世界への挑戦編
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「すっげぇ!見たでヤンスか!」
「イナズマキャラバンを食べたッス!!」
「イナズマジェット俺たち日本代表の飛行機です!!」
空港のガラス窓に張りついた1年生3人が外の滑走路に見える光景にキャッキャキャッキャとはしゃいでいた。
「アレでライオコット島まで飛んでいくでヤンスね!」
世界大会の行われるライオコット島と呼ばれる南の島に向かうため搭乗時間まで空港内で待機しているのだが、大会に向かうイナズマジャパンたちを見送りに雷門中サッカー部のみんなに、虎丸のお母さんとご近所の乃々美お姉さん、夕香ちゃんなどが来ていた。
『木暮も混ざれいいのに』
私の傍に立ち、雷門イレブン達と共に乃々美さんのお弁当に飛びついている1年ズを見ている木暮にそう声をかける。
『知らない人達じゃないんだからさ』
ダークエンペラーズの事が落ち着いた後に、雷門イレブンのみんなとはサッカーで交流してるんだし。
「それはそうだけど、梅雨さんだって混ざりにいかないじゃん」
言い返されて、それは確かにそう、と離れた所からみんなを見る。
『まあ、飛行機見てキャッキャする歳でもないし』
「ふーん。まあ、オレだってそんな子供じゃないもんねー」
うしし、と笑っている木暮を見て、1人でいる私を心配して隣に来てくれたのかな、とその頭を撫でた。
木暮自身も寂しいのかもなぁ。
豪炎寺や虎丸みたいに家族が見送りに来てるの見ると……。
一匹狼の飛鷹でさえ、鈴目たち子分が見送りに来てくれてるし。
木暮の頭を撫でながらぼんやりと、みんなの様子を眺めていると、染岡と目が合い、思わず視線を逸らす。
染岡がここに居るのは無事、佐久間と共に代表入りしたからだ。
いや、無事と言ってしまうのは違うな。だって、代わりに吹雪と緑川は離脱してしまうのだから。
2人の離脱は元々シナリオでそうだというのもあるけど、ここで彼らの状態を見て判断したのは久遠監督と私だ。
私自身経験があるからこそ、大会に出られない悔しさが分かるし彼らに離脱を告げるのはキツかった。
そんな事を思い返していれば、緑川とヒロトが私の前にやってきた。
「水津さん少し良いかな?」
『ん、どうしたの?』
そうヒロトに返事をすれば、彼は、ほらと緑川の背中を叩いた。
あれ、なんかデジャヴだ。
「水津トレーナー。色々と迷惑をかけてすまなかった」
そう言って緑川は深々と頭を下げた。
『迷惑って…………』
最初の頃に指示に従わなかった事や、その結果疲労が蓄積し、離脱。
戦力が減るという点では確かにチームに迷惑をかけているとも言えるが。
『緑川』
名を呼べば彼は頭を上げた。
『前にも言ったけどさ、私もキミと同じ失敗を過去にしてる。いや、むしろ緑川より酷い』
何せ私はあの一瞬で全ての機会を失った。
『私と違って緑川にはまだチャンスがある。焦らず先ずはしっかり身体を休めてね』
「はい」
過ぎたるは及ばざるが如しを身をもって経験したからか、緑川は素直に頷いた。
「それから、ヒロトの事よろしく頼みます。コイツも意外と無茶するやつなんで」
緑川のその言葉に彼の隣に立っていたヒロトは少しキョトンとした後、苦笑いを零した。
「お前、この間の根に持ってるな」
ああ、緑川の方が弟っぽいってやつか。
て、事は今のは兄貴面したってこと?
『ふふ、』
微笑ましい光景に小さく笑って、分かったよと返事をするのだった。
(染岡視点)
「染岡くん、見すぎ。気になるなら声掛けてくればいいのに」
吹雪のその声に、ハッとした様子で染岡は顔を逸らした。
「なっ、見てねぇよ!」
「いや、流石に無理があるだろう。あんなにガン見しておいて」
冷静にそう言ったのは傍にいる鬼道だった。
「水津がどうかしたのか?」
キョトンとした顔で円堂が見上げてくる。
つーか、鈍い円堂にも水津の事見てたってバレてんのかよ。
「別に何でもねーよ」
「はーん、お前……」
後ろのベンチに寝そべっていた不動がニヤリと笑って身体を起こした。
「いや、まあ、気になるよねぇ」
吹雪は松葉杖で身体を支えながら向きを変えて水津の方に視線を向けた。
「水津さん、誰かから告白されたって話あるし」
そう。前に吹雪が俺が告白したかと一方的に聞いてきて、わけも分からないまま電話を切ってきたあの後、詳しく聞けば、どうやら風丸が水津からそういう相談をされたらしい。
「なんだ、そうなのか」
初めて聞いたと言うふうに鬼道が呟く。
つーことは、水津に告白したのは鬼道じゃないんだな。
こいつら妙に仲いいから、もしかしたらと思っていたが違っていてよかった。
「でも染岡くんいい勘してるよ。ボクの見立てでも、ヒロトくんじゃないかなって思ってたんだ。2人でなんかコソコソしてること多いし」
「ああ!最近水津とヒロトよく一緒にいるよな」
どういう話か分かって無さそうな円堂がニコニコと笑ってそう言う。
マジかよ、ともう一度視線を向ければ、ずっと並んで立っていた木暮と緑川も交え、ヒロトと水津は楽しそうに談笑していた。
「そういやぁ、俺が水津チャンと初めて接触した日に助けに入って来たのがアイツだったなァ。案外そん時に惚れてたりしてな」
後ろから不動がそんな事を言ってくつくつと笑う。
おい、と鬼道が窘めるように不動に言うが、言いたい事だけ言った不動はまたベンチの上にねそべった。
「染岡、不動の言うことは気にするな」
ポンと隣の佐久間が肩を叩いた。
その顔を見るにどうやら佐久間にもバレたらしい。
応援してるからね
試合も恋も、と吹雪に別れ際にそう言われた。