アレスの天秤編
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開会式が終わり、各校の選手たちがぞろぞろとスタジアムを出ていく中、大きな声で名を呼ばれて、足を止めて振り返る。その事により共に居た野坂と西蔭も足を止めて、私と同じように振り返ってみた。
「水津!!」
声の主はブンブンと大手を振ってこちらにかけてきた。
『円堂』
「よう!久しぶりだな!」
ニカッと笑う彼に、そうだね、と頷く。
「選手になったんだな」
『うん。あの時、円堂がサッカーに勧誘してくれたおかげだよ。雷門中サッカー部に関わらなければきっと有り得なかった未来だもの』
「そうか?」
首を傾げる円堂にそうだよと頷く。
「そう言えば秋が会いたがってたぞ」
『秋ちゃんが?』
何処の学校もマネージャー達は今日は観覧席だろうし、秋ちゃんもそこかな。
チラリと待たせている野坂と西蔭を見る。
うん。会いに行きたいとか言える雰囲気ではないな。
『うーん、会いたいけど帰りの集合かかってるから』
それは本当だし、表に王帝月ノ宮のバスが待ってるだろうけど、それだけじゃなくて...まあ正直会いずらい。次の試合の事を考えると。
「そっか、残念だな。王帝月ノ宮は初戦星章学園とだろ?」
『え、ああ、うん』
抽選の結果、ウチの初戦の相手はまさかの鬼道率いる星章学園だ。正直こんな早くに当たりたくなかったな。
「鬼道と水津の戦いか〜!楽しみだな!」
『そう、ね』
「水津さん、そろそろ」
腕に着けたイレブンバンドの見ながら野坂がそう言ってきた。
集合時間に遅れたら監督がやいのやいの言いそうだ。
『ええ。という事だから円堂、秋ちゃんにはごめん、て伝えといて』
「おう!次会うなら決勝でだな!」
本戦はトーナメント式で、今回の抽選の結果的に王帝月ノ宮と利根川が当たるのは互いに決勝戦まで勝ち上がった時だけだ。
『...そうだね。じゃあ、またね円堂』
バイバイと大きく手を振る円堂に小さく手を振り返して、待たせたね、と野坂と西蔭に声をかけて歩き出す。
「あの人が、伝説のキーパー円堂守...」
西蔭は歩きながらで後ろで静かにそう呟く。
やはり同じキーパーとして気になるんだろうか。
「去年は40年振りに雷門を決勝戦に連れていき、今年もたった半年で無名のチームを本戦にまで連れてきた人か。相当優れた人なんだろうね」
野坂の言葉に思わず、いやぁ...と、零す。
『彼はただのサッカー馬鹿だよ』
「サッカー馬鹿...?」
不思議そうに2人は首を傾げる、
『まあ必ず勝ち上がってくるだろうけどね』
いくら利根川が創設したばかりのチームでも、彼はなんたって主人公なんだし。
「当たるとなると厄介そうですね」
「そうだね。梅雨さんは同じ雷門でマネージャーをしてたんでしょう?何か弱点とか知らないんですか?」
『弱点って...』
属性で言えば円堂は山属性なので風属性が弱点だが?そんなメッタメタな事言っても通じないだろうしなぁ。
円堂の弱点...苦手なもの...。
『勉強?』
「それは...、サッカーの弱点にはならないのでは?」
『いや、円堂は頭を使うのは苦手な方だから多くの戦術を使うウチには相性いいかもね』
頭の回る切れ者の鬼道の様な子がチームに居るなら別だが、そうでない限りはキャプテンである円堂がチームの指揮を取るだろうし。
「なるほど」
それにしても野坂も西蔭も、円堂と当たるのならば1番最後だと言うのに、もう決勝のことを考えているとは...。星章学園なんて目じゃないという事なんだろうけど。
星章学園と当たるということは恐らく、アレを使わない訳にはいかないだろう。
『はあ...』
「水津さん、どうされました?」
顔を覗き込んできた西蔭に、なんでもないよと首を振った。
定まらぬ気持ち
王帝月ノ宮を優勝させるとは決めたけど。まだ覚悟が決まらないのか。