アレスの天秤編
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灰崎が空中へ蹴り上げたボールを中心に、9番の赤トゲ、10番の紫頭と共に身体をグルグルひねりながらデルタの形で取り囲み、中央のボールを順に蹴りデスゾーンを放った。
禍々しい紫の光を帯びたボールは、雷門DF陣を吹き飛ばし、ゴールを守る女の子のキーパーが飛びつくよりも早くゴールに突き刺さった。
『女の子がキーパーなんだ。めずらしい』
女の子のキーパーは、アニメに出てたのは浦部リカちゃんの所属していた大阪ギャルズCCCのキーパーの子ぐらいじゃないか?ゲームだと秋ちゃんとかもキーパーで使えたけど、まさかフットボールフロンティアに女の子がキーパーやってるチームが出てくるとは...!いいね、面白い。
試合は雷門ボールで再スタートするが、ボールを持っている物にすぐさま3人のマークが付く。パスをしてボールを回しても直ぐに星章選手達のプレッシャーがかかり、あっさりと雷門のキャプテンマークを腕に付けた長髪の少年から星章学園のキャプテンマークを付けた少年...確か彼は水神矢といったかな、彼がボールを素早く奪って灰崎へとボールが回りシュートを放たれ点を決められる。
その後も同じような展開で3点、4点と点を取られて前半が終わる。
『それにしても、鬼道が居なくてこの戦力か』
「ランキング1位は伊達ではないと言うことでしょう」
『うん、星章は灰崎の得点力は言わずもがなだけど、あのキャプテンもよくチームをまとめている』
灰崎はどちらかと言えばワンマンプレイ気味だが、それをキャプテンの指揮で他の選手でカバーしてまわっている。
『鬼道のいるチームって感じするわ』
予選はブロックが違うから当たらないが、本戦ではどこかしらで当たるだろうし要チェックだな。
後半戦が始まってからも、試合状況は変わらなかった。6、7、8、9点。星章学園はどんどんと差を付けていく。
またもや灰崎にボールが回され、彼は飛び上がりどこかで見た事のあるような形で指笛を吹いた。
すると、フィールドの地面からボコ、ボコとペンギンが飛び出して行く。飛び出した6匹のペンギンが空中のボールへと突き刺さり、それを灰崎はオーバーヘッドキックで蹴り落とした。
「オーバーヘッドペンギン!!」
皇帝ペンギン2号の進化系かな。
放たれた必殺技と共に6匹のペンギン達も並走して飛んでいく。
そして、それを止める為か、雷門選手一同、食らいつくように走りそれを追いかけていく。
そしてキーパーの女の子が、止めてみせると意気込むものの、容赦なくオーバーヘッドペンギンは彼女を弾き飛ばしゴールに突き刺さった。
虚しくもピッピッピーとホイッスルが鳴り試合終了を告げた。
『1対10か...』
いやはや予想通り。雷門っていつも初戦大量得点取られてるなぁ。
「当然の結果ですね」
「そうなんだけど、西蔭、あの雷門のこと少し調べてくれないか」
ふむ?野坂から見ればあの雷門なら脅威ではないはずだけど。何に引っかかったのか...?
「わかりました」
『ねえ、それ私に任せてくれない?』
はいはい、と手を挙げて言えば、西蔭に睨まれた。いや、君の野坂からの仕事を奪ってやろうとかそういう意図じゃないから睨まないで欲しい。
『直接雷門中行ってくるよ。私、元雷門生だし』
「直接って、それは偵察にしては大胆過ぎでは?」
怪訝そうな顔をする西蔭に仕方がないなぁと呟く。
『じゃあ、調査は西蔭に任せて私は雷門の新しい後輩に挨拶してくるよ』
「いや結局行く気じゃないか。アンタ、ストーカーの件もあるんですよ」
あー...そうだった。その設定めんどくさいな。
『あれから結構経つし大丈夫だよきっと』
「いや、気づいてないんですか?時々誰かに見られてますよ。一緒にいて変な視線感じますよ?」
『えっ、何それ気持ち悪っ』
全然気づいてなかったが!???
え???きっと多分神代の奴だよね???
『西蔭のファンの女の子が見てるだけじゃないそれ?』
「何を言ってるんですか?」
訳が分からないことを言わないでくださいと言われる。なんでよ。その顔ならファンの1人や2人居るでしょ普通に。西蔭のファンの視線なら刺さったことあるしなんなら野坂のファンの視線はめちゃくちゃに刺さるよ。
「1人で出掛ける気でいるのは正直どうかと思いますよね野坂さん」
西蔭が同意を求めた野坂を見れば、少し考えるような素振りを見せた。
「そうだね、心配なら西蔭が雷門中まで送ってあげなよ。直接会ってみてデータが得られるならその方が好ましいし」
えっ、と西蔭は何故といった様子で野坂を見つめている。
『おー。流石野坂。そうじゃん、心配なら西蔭が雷門中まで着いてきてよ』
「いや、心配というわけでは。また、ストーカーに遭遇して病院送りにでもなったら試合に支障がでるのではと...」
「それを心配っていうと思うけど」
うんまあ、それも心配っちゃ心配だけど。私の心配じゃなくて試合の心配かーーい!!!
「そうでしょうか?」
「そうだよ。ね、水津さん」
『知らーーん!!』
ぷい、とそっぽを向けば2人は同時に首を傾げた。
「なんで急に怒ってるんですか」
『うるさい。君らは試合の心配でもしてろ!!』
「え、はあ...?」
西蔭は首を傾げたまま困惑した様子で、野坂はふむ、と顎に手を当ててじっと私の顔を見つめていた。
心境
少しぐらい私の身の心配もして欲しい。ただのわがままだけど。