、ガンガン攻めて攻めまくろうぜって染岡か、それかアツヤあたりが言いそうな案だよなぁ。
試合が開始するなり、なえちゃんはパース!パス、パス、パース!と元気よくパスをねだり、ボールを持っていた士郎が軽く蹴りあげパスを送った。
しかし、
「……なんですか、アレ」
西蔭が呆れたように呟く。
隠し球だというから期待していたが、なんと、あんな優しいパスも取れないなんて……初心者じゃあるまいし……。
『緊張してるのかな』
初試合がいきなり本戦なら緊張もする、か………えっ?
フィールドを見ていれば、なえちゃんがトラップミスして転がったボールの近く万作が拾う前に駆ける。
そう。1番近かったのは万作だった。
なのに、いつの間にか、なえちゃんがボールの元に駆けつけて、危ない危ないと、踏んでキープした。
うおおおおぉと観客席いっぱいに歓声が広がる。
『速っ……』
風丸と同じようなスピード選手か。
「こっちだ!」
アツヤが叫び、万作がハッとする。
「ゴール前、固めろ!」
「もらったで〜!てやぁ!」
なえちゃんはボールを蹴るため大きく足を振った。そして、その勢いで彼女は後ろに転がった。
足先に僅かにかすったボールが、コロコロと転がって、それをのりかちゃんがゆっくりと拾う。
え???
なんで、アツヤがパス求めてたのにシュート打とうとしたの?しかも失敗してたし。
『なんだ、この子…まるでズブの素人なんだけど……でも、足だけ以上に速いね』
「そうだね。なんでも彼女は、去年100m走で小学生記録を更新してるらしいから」
『はい??』
なんで、そんな子が陸上じゃなくてサッカーしてんのよ?
風丸みたいに部員数足りないから入ってくれって言われたわけじゃないでしょうよ。
まさか、お嬢様の気まぐれ、ってやつか?
サッカーのプレイはぎこちない。パスは受け取れないし、シュートもから回る。ドリブルも出来てない。でも、ボールを持っていない時はめちゃくちゃに速い。
ボールに触れる時間が長くなったらめちゃくちゃ強い選手になりそう。
あの速さで、ドリブルされたら止められないでしょうよ。
『これからが楽しみな選手ナンバーワンだなぁ…』
何より、フィールドを駆ける彼女は笑顔いっぱいで楽しそうだ。楽しいと感じられる時が1番経験を吸収できる時だ。この本戦の今を失敗しても楽しめて居るんだ。とんでもない大物になりそう。
ボール運びはぎこちないが、1人ワンツーのように、ボールを前へと進めて行ったなえちゃんは、ボールだけを先に蹴って急に体勢を低くした。
まるでクラウチングスタートのようだ。
「いくで〜!!シロウサギダッシュート!」
ドンッと猛スピードで駆け出したなえちゃんはボールを目前にライダーキックをかます。
「ウズマキ・ザ・ハンド!」
のりかちゃんも必殺技で対抗するが、うさぎのように弾けたボールが彼女の手のひらをすり抜けて、雷門ゴールへと突き刺さった。
《ゴーーール!!決めたのはこれがデビュー戦となる白兎屋なえだ!!》
初得点を決めたなえちゃんは、頭の上に両手をうさ耳のように乗せて、ぴょんぴょんぴょーん!と嬉しそうに飛び跳ねている。
それに合わせて観客席からアイドルのコールのように、ぴょんぴょ、ぴょーん!と合唱が起った。
兎の登り坂
そういえば、観客席かなりの数の人が、なえと書かれたうちわを持ってる。アイドルのコンサートじゃあるまいし、なんでだろうか。