フットボールフロンティア編
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センターラインにボールを置いて、雷門からのキックオフで試合が再開される。すぐさまボールを奪った御影専農は突然バックパスを始め、杉森の元までボールをさげた。
『あ、』
そうだった。ラストの印象が強すぎて忘れてた。こういうことしてくるんだった。
雷門選手達が責め上がりボールを奪いに行こうとするが巧みなパス回しに翻弄される。雷門イレブンはゴール前にキーパーの円堂とDFの土門と壁山だけを残して全員攻め上がっている。ぶっちゃけ格好のチャンス、攻め時だと思うのだが、それでも御影専農の選手たちは自陣に籠りパス回しを続けている。
雷門イレブン達に何もさせることなく、前半戦終了のホイッスルが鳴り響いた。
「どうしよう...先取点取られちゃいましたよ」
「キツいわね...こっちの必殺技はみんな止められちゃうんだから」
「大丈夫よ。彼らはイナビカリ修練場の特訓で一回り大きく成長したのだから」
得意げに言う夏未ちゃんに秋ちゃんが、恐る恐る、あの...と声をかける。
「あそこではサッカーの特訓は出来なかったんですけど」
「あら...そうなの?無駄な投資だったかしら...」
『そんな事ないよ』
ベンチから立ち上がって、ぽん、と夏未ちゃんの肩を叩く。
『私ちょっと御手洗行ってくるわ』
「え、ええ」
行ってらっしゃーい、と春奈ちゃんが手を振ってくれたのを見て、ベンチを出る。
ロッカールームに続く通路ではなくて、客席に続く通路の方に向かって歩く。
たしか、観客用の出入口付近に居たと思うんだけどなぁ。キョロキョロと目的の人物を探す。
「お、雷門中の嬢ちゃん」
そう声をかけられて、えっ?と振り返る。コートに身を包んだ、髭を蓄えたおじさんが壁にもたれ掛かるように立っていた。
『おに...、いさん。ラーメン屋で新聞読んでた』
危ねーーー!!鬼瓦さんって名前呼んじゃうとこだった。
「ははっ、お兄さんって歳じゃあねぇよ。おじさんで構わねぇよ」
『そ、そうですか?』
気づかれてないよね?流石に相手方名乗ってないのに名前知ってたらヤバすぎるもんな。
『試合見に来られたんですか?』
「ああ」
『サッカーお好きなんですね』
「まあな。けど、この試合はな...。いや雷門中の嬢ちゃんに言ってもしょうがないんだがな」
渋い顔をしながら言うのを見て、まあさっきのじゃなぁと、苦笑いが盛れる。
『御影専農のあれは監督命令なんですかねぇ。うちの監督もきな臭い男ですけど、御影専農の監督は更に怪し臭いですからね』
「...きな臭い?雷門の監督は確か学校の顧問の先生がなってるんだよな」
『そうですけど名ばかりの顧問ですよ。練習も見にこないし前回の野生中戦なんてベンチにもいなかったし。居ないなーって探すと、人気のないところでヒソヒソと誰かと電話してるんですよ?絶対、飲み屋の姉ちゃんとかから連絡きてるんですよ!』
「そりゃあ、いけねぇな」
『でしょう?あっ、そうだ、おじさん。私友達探してるんだけど...って電話だ』
ジャージのポケットに入れた携帯電話が震えて、取り出す。
すみませんと片手を顔の前で直立させて電話に出る。
『もしもし、秋ちゃん?えっ、嘘。もうすぐ始まる?うん、うんすぐ戻るよ』
ピッと通話終了のボタンを押して、電話を切る。
「後半戦もうすぐ始まるのか」
『そうみたいです。もう戻らないと』
そう言って踵を返せば、待て待てと声をかけられる。
「おじさん、人の顔を覚えるのが得意でよ。お前さん言いかけてた探してる友達ってのはどんな子だ?」
『え、えーっと、ドレッドヘアにゴーグル付けた中学生の男の子なんですけど』
「ドレッドにゴーグルなぁ...。確かその坊主なら向こうの観客席の入口付近で見かけたな」
『えっ、真逆だった...!ありがとうございます!』
ぺこりと頭を下げれば、いいってことよと返される。
「それより急ぎな。試合始まっちまうぞ」
『はい。それでは』
ペコペコとお辞儀をしてダッシュで、来た道を戻る。
いやぁ、鬼瓦さん、流石刑事なことあってか観客達もよく見てんだなぁ。
おかげで目的の人物が見つけられるわ。
試合は、始まってしまうが致し方ない。ベンチには戻らず先程居た客席とは真逆の観客席に入る。
『居た!』
鬼瓦さんの言った通り入口付近に突っ立っている、鬼道有人を見つけた。
「お前は...」
こちらに気がついた鬼道は少し眉をひそめた。
「もう試合が始まるようだがいいのか?」
そう言って鬼道は私を捉えていたゴーグルをフィールドの方へと向けた。
『私は選手じゃないし、優秀なマネージャーが他に3人いるから大丈夫よ』
「そうだったな。お前はマネージャーになったんだったな」
『あらよくご存知で。もしかして前の試合も見に来てくれたのかしら?10点もの大量得点しといて雷門の何がそんなに脅威なのかしらね』
クス、と笑えば鬼道は再びこちらを向いて眉をひそめた。
「雷門など、帝国からすれば脅威などではない」
『じゃあ、試合をわざわざ見に来てるのは...もしかして可愛い女の子目的かしら?うちのマネージャー、夏未ちゃんも秋ちゃんも、春奈ちゃんもとっても可愛いものね』
「なっ!...そんな邪な考えではない」
『あら、そうなの?ほら、ベンチ見てよ。あの青髪の子が春奈ちゃんって言うんだけど、元新聞部なのもあっていつもビデオカメラ片手に記録係を率先してやってくれてね』
ニヤニヤと笑いながら、鬼道を見れば彼はぎゅっと口を1文字に結んだ。
『とっても可愛い後輩なんだ。それこそ妹にしたいくらい』
ピクリと鬼道の片眉が動いた。
「何が言いたい」
ゴーグル越しに睨みつけてきた鬼道の頭にポンと手を置く。
「おい、なにを...!」
『春奈ちゃん、泣かすような事はしないでね』
「は...?」
これは保険だ。
私が関与したら話が進む。これまでに何度かあった異常、その原因が私が風丸に出会ってなかったり、豪炎寺に出会ってなかったり、そう言ったキャラクターとの接触が鍵になるのなら、これで、鬼道が影山に疑念を持ち出す正しい道筋に進んで行くはずだ。もう少し先の件ではあるが、なるべく早めに接触して異常をケアするための保険。
『さてと、私もう行くわ』
鬼道の頭から手を離して、踵を返して歩きだし、あっ、と立ち止まって振り返る。
『そうだ。影山さんに伝えといてよ。今度、デートに行きませんか?って』
「は...?」
先程より一層口をポカンとさせた鬼道を置いてバイバイと手を振った。
言付
ひっそり始まるおじさん2人、攻略ミッション