世界への挑戦編
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鈴目たちのおかげで何とか会場入りすることが出来たイナズマジャパンの面々はベンチの前で円陣を組んだ。
「みんな!いよいよ決勝戦だ。絶対に勝って世界に行くぞ!!」
円堂の掛け声に皆が、おー!と拳を突き上げる。
「元気そうだね。それでこそ全力で倒す価値があるというもの」
外からかけられた凛とした声に、みんなが円陣を崩し振り返る。
「あ…!」
美しい金の長髪を持つ目鼻立ちの整った少年が赤いユニフォームを身にまとい、円堂の傍に立っていた。
「アフロディ!」
「やっと逢えたね」
そう言ったのはアフロディではなく、彼の背から出てきた流れるような銀髪の少年で、彼と共に燃え盛るような赤毛の性根も現れ、彼らはアフロディの左右へ立った。
「長くて退屈したぜ。決勝戦までの道のりは」
「ガゼル……!」
「バーンまでもが何故ここに!?」
現れた2人の少年の宇宙人ネームを呼んだのは、彼らと同じく宇宙人を演じていたヒロトと緑川だった。
「涼野風介。南雲晴矢。彼らもまた僕のチームメイトだ」
そう言ったアフロディの後ろに彼らと同じ赤いユニフォームの子達がずらりと並んだ。
「それじゃあまさか…!」
「そう。韓国代表ファイアードラゴン!」
力強くチーム名を名乗るアフロディに、皆は1つの疑念を抱く。
「え、でも、なんで……?」
「不思議ではないだろう?僕が母国のチームに選ばれても」
「母国……!?」
さすがの豪炎寺も驚いたように聞き返している。
「オレたちはアフロディにスカウトされてこのチームに入ることを決めた」
イナズマキャラバンとして、ザ・カオスと戦ったアフロディだからこそ、彼らの強さをよく知っている。だからこそのスカウトだろう。
「もう一度君たちと戦うためにね」
「かつての僕たちとは思わない事だ。各々が、過酷な特訓を重ねた。そして、このチームにはチェ・チャンスウがいる」
「チェ・チャンスウ?」
同じベンチにいる秋ちゃんがどの選手?というように相手選手たちをじっと見る中で、キャプテンマークを付けた糸目でアフロヘッドの少年が1歩前に出た。
「初めまして。イナズマジャパンの皆さん。いい試合にしましょう」
礼儀正しくそう言った彼に、ああ、と円堂は頷き返す。
「でも、気をつけて。決勝戦のフィールドには龍が居ますから」
そう言ってチェ・チャンスウは背を向けてチームのみんなを引き連れて韓国側のベンチへ歩いていく。
「龍?」
龍…、ドラゴン……。
1人の顔が思い浮かんで、いやいやいや、と頭を振るう。
今は試合に集中と両手で頬を叩く。
「梅雨先輩!?」
隣でいきなり頬を叩き出したから春奈ちゃんを少し驚かせてしまったようだ。
『ああ、ごめんね。ちょっと気合いを……』
「そうですね。この試合、気を引き締めなくては」
うんうん、と目金が頷く。
「そうだなあ。あのアフロディ達が相手だもんな」
エイリア学園戦はもちろんのこと、きっとFFの決勝戦も見ていたのだろう土方が呟く。
「彼らもですが、警戒すべきはあのチェ・チャンスウです」
キランと目金がメガネを光らせる。
「そんなに凄いやつなのか?」
円堂が聞けば、えぇ…、と目金は少し引いたようにつぶやき肩をすくめた。
「知らないんですか?」
呆れたように目金が言うのはごもっとも。
なんで誰も敵前調査しないのかと私も不思議に思っている。
「フィールドを支配する韓国の司令塔。その巧みなゲームメイクは完全なる戦術といわれ、あらゆる敵を打ち砕いてきたとか……。まさに稀代の天才ゲームメイカー。龍を操る者と呼ぶ人もいます」
「龍を操るもの……」
「すげえな……」
考える鬼道の横で円堂の声が漏れる。
「でもすげえじゃねえか!」
ぱあ、と楽しそうに輝いた円堂の顔を見て、皆も自然と口角をあげた。
「やろうぜみんな!決勝戦だ!」
皆が、おおー!と気合いの入った叫び声をあげた。
『よし、じゃあ、みんな念入りにストレッチしてね』
意味深に円堂を見つめる久遠監督が言わないからストレッチを始めさせる。
円堂は最後の試合になるかもしれない豪炎寺と言葉を交わし、気合いの入りすぎている飛鷹を気にかけながら土方の背を風丸が押している。
そして、ヒロトと緑川も同じエイリア学園の同朋と、ネオジャパンとの戦いから立て続けに戦わなけれならない##RUBY#運命#さだめ##に、負けられないなとお互いを鼓舞している。
そんなみんなの様子を鬼道は何か考えるように見回している。
「やれやれ厄介な連中が来たぜ」
ポンポンとリフティングをひとりでしている少年が鬼道に声をかけた。
「不動…!」
相変わらず敵対心むき出しで鬼道は不動の方を振り返った。
「まあ、こっちにも日本が誇る天才ゲームメイカー様がいるから大丈夫だろうがなぁ」
「いいか不動!これはみんなの力を合わせないと決して勝てない試合だぞ!」
鬼道が少し強い口調でそう言えば、気に食わなかったのか、不動はフン!とボールを天高く蹴り上げた。
「いいじゃねえか。どうせ俺は今日も出番なしさ」
そう言って不動は上から落ちてきたボールをヒールで受け止め蹴り上げた後前へボールを回してボールを両手でキャッチした。
「せいぜい頑張ってくれよ、鬼道クン」
そう言ってヒラヒラと片手を振って不動はベンチへ戻ってくる。
「なんなんッスかアイツ。あったまくるッス」
「ほっとけほっとけ。言わせときゃいいんだよ」
壁山と綱海の声も聞こえているだろうが、すました顔をして不動はドカッと私の横に腰掛けた。
「なんか言いたげだなぁ、水津チャン?」
『うん。キミさ、リフティング上手だし、フリースタイルフットボールやらん?』
「ハッ、確かに。ずっとベンチならそっちの方がいいかもな」
そうそう、ぼっち向き!と言ったら黙って脛を蹴られた。
なんだよ気にしてんじゃん。
まあ、本当にフリースタイルでいいんなら今ここにはいないよね。孤高であったとしても、彼がやりたいのは、11人がいるサッカーで。
だから、ずっとベンチでも彼は練習をサボった事がない。
流石に痛いなと足をさすっていたら、監督が円堂を呼ぶ声が聞こえた。
さて、
キャプテン失格だ
そう告げれた円堂は、彼の本心に気づけるかな。