世界への挑戦編
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豪炎寺と虎丸のタイガーストームが決まり、4-3で逆転した。
「まだだ!」
残り時間はあと僅か。
それでもまだファイアードラゴンの闘志は燃えたままだった。
キックオフボールを受け取ったチェ・チャンスウが敵陣に切り込みボールを運ぶ。
ブロックにきた壁山をならく落としで突破したチェ・チャンスウはボールをアフロディへと繋いだ。
「はっ!」
受け取ったボールと共にアフロディが飛び上がれば、後を追うように南雲と涼野も飛び上がった。
「「「カオスブレイク!!!」」」
3人の蹴りがボールに集まり、強いシュートとなりゴールへと飛んでいく。
「止める!」
「キャプテン!」
意気込む円堂に、飛鷹が叫べば他の選手達も、ベンチの皆もつられたように、円堂!、キャプテン!と声を上げた。
「この1点。絶対守ってみせる!」
そう言って円堂は、握りこぶしを掲げ魔人と共に高く飛び上がった。
「いかりのてっつい!!」
振り下ろした拳と地面でボールを挟み雄叫びを上げる。
途端、小さな爆発が起き眩い光が放たれた。
眩さに目を瞑る瞬間、円堂が後ろに吹き飛ばされるのは見えたが………。
次に目を開けた時には光は治まっていて、瞳に映ったゴールの姿は、ボールがゴールラインより前で地面にめり込んで埋まっている姿だった。
そして、ピッピッピッーと試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。
《予選突破だーーー!!世界への切符を手にしたのは激闘を制したイナズマジャパン!!》
実況の声に、観客席から大きな歓声が上がる。
無論、フィールドもベンチもやったー!とおお喜びだ。
「みんなの全力で勝ったぞ!行くぞ世界へ!」
オー!と皆が大きな声で返事をする中、豪炎寺だけは、少し離れてみんなの様子を見て黙っていた。
『全然、やりきったって顔じゃないね』
声をかけて顔を覗き見る。
物欲しそうな子供の顔に似ている。
「そう見えるか」
うん、と頷けば豪炎寺は小さく自嘲するように笑った。
「人に偉そうな事を言っておきながら俺もまだまだだったな」
『そうそう。だから優しくしてあげってって言ったじゃん』
「ああ、そうだったな」
他人にやった行動はいつか自分に返って来るんだから。
「だが、これで俺は……「おにーちゃーん!」
豪炎寺が何か言いかけたが、可愛い声に遮られた。
声のする方を見れば高い位置で左右にお下げを作った小さな女の子が年配の女性と共にこっちを見てニッコリと笑っていた。
『夕香ちゃんが呼んでる。行っておいで』
とん、と背中を押せば豪炎寺は頷いて妹のいる観客席の方へと歩いて行った。
妹と話す豪炎寺はまだ気づいていないが、ゲートから彼と目元のよく似た男性が歩いて来ているのが見えて、よかった、と私も歩き出す。
無論、豪炎寺一家の元ではない。家族の話しにこれ以上首を突っ込む気はない。
私が向かったのは反対側のベンチ。
試合に負けたのにそれでも清々しい顔をしている男の元だ。
『お疲れ様』
「おや、水津さん。慰めにきてくれたのかな?」
『いや』
「なんだぁ?負けたオレらを笑いに来たのかよ」
アフロディに声を掛けた時点でファイアードラゴンの面々に、なんだ?と思われていたのに、南雲のその一言で冷ややかな目線に変わったんだけど??
『なんで、私そんな性格く思われてんの?』
「お前初対面なかなかだったぜ?」
『そりゃあ、見知らぬ男の子が、アンタが探してるの俺だろ?なんてナンパみたいなこと言って来られたら、ねえ?』
同意を得るように、涼野を見る。
「何故私に振る……。でも、まあ、ナンパなぞした南雲が悪いな」
「いや、ナンパしてねーよ!アレはグランの気に入ってる雷門も見るためにだなあ!」
「ところで、何か用があって来たんじゃないのかな?」
弁解を始めた南雲を無視してアフロディが話を戻してきた。
『ああ、そう。アフロディに聞きたいことがあってね』
「僕に?」
ずっと気になっていた事がある。
『フットボールフロンティア地区予選、雷門対帝国の戦いを見に来てたでしょ』
「ああ、そういえばそうだったね」
ヒロトは吉良を通した神代の話から私を知っていて、あの河川敷に会いに来た。
『あの時既に私のことを知っていたでしょう?』
アフロディはあの時わざと私とぶつかったし、私の名前を知っていた。
「ああ。知っていたよ」
やっぱり。なら、
「影山が大層キミを気に入っていたからね」
『え、影山……』
ああ、そうか、影山……。
いや、でも……。
『あのさ、"神代"って知らない?』
「"神代"?」
こてん、とアフロディは首を傾げ、金の髪が揺れる。
「うーん、聞き覚えがないな……」
真剣な顔をして考えてくれている様子を見るに嘘をついているわけではなさそう。
『そう…』
"神"ならば接点があるかと思ったんだけどなぁ。
『ありがとう。変なこと聞いてごめんね』
「僕の方こそお役に立てなかったみたいで悪かったね」
『いやいや、大丈夫!知らないって情報を得たからね!』
成果としては十分
ありがとうともう一度言い、お邪魔したねと梅雨が離れていく中、ふと、アフロディは考える。
「そういえば、あの時は帝国も雷門にも興味はなかったし、水津さんにも影山がなんか言ってる人くらいの感じだったのに……なんで、僕はあの日あの試合を見に行っていたんだ?」
自分の事なのに分からないなんて、何か変だと、アフロディは底知れぬ何かに畏怖の念を抱くのだった。