世界への挑戦編
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ゴール目前で虎丸からパスを受け取った豪炎寺が、シュートではなく虎丸の肩へと蹴ったボールを叩きつけた。
ボールがぶつかった虎丸は倒れ、ボールはラインの外に転がっていく。
「はあ?なにやってんだ豪炎寺のやつ!」
画面を共に見つめる綱海は驚いた顔をしている。
『豪炎寺のいつものお説教タイムだよ』
ファイアトルネードはやめてあげてと言ったけど、優しくしてあげてって言うべきだったなぁ、と痛むのか座り込んだまま肩を押さえている虎丸の姿を見つめる。
「あはは…、ボクも前にやられたよ」
苦笑いをしながら吹雪も画面を見つめた。
『豪炎寺はサッカーに真っ直ぐすぎるんだよね』
音声が流れないので画面の向こうの声は聞こえないが、豪炎寺が虎丸を叱咤しながら、チームの皆や敵であるデザートライオンを指し示している。
「そうだね。でも、おかげでボクは変われたよ」
そう言って吹雪は先程とは違う笑みを浮かべた。
画面の先では虎丸の傍に寄った円堂が、信じろと言うようにトンと自身の胸を叩いた後、彼の肩をグッと持った。
他の仲間も彼らの周りに集まって笑っている。
それを見た虎丸が立ち上がって、いたずら小僧のようにニッと口角を上げた。
「おっ、いい笑顔だな!」
つられて綱海も笑っている。
それからデザートライオン側のスローインで試合が再開される。
ドリブルでかけてきたザックは、圧をかけるように詰め寄ってきた飛鷹にビビったのか、後ろのカイルへとパスをだした。
それを風丸がカットし、鬼道がボールを取り前線を駆け抜ける虎丸へとパスをだした。
それを受け取った虎丸の前にデザートライオンの3人がマークしてきたが、虎丸は器用に彼らの間をすり抜けてボールを運んだ。
そんな彼に直ぐに、MFがスライディングを仕掛けてきた。それすらも虎丸は軽々としたジャンプで避け、目前に立ち塞がったDFを見て瞬時に、誰もいないサイドへと大きくボールを蹴り飛ばした。
敵も見方もいないその位置へ落ちるボールを、イナズマジャパン随一の瞬足である風丸が追いつき、ダイレクトに虎丸へパスしボールを戻した。
ゴール前までボールを運んだ虎丸は、大きく足を広げて両手の拳を握りしめ、格闘技のような構えをした。
そこから繰り出された蹴りで、飛ばされたシュートは虎の咆哮と共に真っ直ぐゴールへ飛んでいく。
デザートライオンのGKはそれを見てストームライダーで対抗するものの、立ち上がった土煙を貫通し、虎丸のシュートがゴールネットを揺らしたのだった。
「うおおおお!」
「やった!」
画面をみつめていた綱海と吹雪も勝利を決定したシュートに歓喜の声をあげ、それを見たドクターが笑った。
「それだけ元気なら大丈夫そうですね。チームの元へ戻りますか?」
「おう!」
「うん!」
できるだけ安静にすることを条件に告げ、ドクターに許可を貰った2人を連れて、急いでフィールドへと戻る。
戻ったらちょうど虎丸の小6カミングアウトに皆が驚いている所だった。
「小学生だったのか、お前……」
「だからって、甘く見てたらエースの座はいただきますよ?いつかオレ、豪炎寺さんを超えて見せますからね」
そう言って虎丸がニヤッと笑えば、豪炎寺は面食らったような顔をした後直ぐに鼻で笑った。
「頼もしい仲間が加わったな、豪炎寺」
円堂がポン、と肩を叩けば豪炎寺は、ああ、そうだなと力強く頷いた。
『はい、とりあえず皆水分補給してー』
パンパンと手を叩いて皆をベンチに呼ぶ。
「あー!綱海!吹雪!2人とも大丈夫か!?」
駆け寄ってきた円堂に、おうよ、と綱海は親指を立てた。
「うん、ごめんね。ちょっと暑さにやられちゃったみたい」
そう言って吹雪は謝っている。
『そう、暑かったからね。しっかり水分とって。塩飴も用意してるから食べてね』
はーい!というみんなの返事を聴きながら虎丸に近寄る。
『虎丸。肩は大丈夫?』
「肩…?あ!はい、大丈夫です!」
『本当に?誰かさん、小学生相手でも容赦ないからなあ…』
そういえば豪炎寺がバツが悪そうに目を逸らした。
「あはは!当てられた時は確かに痛かったですけど、今は大丈夫です!それに豪炎寺さん、手加減してくれてましたから」
『まあ、ファイアトルネードじゃなかったからね。でも、人に故意にボールをぶつけるのはやっぱり関心しないな』
じろり、と豪炎寺を見れば、彼はこちらに近寄った。
「……悪かった」
素直に謝った豪炎寺を見て虎丸がくすくすと笑った。
「大丈夫です。おかげで目が覚めましたから。でも、流石の豪炎寺さんもトレーナー相手じゃ形無しですね」
「フッ、うちで水津に勝てるやつの方が少ないさ」
「ああ、確かに。あの不動さんも手懐けてますもんね」
手懐けてたんだ、と不動を見れば会話が聞こえていたのかピキピキと青筋を立てていた。
無邪気生意気
本来の虎丸の言動に、これから振り回される子が多そうだ。