世界への挑戦編
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ビッグウェイブスがボール得てFWのジョーが再びメガロドンを放った。
「この技は1度見た」
打たれたシュートを前に、あろうことか円堂は瞳を閉じた。
集中し神経を研ぎ澄ませた円堂は、ハッと目を開いた直後、大きく振りかぶって、拳を前に突き上げた。
「正義の鉄拳!」
1点目は返すことの出来なかったメガロドンを、今度は円堂の拳が跳ね返して見せた。
これが、合宿所から出でるのも練習するのも禁止と言われた中、狭い部屋で自ら考え出来た特訓の成果だろう。円堂は、やったぁ、と嬉しそうにしている。
そして、円堂が止めて跳ね返ったボールは、綱海が追いかけて、ボールに飛び乗った。
「俺に乗れねえ波はねえ!」
先ほどと同じように荒々しい波を乗りこなし、シュートを放つ。
「グレートバリアリーフ!」
こちらも先ほどと同じように必殺技で対抗される。
「海は、俺のもんだ!!!」
綱海がそう叫ぶと共に、ボールは波の壁を突き抜け、ゴールへと突き刺さった。
「ザ・タイフーン!!」
眼鏡の縁を持ち、光らせながら目金が早々に命名する中、皆はやったやった!と大喜びしている。
「久遠監督!」
『あっ、こら!』
勝手に立ち上がった鬼道を慌てて支える。
「俺たちがオーストラリアとご確認戦えているのは監督の采配のおかげです!」
喜んでいたベンチの皆は、ピタリと動きを止めて静かになり、真剣に叫ぶ鬼道のことを見守った。
だが、話しかけられている等の本人は、背を向けたまま振り向かない。
「貴方はチームをダメにするような監督じゃない!桜咲中で何があったんですか!」
「お前が知る必要はない」
そう言って久遠監督はタッチラインの方へ向かって行った。
「監督!」
『ほんっと、不器用な人だね』
知る必要がないと言うのは、鬼道に対する優しさだろうな。
でも、やっぱり久遠監督ら振り返ることはない。
とりあえず安静にしろ、と一旦鬼道をベンチに座らせる。
本来なら、響木さんが現れて説明するところだけど、彼は現れない。
久々だな……私がいることによるバグ。
試合を見に来るとは言っていたから観客席にはいるだろうけど、私がみんなを見守る彼の席を奪ってしまった。
奪ってしまったのならば、その分の仕事はしなければなるまい。
『10年ほど前。桜咲中サッカー部はフットボールフロンティア地区予選大会の優勝候補の一角だったらしいんだけど、最強のチームとの対戦の前日、部員たちは相手と喧嘩し怪我をさせてしまった、と』
「……最強のチーム……!まさか……!」
鬼道は眉を顰める。
『そのまさか。だからこそ、監督はキミに知らせたくなかったんだろうね』
「帝国学園………」
帝国学園のキャプテンで、影山を師としていた鬼道にはこの話は複雑だろうという久遠監督の優しさ。
『暴行事件だと公にされてしまったら、サッカー部は無期限活動停止となり、部員たちはサッカーができなくなってしまう』
確かに怪我をさせてしまった。けど彼らは影山にはめられたのだ。
『そこで、久遠監督は自分が問題を起こしたことにして、決勝を棄権させた。その事で指導者資格を停止された』
選手たちへの優しさが故に、呪われた監督だなんて異名をわざわざ背負って………。
『で、今年、停止が解除され、そこで響木さんが監督要請をしたってわけ』
子供たちのために自分を犠牲に出来る人だ。響木さんの信頼を得るには十分だろう。
フィールドではビッグウェイブスの選手交代が行われていた。
MFのマッドに代わり入ったMFのクライブが綱海にマンツーマンディフェンスについた。
これ以上綱海に得点させないためだろうが、問題ない。
綱海の身体能力の高さなら多少強引にでも振り切れる。
「男ならこんなネチネチやってねぇで、ガツンとぶつかって来やがれ!」
そう言って綱海はマークを振り切った。
マンツーマンディフェンスはサッカーに置いて立派な戦術なんだけど……綱海に煽られたあの選手はちょっと可哀想。
そうこう思っていたら、虎丸から綱海にパスが通った。
「打たせるな!」
ビッグウェイブスのニースがそう叫べば、すぐさま綱海の周りに4人のデフェンスがついた。
それをみて綱海はノーマークの壁山へとパスをして、壁山をそれをトラップした。
「うぇ!?」
トラップしたボールを足元に置き、次のパス先を探した壁山は固まった。
『判断が早いねえ』
先ほど綱海に4人も着いていたのに、彼らは散って、全員がマンツーマンディフェンスに着いていた。
壁山がどうしようとキョロキョロと周囲を見回していると、土方のマークに着いていたジョーがニヤリと笑って壁山へ向かって走り出した。
ひえ!と悲鳴を上げて壁山はドリブルで逃げる。
「どうすればいいんっス!?」
「ひとりで持ち込め!」
久遠監督がそう叫べば、ええ!?と驚いた壁山はすぐ側まで近づいてきたジョーに横からチャージングされて、一瞬よろめきかけた。
今までの壁山なら、そのまま転けて俺には出来ないっス、とか言っていただろう。
けど、エイリア学園と戦い抜いて、久遠監督のシゴキに耐え抜いた今の壁山は違う。
「負けないっスー!!!」
雄叫びを上げ、ジョーを押し返し、壁山はその間ドリブルでボールを運んで行った。
その顔は何かに気がついたようで、晴れやかな顔をしていた。
「虎丸くん!」
壁山のパスは2人のマークにつかれながら走る虎丸の数メートル前に出された。
「ンッ!」
虎丸はスライディングでボールに追いつき、そのままドリブルでゴール前へへ持ち込む。
そんな彼の前を豪炎寺が走り、豪炎寺にはDFのカーメイが付いていた。
「ふんっ!」
虎丸がシュートの体制に入ったことにカーメイが即座に気づき、スライディングで足元へ滑りこんだ。
それを虎丸は待ってましたと言わんばかりに、計ったように飛び上がって空中でボールを豪炎寺へとパスした。
虎丸からのパスを豪炎寺はダイレクトにゴールへ向かって蹴りつけた。
ファイアトルネードより大きな炎の渦が、ビッグウェイブスのゴールへと飛んでいく。
「グレートバリアリーフ!………うわっ!」
渦巻く炎は波の壁を破り、キーパーごとボールをゴールへ叩きつけた。
「爆熱スクリュー!」
ピピッーとホイッスルが鳴り響く中、目金が眼鏡を光らせながら自信満々に命名した。
《ゴール!!豪炎寺の新必殺技でイナズマジャパン逆転!!》
角馬さんの実況の裏でピッピッピーと立て続けにホイッスルが鳴る。
《ここで試合終了!イナズマジャパン!初戦突破!》
やったー!とみんなが喜びの声をあげている。
そんな中、豪炎寺が険しい顔をして虎丸に声をかけていた。
「随分と虎丸を気にするな?」
隣の鬼道に言われて、あー、と気の抜けた返事をする。
『まあ、いろいろとね』
それに虎丸だけじゃなくて、この先は………。幾人かの選手達を目で追った後、鬼道の方へ向き直る。
『あの子らも気になるけど、とりあえずはキミだよキミ。今から病院だからね』
そこんところは抜かりなく
目の前の仕事からやってくよ。