世界への挑戦編
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ビックウェイブスのボックスロック・ディフェンスに苦戦するイナズマジャパンのメンバーを見かねて、まだ気づかないのか!とベンチから久遠監督が声を張り上げた。
「箱の鍵はお前たちの中にある!」
そう言って久遠監督は親指で自身の胸を指した。
『もっと分かりやすく教えてあげればいいのに』
「なら、答えを知ってる水津チャンが教えてあげればいいじゃねぇの」
不動は分かった上で、ニヤリと口角を吊り上げてそう言ってくる。
『今ここでそれをするんなら、真・帝国戦でもしてるって』
「そりゃあそうだろうな。つか、アンタが試合に出られりゃ、あんなタクティクス速攻敗れるだろ」
『いや、いくら知ってるからってそんな簡単にできるもんじゃないって』
「ハッ、真・帝国戦でひとりでボールキープして運んでたのどこのどいつだよ」
いやあれは佐久間にシュートを打たせたらダメだったから、パス中にボールカットされないように頑張ってただけで………。
あー、いや。要するに現状がその時と似たようなことってとこか。
複数に囲まれてもフリスタで鍛えた私のキープ力ならボールを取られない。
『なるほどね。……答えが分かってるのにベンチにいるのってどんな気持ち?』
「とりあえず隣のヤツを一発ぶん殴りてえな」
『ハッハッハ、代表外されてもいいならどうぞ?』
最強の盾で脅せば不動は、チッと大きな舌打ちをした後、顔を背けてフィールドを見ることに専念し始めた。
またもボックスロック・ディフェンスで囲まれた鬼道が、自身の身から離さぬように上手くボールをコントロールしてキープし始めた。
鬼道は私のフリスタ練習に余裕でついてくるくらいリフティングが得意だし、あの狭さなら難なくキープできるはずだ。
そして何より瞬時の判断能力が優れている。
ビックウェーブスの選手達がボールを狙うあまり、味方同士で肩がぶつかりあい、ふらついた一瞬、その隙に彼らの隙間を縫ってボールを通した。
ボールは豪炎寺が受け取って、ゴール目指してドリブルで進む。
だが、今度はゴール前のディフェンダー達が豪炎寺へボックスロック・ディフェンスを仕掛けた。
尾刈斗中戦の時からそうだったが、攻略法を考えてから動くタイプの豪炎寺は、久遠監督の言葉と鬼道の動きから察したのか、ボールを起点にグルグルと体を回して、体の向きや目線で何処にパスを出すのか相手に分からなくさせた上で回転の勢いのままボールを蹴り飛ばした。
《イナズマジャパン、ボックスロック・ディフェンスを完全に攻略したー!》
豪炎寺からのパスを吹雪が受けったところで、久遠監督が再び口を開く。
「お前たち、準備をしておけ」
ベンチに向かって言われた言葉に、虎丸と栗松が元気よく、はい!と返事を返した。
その横で立向居は、なんで、と言うように久遠監督の背を見つめている。
『どうしたの、立向居』
不動を挟んだ先の立向居に問かける。
「その、ボックスロック・ディフェンスを攻略したのになんで、選手交代なんだろうって……」
『ディフェンス攻略の鍵と、ゴールを割る鍵は別って事かな』
そう答えて見るフィールドの先では、吹雪が放ったウルフレジェンドが、ビックウェイブスのキーパー、ジーン・ベイカーにグレートバリアリーフという必殺技で簡単に止められてしまっていた。
「攻め手の強化って事ですか?でも今のメンバーなら……」
シュート技のある選手なら豪炎寺に吹雪、ヒロトに緑川に綱海、合体技ならツインブーストを打つ鬼道や炎の風見鶏を打つ風丸もいる。十分な戦力に思うだろう。
『まあ、とにかくアップしときな』
「わかりました」
素直に頷いた立向居をみて、フィールドへと向き直すと、豪炎寺がボールを取り返し爆熱ストームを打つところだった。
しかし、これもグレートバリアリーフで止められてしまった。
ジーンからのボールを受け取って、攻め上がる選手が、わざとボールを戦の外へと転がした。
《おっと、ビックウェイブスここで2人の選手交代か!》
3番が15番と6番が13番との交代を示す札が掲げられている。
《ミッドフィールダーとディフェンダーを入れるようです!ロベルト監督の意図は何処にあるのか》
こちら側にスローインを渡してまでメンバーチェンジをしてきたビックウェーブスに何の警戒もなく、スローインからボールを受け取った緑川が攻め込んで行った。
そのに先程投入されたディフェンダーが、緑川へと駆け寄っていく。
「グレイブストーン」
彼は真上に高く飛び上がり、落ちる勢いで地面を叩き付けた。
すると、グラグラと地面がひび割れしだして、それを避けようとする緑川の足元から槍の穂先のように鋭い岩々が勢いよく地面から飛び出して緑川を吹き飛ばした。
《ビックウェイブス、ボックスロック・ディフェンスが通用しないとみるや、個人技でのディフェンスに切り替えてきた!》
「大量、スピード、テクニック、戦術、切り替えの速さ。全部素晴らしいです」
戦術アドバイザーとして起用された目金がそう言う。
15番から13番にボールが渡りドリブルで駆ける彼の前に木暮が立ちはだかろうとした。
しかし、13番のMFはヒールでボールを上に飛ばした後くるりとボールに背を向けて、空中にあるボールに合わせて飛び上がって両足を屈伸させる勢いでボールを飛ばした。
「カンガルーキック」
「うわっ!」
小柄な木暮はボールをぶつけられて後ろへ飛ばされてしまう。
『木暮!』
運動神経がいい木暮は上手く受身を取って、直ぐに起き上がった。
「海だけじゃなかったの!?」
「どうやら、リザーブとして陸で鍛えられた選手達が控えていたようですね!?」
オーストラリアは海に囲まれた島国だけど、日本の20倍もある面積で、エアーズロックなど広大な自然のある国だ。
イナズマジャパンだって、雷門中だけじゃない色んなチームの選手が集まったチームだ。
ビックウェイブスだって、オーストラリアの色んなチームの選手達が集まったチームなのだから、海で鍛えた選手も陸で鍛えた選手もそりゃあいるだろう。
相手は優勝候補
一筋縄ではいかない様子。