世界への挑戦編
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アジア予選決勝当日。
アニメで見た時もなんで、って思ったけど、久遠さんは冬花ちゃんを連れて先にスタジアムに向かった。
運転手の古株さんがいるとはいえ、引率に大人が同乗しなくていいんか?
いや、まあ……今は私がいるけど……。
イナズマキャラバンはみんなを乗せ、試合の行われるフットボールフロンティアスタジアムへ向けて進んでいる。
私の席は、壁山がどうしてもとお願いしてきたので1番後ろの長椅子だ。
右の端を飛鷹が、左の端を不動が占領し、その間しか残っていなかった壁山が、1人では座りたくない、と。
2人ともそんな怖い子じゃないんだけど、まあビビりの壁山には無理だろうなと思い、私は壁山と不動の間に座った。
キャラバンが進む中、壁山とたわいない会話をしていれば、急ブレーキがかかって前につんのめる。
「どうしたんですか!?」
秋ちゃんが古株さんに尋ねれば、古株さんはフロントガラスの先を指さした。
そこに見えるのは、道路の真ん中に立つ4人の子供と、改造バイクならぬ改造自転車に跨ったフードを被った少年だった。
「アイツらは!」
窓越しに外を見た円堂は、見覚えがあるような反応をした。
それには、同じ座席の右端の彼も険しい表情に変わった。
「お久しぶりですねぇ。飛鷹せーんぱい」
妙に浮ついた声で、自転車に跨った少年が声をかけて来た。
「唐須!テメェなんのつもりだ!」
窓を開け顔を出して飛鷹が叫ぶ。
「今から大事な試合だそうじゃないですかぁ。だから、応援に来たんですよ」
半笑いでそう言って唐須は後ろを親指で差す。
「ほぉら、先輩に世話になった連中がこんな沢山集まってくれましたよー」
唐須の指した4人の子らは、悪い顔をしたり、ポキポキと指を鳴らす。
「参ったな……」
古株さんがどうしたもんか、という顔をしている。
まあ、このまま突っ込む訳には行かないもんねぇ。
『お話してきますよー』
仕方ないとシートベルトを外して立ち上がると目の前にスッと腕が伸びてきた。
「アイツらの目的は俺だ。俺が行きます」
そう私を制して、飛鷹はキャラバンの前の方へと向かっていく。
「オレも行く」
円堂も立ち上がって、我先にとキャラバンを降りていく。
その後に飛鷹が続いて降りていくのを見て、私は椅子に座り直した。
「飛鷹さんとキャプテンに任せていいんッスか!?」
オロオロとした様子の壁山が私と、キャラバンの外とを交互に見る。
『大丈夫。飛鷹は馬鹿ではないし、円堂も試合前だってちゃんとわかってるだろうし』
「アレはいいのかよ?」
左隣の声にアレ?と振り返れば、不動が前を指さした。
視線を動かせば、キャラバンを降りていく綱海と土方の姿が。
『あー』
あの二人意外と気性が荒いんだよなぁ。
『でも、まあ、大丈夫』
さて、とポケットから携帯電話を取り出す。
「フン、お得意のケーサツってワケか」
窓にもたれかかって手に顎を置きながらつまんねーと不動は窓の外へ視線をやった。
「お得意ってなんっスか?」
『あぁ、この子に最初に絡まれた時に、すぐ鬼瓦さんに連絡したから……っと、まあ、今日は警察呼ぶわけじゃないんだけど』
そう答えながら携帯を持った指先を動かす。
「じゃあ、何をしてるんッスか?」
『んー、ルート検索』
キャラバンの外では、自分が残るから皆に先に行けと言う飛鷹に、「誰1人欠けちゃいけない。俺たちは全員でイナズマジャパンだ」と円堂が彼の提案を拒んでいた。
「美しい友情っすねぇ……。そんなもん、全部俺たちがぶち壊してやるぜェエエ!!!」
そう唐須が叫べば、取り巻き達が拳を握りしめ、駆け出してきた。
その頭上に影が落ちる。
なんだ、と彼らが足を停めればスケボーの集団が上から落ちてきた。
それを見て、私はもう一度椅子から立ち上がる。
「間に合ったみたいですね!」
飛鷹と同じようにリーゼントをした小柄な少年がそう言って、唐須と飛鷹の間に割って入った。
「す、鈴目!?」
「飛鷹さん、ここは俺たちに任せてください!」
「唐須の好き勝ってにはさせませんよ!」
鈴目の横には3人の仲間が立っていた。
「お前たち……」
「行って下さい、飛鷹さん!急いで下さい。試合に遅れちゃいけません!」
「鈴目……」
「俺たちの夢、消さないで下さい。飛鷹さんが活躍するのが俺たちの夢なんです。羽ばたいて下さい、飛鷹さん!世界へ!」
世界へ……、と飛鷹は呆然と呟く。
『みんな乗りな!その子の男気無駄にするんじゃないよ!』
そう叫んでから古株さんに携帯を見せる。
『迂回ルート見つけました。案内するんで、子供達が乗ったらすぐUターンして下さい』
「あいわかった」
ドタドタと、4人がタラップを駆け上がってきて、キャラバンの扉を閉める。
『飛鷹』
ぽん、と彼の肩を叩くと、彼はウス、と頷いて拳を握りしめた。
行くよ、世界へ
そのためにはまず、ラスボスをもう1回倒さないと、ね。