アレスの天秤編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※公式にない雷門メンバーの強化委員先を捏造しています。
空中で蹴りつけたボールが、激しい雨...いや、もはや滝や水柱のようなそれに身を隠し、ゴールへと降り注ぐ。
上から下へ雨の落ちる速度はとても速いもので、ボールは止めようとした西蔭ごとゴールへと叩きつけた。
『やったああっ!?』
高い位置からボールを蹴り落とした梅雨はぼとり、と人工芝の上に敷かれたマットの上に落ちた。
『痛たた...』
「大丈夫ですか」
近づいて手を差し伸べてくれた野坂の力を借りて、立ち上がって膝をはらう。
『ありがとう。西蔭は大丈夫ー?』
起き上がり、ゴール内に転がったままのボールを拾っている西蔭に声をかければ、問題ありませんと返された。
まあ、キーパーだもんね。
『着地は失敗したけど、今の必殺技としては成功だったよね!?』
「はい。雷門中の《イナズマ落とし》を参考にしたのがやはり良かったですね」
オーバーヘッドからのたたき落としという点から参考にしたが、1人で行う分、常にジャンプは最高点でないといけないし、ドリブルしてゴール正面を向いてスタートするとバク宙でどうしてもシュートを打つ方向が後ろになるということもあって、途中で捻りをいれたりと、色々試行錯誤して、今の形になった。
それでも西蔭の守るゴールを割れたのは今回が初めてであった。
「今のが今までで1番ボールが上に上がってから足が振り下ろされるまでのスピードが速かったと思います」
真正面からこの技を何度も見て来た西蔭が言うのだからそうなのだろう。
『うん。着地を気にするとどうしても、スピードが落ちるから、気にしないでやってみたんだけど、やっぱり案の定落ちたね。必殺技が成功しても最後落ちて怪我したら後使い物にならないしなぁ...』
それこそ今はマットを敷いてるからいいものの、本来の試合ではマット敷く訳にもいかないし。
「そこはもう練習あるのみでしょうね」
『...ですよねぇ』
うん。でもきちんとした形も見えたし、あとは着地だけと思えばやれる気がしてきた。
『西蔭!もう1回』
「はい」
大きく孤を描いて投げられたボールをトラップし、そこから右膝、左膝、頭とボールを動かして、ポンポンと頭でボールを小突きながらセンターサークルまで戻る。
「そういえば、必殺技、名前は決まってるんですか?」
『技名か、』
雷門じゃ目金が付けてくれるんだけどなぁ。
『雨...雨ねぇ...』
雨、英語で言えばRainか。
うーーん。強い雨と言えばゲリラ豪雨だけど必殺技名ゲリラ豪雨って絶妙にダサい。
『五月雨、時雨、驟雨...んー、某RPGに散沙雨って技あったな...あれは造語だっけ...』
「文学的な言い回しですけど、"篠突く雨"と言うのはどうですか?竹槍の如く激しく降る雨という意味の言葉ですが」
『篠突く雨』
野坂の言葉を復唱してみれば、すっ、と心に染みた。
『うん、うん、いいね。篠突く雨。ピッタリな気がする』
リフティングしていたボールを両手でキャッチし、それをセンターに置く。
『よし、西蔭、野坂、準備いい?』
大丈夫ですと2人が頷いたのを見て、ボールを蹴りドリブルで進む。
『野坂!』
ペナルティアーク目前で野坂にパスして、シュートの為の助走としてペナルティエリアまで全速で走る。
「水津さん」
野坂からパスが飛んできて、正面ゴール前の西蔭は「止める」と、両手を手をパンと1度叩いてから構えた。
ちょうど右足に来たボールを高く蹴り上げ、ジャンプしてその勢いでバク宙をしながら身体捻り、そして、右足の甲をボールに叩きつけた。
『"篠突く雨"』
「"王家の盾"」
西蔭は出した必殺技、王家の盾で宙から降る雨のシュートを防いで、ボールを弾いて、さも何事も無かったかのようにそのボールを両手で掴んだ。
その様子を見ながら、ぼて、とまたマットの上に落ちた。
『必殺技はズルくない!!?』
「ずるじゃないです」
何言ってんだ、みたいな呆れ顔で西蔭がこちらを見ている。
こちとら不完全な必殺技で挑んでいるというのに...。
『むぅ...』
「まあまあ、西蔭に必殺技を使った方がいいと思わせるほどの威力ということですよ」
野坂お前...フォロー上手男 かよ。
けど、今のままじゃ必殺技使えば止められるって事だよね。
『こればっかりは要練習か』
マットの上から立ち上がり、伸びをする。
そうですね、と野坂が頷く後ろで何者かが練習場に入ってくるのが見えた。
「ここに居たか」
そう言って近づいてきたのは嵐新監督だった。
「監督」
3人ともピシッと姿勢を正す。
「練習試合が決まった。再来週だ」
「相手は」
「傘美野中だ」
傘美野中学。あぁ、1からあるのにアニメでは2期に登場してエイリア学園に破壊された学校だ。
『あそこ確か、サッカー同好会じゃなかったっけ...』
「いや、現在はサッカー強化委員の介入によりサッカー部として活動している」
あれ、強化委員...あっ!そうか、稲妻町の隣町だし引っ越さなくていいという理由で半田が強化委員として行ったんだったわ。忘れてた。
「スターティングに水津が入る。必殺技もだが、グリッドオメガの練習も怠るなよ」
それだけ言って監督は踵を返して練習場を出ていった。
スタメン入り。いやまぁ練習試合だし、試験運用なんだろうけど...。
必殺技も完全には完成してないし。
それにしても、
『グリッドオメガって?』
野坂に聞けば、彼は伏し目がちに息を吐いた。
「必殺タクティクスです」
必殺タクティクスか!ルート・オブ・スカイとかみたいなやつだよね。
「スタメン入りなら水津さんにもグリッドオメガの練習に参加して貰わないとですね、野坂さん」
同調を得るように聞いた西蔭に、野坂は、ああ、と頷いた。
「水津さんには、試合までにみっちり特訓してもらいます」
『了解』
どんなタクティクスだろうか。ワクワクするなぁ。
試合まで後2週間
特訓頑張るぞー!と意気込んだ。
空中で蹴りつけたボールが、激しい雨...いや、もはや滝や水柱のようなそれに身を隠し、ゴールへと降り注ぐ。
上から下へ雨の落ちる速度はとても速いもので、ボールは止めようとした西蔭ごとゴールへと叩きつけた。
『やったああっ!?』
高い位置からボールを蹴り落とした梅雨はぼとり、と人工芝の上に敷かれたマットの上に落ちた。
『痛たた...』
「大丈夫ですか」
近づいて手を差し伸べてくれた野坂の力を借りて、立ち上がって膝をはらう。
『ありがとう。西蔭は大丈夫ー?』
起き上がり、ゴール内に転がったままのボールを拾っている西蔭に声をかければ、問題ありませんと返された。
まあ、キーパーだもんね。
『着地は失敗したけど、今の必殺技としては成功だったよね!?』
「はい。雷門中の《イナズマ落とし》を参考にしたのがやはり良かったですね」
オーバーヘッドからのたたき落としという点から参考にしたが、1人で行う分、常にジャンプは最高点でないといけないし、ドリブルしてゴール正面を向いてスタートするとバク宙でどうしてもシュートを打つ方向が後ろになるということもあって、途中で捻りをいれたりと、色々試行錯誤して、今の形になった。
それでも西蔭の守るゴールを割れたのは今回が初めてであった。
「今のが今までで1番ボールが上に上がってから足が振り下ろされるまでのスピードが速かったと思います」
真正面からこの技を何度も見て来た西蔭が言うのだからそうなのだろう。
『うん。着地を気にするとどうしても、スピードが落ちるから、気にしないでやってみたんだけど、やっぱり案の定落ちたね。必殺技が成功しても最後落ちて怪我したら後使い物にならないしなぁ...』
それこそ今はマットを敷いてるからいいものの、本来の試合ではマット敷く訳にもいかないし。
「そこはもう練習あるのみでしょうね」
『...ですよねぇ』
うん。でもきちんとした形も見えたし、あとは着地だけと思えばやれる気がしてきた。
『西蔭!もう1回』
「はい」
大きく孤を描いて投げられたボールをトラップし、そこから右膝、左膝、頭とボールを動かして、ポンポンと頭でボールを小突きながらセンターサークルまで戻る。
「そういえば、必殺技、名前は決まってるんですか?」
『技名か、』
雷門じゃ目金が付けてくれるんだけどなぁ。
『雨...雨ねぇ...』
雨、英語で言えばRainか。
うーーん。強い雨と言えばゲリラ豪雨だけど必殺技名ゲリラ豪雨って絶妙にダサい。
『五月雨、時雨、驟雨...んー、某RPGに散沙雨って技あったな...あれは造語だっけ...』
「文学的な言い回しですけど、"篠突く雨"と言うのはどうですか?竹槍の如く激しく降る雨という意味の言葉ですが」
『篠突く雨』
野坂の言葉を復唱してみれば、すっ、と心に染みた。
『うん、うん、いいね。篠突く雨。ピッタリな気がする』
リフティングしていたボールを両手でキャッチし、それをセンターに置く。
『よし、西蔭、野坂、準備いい?』
大丈夫ですと2人が頷いたのを見て、ボールを蹴りドリブルで進む。
『野坂!』
ペナルティアーク目前で野坂にパスして、シュートの為の助走としてペナルティエリアまで全速で走る。
「水津さん」
野坂からパスが飛んできて、正面ゴール前の西蔭は「止める」と、両手を手をパンと1度叩いてから構えた。
ちょうど右足に来たボールを高く蹴り上げ、ジャンプしてその勢いでバク宙をしながら身体捻り、そして、右足の甲をボールに叩きつけた。
『"篠突く雨"』
「"王家の盾"」
西蔭は出した必殺技、王家の盾で宙から降る雨のシュートを防いで、ボールを弾いて、さも何事も無かったかのようにそのボールを両手で掴んだ。
その様子を見ながら、ぼて、とまたマットの上に落ちた。
『必殺技はズルくない!!?』
「ずるじゃないです」
何言ってんだ、みたいな呆れ顔で西蔭がこちらを見ている。
こちとら不完全な必殺技で挑んでいるというのに...。
『むぅ...』
「まあまあ、西蔭に必殺技を使った方がいいと思わせるほどの威力ということですよ」
野坂お前...フォロー
けど、今のままじゃ必殺技使えば止められるって事だよね。
『こればっかりは要練習か』
マットの上から立ち上がり、伸びをする。
そうですね、と野坂が頷く後ろで何者かが練習場に入ってくるのが見えた。
「ここに居たか」
そう言って近づいてきたのは嵐新監督だった。
「監督」
3人ともピシッと姿勢を正す。
「練習試合が決まった。再来週だ」
「相手は」
「傘美野中だ」
傘美野中学。あぁ、1からあるのにアニメでは2期に登場してエイリア学園に破壊された学校だ。
『あそこ確か、サッカー同好会じゃなかったっけ...』
「いや、現在はサッカー強化委員の介入によりサッカー部として活動している」
あれ、強化委員...あっ!そうか、稲妻町の隣町だし引っ越さなくていいという理由で半田が強化委員として行ったんだったわ。忘れてた。
「スターティングに水津が入る。必殺技もだが、グリッドオメガの練習も怠るなよ」
それだけ言って監督は踵を返して練習場を出ていった。
スタメン入り。いやまぁ練習試合だし、試験運用なんだろうけど...。
必殺技も完全には完成してないし。
それにしても、
『グリッドオメガって?』
野坂に聞けば、彼は伏し目がちに息を吐いた。
「必殺タクティクスです」
必殺タクティクスか!ルート・オブ・スカイとかみたいなやつだよね。
「スタメン入りなら水津さんにもグリッドオメガの練習に参加して貰わないとですね、野坂さん」
同調を得るように聞いた西蔭に、野坂は、ああ、と頷いた。
「水津さんには、試合までにみっちり特訓してもらいます」
『了解』
どんなタクティクスだろうか。ワクワクするなぁ。
試合まで後2週間
特訓頑張るぞー!と意気込んだ。