フットボールフロンティア編
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本日の活動が終わり皆が帰った薄暗い部室で土門は、ノートPCを広げて本日音無が録画していたビデオカメラの映像データを送っていた。
作業を終えた土門はノートPCを自分の荷物に仕舞い、携帯を取り出しある人物へ電話を掛けた。
「はい。...はい、今日の分送りました。はい。それと...水津梅雨の件ですが...」
土門は人に聞かれないよう小さな声で電話口を覆うように喋った。
「本人から聞き出した情報なので、まだきちんと裏が取れてはないんですが...はい。えと、なんでも父親が元Jリーグ選手だったそうなんですが、水津の父親が入ってから勝てないチームになったそうで...疫病神と呼ばれサッカー界を追われて失踪し、母親が病死し親戚中を追いやられて現在一人暮らしをしていると...はい、はい以上です」
失礼します、そう言って土門は電話を切って、フゥと大きく息を吐いた。
「...これでいいのか、水津」
一部始終目の前の椅子に座って見ていた私の方を見ながら土門は震える手で、携帯を握りしめた。
『うん。上出来上出来』
「こんな嘘、調べたらすぐバレるぞ...」
二重スパイをやると決めた、というよりはやる他なかった土門は不安そうにそう言った。
土門に電話口で伝えさせたのは、完全なるでっち上げ。この身体の親が何してるとかそんなものそもそも知らないし。書類の類に書かれた水津神代という人物が父親なのか母親なのかさえ分からないのだから。
『いいんだよ、バレて』
「なっ、お前!俺の首がかかってんだぞ!」
『大丈夫、キミは私に偽の情報を掴まされ、騙されたフリをすればいいだけだし』
嘘の情報だが、内容的に恐らくあの人は釣れるハズだ。
「けど、」
『大丈夫だって。キミの信頼は雷門の本当のデータを送り続ける事で保てるから』
「それは...そうかもしれねぇけど。普通、二重スパイって嘘の情報流すもんじゃねぇのか?いいのかよ、ホントのデータ渡しちまって。雷門は100%勝てねえよ」
そう言われて、本日何度目かの大丈夫を返す。
『キミが鬼道と影山から確実に信頼される事の方が大事』
「雷門が負けちまってもいいなんて、やっぱりどっかのスパイなんじゃ」
『負ければいいなんて一言も言ってないじゃない。イレギュラーがいるから100%とは言えないけれど、雷門は勝つよ』
「どっからくんだよその自信...」
呆れたように呟いた土門の胸にコツンと拳を置く。
『君達、雷門イレブンを信じてるって事だよ』
ニッ、と笑って拳を離し、さあ帰ろうと席を立つ。
「...、信じてる、ねぇ」
疑念を持ったまま土門は小さく呟いた。
I Believe
俺は...雷門イレブンじゃないのにな...。