世界への挑戦編
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「水津!」
『ほい。壁山!』
不動から飛んできたボールをダイレクトで壁山にパスするが……
「ダイレクトパスなんて急には取れないッスよ!?」
そう叫んだ壁山の前に落ちたボールは大きく泥はねをして彼のユニホームをドロドロにした。
『あー、ごめんごめん』
そう謝る私の横目で鬼道を見ると、賢い彼は早々に泥はねを起こさない方法に気づいたのか私と同じように受け取ったパスをダイレクトに次の風丸へと送っていた。
「もしかして、ああやってやるとあまり汚れないですむのかな」
泥に濡れた足元が気持ち悪いからか、険しい顔をした吹雪が近寄ってきた。
「水津さんも今、ああやってたでしょ?」
『そうだね。ダイレクトパスで連携を繋げれば、ボールが泥に落ちないから』
「なるほどね」
「でも、あの監督がヒントくれるなんて珍しいよな」
そう言って肩に木暮をぶら下げた土方がやってきた。
「そうだね。水津さんを参加させるって事は、それが明らかなヒントだもんね」
「でも、この練習は相変わらず意味わかんないけどねー」
吹雪の言葉に水を差すように木暮がシシッと笑う。
「そうなんだよなぁ。必殺技の練習じゃなく、わざわざ今更ダイレクトパスの練習をさせようって、どういう事だ?」
吹雪との必殺技を完成させようとしていた土方からすれば、わざわざこんな大掛かりにフィールドを替えてまで、ダイレクトパスの練習なんて、って感じだろう。
『ま、意味のない練習ではないから頑張ろうよ』
そう言って土方の肩にいる木暮の両脇に手を伸ばして持ち上げる。
「げ、」
『木暮は特に、旋風陣なんてボールを下に落とさない技使えるんだから頑張らないと!』
「それここでやったら手泥だらけになるじゃねーかよ!」
泥のフィールドに降ろした瞬間、ヤダヤダと木暮は逃げて行った。
「ハハッ!よし、オレらも喋ってないでやるか!」
駆けてく木暮を見て土方が笑って、吹雪も頷いて彼らは他の練習している皆の元へ向かっていった。
「こんなもんのヒントの為じゃねーだろ、オマエ」
そんな声に振り返る。
『あら、私以外友達が居なくて私にしかパスしない不動くん』
そう言えば、不動は鼻で笑った。
実際、この練習中不動は私にしかパスしていない。
「まさか水津チャンにオトモダチと思ってもらえてるとは!光栄だねぇ」
他に友達が居ないことは否定しないのかよ。
『そんな冗談はさておいて、他の子ともパス練しなよ』
「ハッ。あの馬鹿どもとか?それよりも、監督が水津チャンをわざわざこの練習に参加させたんだ。それは、アンタとやることにそれなりの意味があるってコトだ」
ほんっと賢いのにねぇ。
その性格でだいぶ損してるよ。
まあ、私も人のことは言えないが。
『それなりにはあるかもねぇ』
なんせ、私はあの子の下位互換だし。
スッ、と横目でヒロトを見る。
そういやぁ、あの時弱いだのなんだの言ってくれたよなぁ。
「……ふーん。最近ずいぶんと元宇宙人様と仲良しじゃねーの」
『お、妬いてんの?』
そう言えば、無言で彼は泥を蹴ってこちらにかけてきた。
『酷っ!先にからかってきたのキミじゃん!』
「で?」
こちらの言葉を無視して不動も視線をヒロトに移した。
『神とか宇宙人とかって信じる?』
「……イセカイジンだろアンタ」
『あ、そうね。異世界人が何言ってんのって話しだね』
そりゃそうだわ。
「要するに、そういう類が出てくるってことか……」
『そういうこと』
「いつもみたいに隠さなくていいのかよ?」
『だって対戦相手の情報、ちゃんと調べたら出てくるだろうから』
皆は調べないから、あの場で驚くんだろうけど……。
対戦相手がどんなチームかとか事前情報仕入れるのも結構大事だと思うんだけどねぇ。
「ふーん。じゃあ、ファイアードラゴンが水津チャンが得意とするような相手か、もしくはファイアードラゴンに水津チャンみたいな戦い方をする奴がいるってわけか」
『うん。後者だね』
「じゃあ、アンタとのパス練は意味ねぇな」
『だからみんなにパス回ししなって言ったじゃん』
そもそも私は試合に出れないんだから、私とのパス連携強化したって意味が無い。
「後者つーことは…………、久々に相手してもらうぜ、水津チャン」
ニヤリと不動が厭らしく笑う。
『はは、』
どうぞ、踏み台にして
物理的に踏み越えていったあの子を代わりに倒しておくれ。