アレスの天秤編
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再検査の結果もやはり異常が見られたが、なんとか
まあ、ひと月に1回定期検診を行うことになったのだが、異常と言うものがどういった物なのかハッキリとした説明は与えらず、ただ遺伝子異常とだけ言われている。私は異世界人なのでこの超次元世界との遺伝子が違うのは仕方がないと分かっているのだが、それを研究員や医師に伝えてしまえば、未知の生命体としてモルモットにされかねないので黙っている事にした。
さて、与えられたプログラムだが、体力作りの為の走り込みや、腹筋やスクワット等の筋トレ、距離や時間、回数などが事細かに決められてある。
決して無理のない範囲で効率的に身体を作るメニューになっているようだ。
そして基礎中の基礎であるドリブル練やパス練も同じくメニューに組み込まれているのだが、私のプログラムは他の選手より練習時間が短く設定されており、その短縮された時間でアクロバットとブレイクダンスのレッスンが組み込まれている。恐らく、他選手にはないフリースタイラーとしての性能の伸ばせと言うことなのだろう。
「そういえば、水津さんのポジションって何処になるんですか?」
本日のパス練のコンビを組まされた谷崎が、銀の長髪を揺らしてボールを蹴り、ふと、そう聞いてきた。
そういえば谷崎もだが、西蔭や葉音や奥野など後輩に当たる子達は初めて出会ったあの日は、私の事をてっきり同級生だと思っていたらしく、タメ口だったのだけれど、岡野と花咲と同じ学年と知るや否や皆すっかり敬語になってしまった。上下関係がしっかりしているというか...、彼らは同じ学年の野坂に対しても彼がキャプテンだからか、敬意を払って敬語をつかっているようだ。まあ、帝国学園も同学年の佐久間が鬼道に″さん″を付けて話したりするし、帝国だとか王帝だとか、帝がつく学校はそういう傾向が強いのかなこの世界は。絶対君主論みたいなもんかな。
まあ、それはさておき、ポジションだっけ?どうだろうね。
『雷門で2回ほど試合に参加させて貰ったんだけど、その時はDFやったんだよね』
谷崎とボールの蹴り合いをしつつ、数ヶ月前の事を思い返す。
帝国学園との試合で、顔面でデスゾーンを受けた風丸との交代でDF。そういえばレッドカード退場くらったなぁ。懐かしい。そして尾刈斗中との試合で栗松とチェンジでDFに入ってる。
「そうなんですか。どちらかと言えば、MF向きの動きをしてる気がします」
『え、そうかな』
MFのポジションの彼に言われるとそんな気もしてきたな。
「ドリブルはあまり上手じゃないですけどパス回しは正確ですし、1度自身がボールを持った時のキープ力は凄く高いと思います。ドリブルさえしなければ」
『おいこら谷崎なんで2回も遠回しにドリブル下手だとディスった』
「事実です」
フリスタじゃそんなにドリブル使わないんだもんしょうがないじゃん。
まあ、谷崎が褒めてくれたようにパスに関しては、ボールに込める力の加減というものをフリスタで身体に染みつかせているので、パスの距離感か威力のコントロールはお手の物である。なので、敢えて力強い蹴りで彼から来たパスを打ち返した。
谷崎はそれを顔色ひとつ変えずトラップで受け止める。
「パス練は終了ですね」
腕に着けた灰色のイレブンバンドを見る。最近支給されたものだが、現在の時刻がすぐ見れるし、運動量も測れるしでとても便利だ。カラーもユニフォームに寄せていて学校ごとに異なるらしい。
『うん。次はドリブル練してくるよ。ヘッタクソだからね』
そう言って、練習場内に紺色のサムライポニテを探す。見つけ出した彼に聞こえるように、両手を顔の前にメガホンのようにして、叫ぶ。
『奥野ー!交代!!』
そういえば、奥野は1度振り返って頷いて、自身と共にパス練をしていた桜庭にボールを渡してこちら側、谷崎の方にに歩いてきた。
それと入れ替わるように自分も桜庭の方へ向かう。
『桜庭、よろしくね』
「はい」
桜庭はつんつんグレーの白メッシュ頭を揺らしてうなずいた。
私はドリブル練で、ポジションがDFの桜庭にはマーク、カット、スライディング、チャージあらゆる手段で立ち塞がってもらう。
が、これが中々に抜けない。
谷崎にも言われたがほんとにドリブルヘッタクソなんだよ、ねっ。
「あ、」
かけたフェイントにようやく桜庭が引っかかってくれて、横を抜き去る。
『やった』
喜んで桜庭の方を見れば、悔しがる様子もなく、今の感じでもう一度、と淡々と距離を取る。
うーん、雷門の子達ならきっと、くそっ!とか悔しい!とか言うところなんだけどなぁ。
まあ、この子達にとってサッカーは教育の一環としてやらされているだけ、といった感じらしいので、競争心も闘争心も何もないのかもしれない。
一日の練習プログラムが終了し、使った道具の片付けに入る。
「それでは、本日の活動は終了だ」
解散と、キャプテンの野坂の合図で、それぞれ寮の方へと歩いていく。
私も早くシャワー浴びたいな、と考えながら歩いていると野坂が近寄って声をかけてきた。その数歩後ろに西蔭もいる。
「水津さん。練習中に谷崎と何を話していたんですか?」
やっべ、練習に関係ない私語厳禁だったな。キャプテンのチェック厳しいな。谷崎と何喋ったっけ?ディスられた記憶しかないな。あ、
『私のポジション何処になるんだろって話をしたわ』
「ポジション...、監督から聞いてないんですか?」
え?といった感じの反応を見せた野坂にこちらも首を傾げる。
『だって、監督初日以来会ってないし』
あの監督ほんとに監督なのか、ここ数週間まったく姿を見ていない。練習はほぼ野坂が仕切っているし。
「あの無能...」
野坂の後ろで西蔭が小さく呟くのが聞こえた。
雷門中では冬海先生はあんなだったから顧問件監督でもまともにサッカー部に寄り付かなかったし、響木さんはラーメン屋もあるので毎日監督に来れたわけではなかったので、監督は試合の時に現れるもの感があったため、気にしてなかったが、確かに王帝月ノ宮の監督あれ以降会ってないわ。
「すみません。てっきり監督から伝わっているものだと。水津さんのポジションはリベロだそうですよ」
野坂からの思いもよらない言葉に、は?と聞き返してしまった。
「リベロです。所謂攻撃型DFという」
『うん、うん、リベロはわかる』
ちょっと待ってと静止のポーズを取る。
『リベロ、私が?』
「はい」
もしかして、雷門でのユニフォームが15番だったのってこれのフラグですか...?なんだこれもあの神代ってやつのせいなのか??
「##RUBY#アレスの天秤#アレスシステム##出てた結論ですから」
『なるほど...』
まあ、フリースタイラーとしての利点を活用してもらえると思おう。
『でも、攻撃か...』
守備や繋ぎなんかはできる気がするけど、攻撃...。染岡とか豪炎寺みたいにってことでしょう??あー、いや、攻撃型DFってことはリベロ円堂もそうだけど、2の初期吹雪ってことだよね。めっちゃ体力もスピードもいるくない?
「水津さんは、確か必殺技とかなかったですよね」
『全くないね』
無さすぎて、逆に胸張って言えるわ。
『フリスタの技はいっぱいあるんだけどなぁ』
「確かに試合で有効な技もありそうですね、そこから必殺技に昇華できれば...」
フリスタの技を必殺技に、ねぇ...。
『あ、』
ピタリと足を止めた私に対して、どうしました?と2人が声を揃えた。
『ひとつ、必殺技になりそうなの、覚えがあるわ』
「へぇ、どんな?」
『うーん、と口で説明するのは難しいな。映像がイナッターとイナチューブに上がってるはず』
そう、
あの時の動画
「ネットの使用許可を得てきます。西蔭は先に水津さんの部屋に行ってて」そう言って野坂は早急に許可を得にいった。