世界への挑戦編
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日本代表の合宿が始まって早々、久遠さんに呼び出された。
『なんですか、久遠さん』
「それだ」
『それ?』
それって……なにが??
「何を思って線引きしているのかは知らないが、トレーナーである限りお前はイナズマジャパンのチームの一員だ。一員であるからには、私の事は監督と呼ぶように」
『一員、ですか……』
あーあ。響木さんも瞳子さんも私がみんなと立場を分けている事に気づいても知らないフリしてくれてたのに。
ほんっとこの人は嫌な監督だよ。
決して響木さんや瞳子さんを監督として認めていなかったという訳ではなない。
ただ、私が勝手に##RUBY#みんなと同じ#この世界の住人##だと勘違いしないために引いた線だ。
それを、いつ消えるか分からない今になって無くせだなんて、本当に酷い人だ。
『分かりました。久遠、監督』
「ああ、それでいい」
真顔で久遠さんはそう言った。
そういうところやぞ。練習初日にして、
「円堂くんは、どう思った?あの監督の事」
なんてヒロトが言って、練習終わりに食堂に集まった多くの子供たちが監督に対し不信感を顕にしたのは。
「どうって……そりゃあ少し変わってるけど、いい監督じゃないか!思ったことをハッキリ言ってくれるんだし。きっと俺たちにはまだまだ足りない所があるんだよ!世界を目指すにはさ!」
円堂のようなポジティブさがある者は少ない。みんな険しい顔をしたままだ。
『そうねぇ、言い方がキツイから厳しく感じるんだろうけど、私は久遠さ…監督の指摘は正しいと思ったよ?壁山は、もっと前に出ろってやつとか……』
「う、そうッスか…?」
不安そうに壁山は見つめてくる。
『うん。壁山は身体が大きいからゴール前に立ってるだけでも、十分な壁になる。だけど、ただ立ってるだけの壁を前にするよりも、大きな壁が動いて詰め寄ってきたほうが怖くない?』
「壁が動いて寄って来るんスか…!?こ、怖いッス!」
『怖いでしょ?だから壁山はその動く壁を目指せるといいかもね』
「なるほど……そういう事だったんッスね」
納得したッス、と壁山は強く頷いた。
『風丸に言ってた事も、私も前々から気になってたし』
「前々からって……」
風丸は困惑したような顔をしている。
久遠さんの風丸への指摘は、鬼道の指示がなければ満足にプレーも出来ないのか、というもの。これには指示を出した鬼道自身も思うところがあるのか、神妙な顔をしていた。
『だって風丸。鬼道が雷門に入る前まではDFの指揮を自分が取ってたじゃない』
「それは……、俺が先輩だったからですよ」
雷門DFとディフェンスよりのMFはほとんど1年生。2年生は土門もいたけれど転校生でスパイということもあって、そういう立ち位置には回らなかったから、必然的に風丸がやるしかなかったといえばそうなのだろう。
『だけど、鬼道が来てからやらなくなった。まあ、優れた指揮官が居るならその傘下に入る方が楽なのは確かだし、分かるけどね。だけど勿体ないな、と思うよ。風丸は他の子に指揮できる程度には考えて動くことができるのに』
「勿体ない、か……」
そう呟いて風丸は考え込んだ。ここからどうするか、は彼自身が決めることだ。
「水津さんみたいに言ってくれたらわかりやすいのになー」
ぐでーと緑川がテーブルに伏せる。
『久遠監督が敢えて詳しく説明しないのは、自分で自覚しろってことなんだと思うよ』
瞳子さんもそうだったけど、この世界の監督本当に説明下手だからなぁ。フォローするこちらの身にもなってくれ。
『まあ、あくまでも壁山と風丸の件は、私の思ったことだから監督が同じ考えかは分からないけれどね。だからこそ、今日監督に言われたことをみんなそれぞれちゃんと考えること!』
いいね?と聞けば、はーい、とみんなから返ってきた。
と、まあ上手くその日はフォローしたつもりだったのだけれど、その後の練習も久遠節が炸裂して、選手たちは疲労と共に不満も蓄積していっていた。
久遠さんは間違っちゃいないし、言いたいことも私は理解できるけど、流石に不動が風丸の背後からスライディングをしたのを褒めたのは納得いかない。
『久遠監督。選手が怪我をする危険のあるプレイングを褒めるような発言は、トレーナーとして看過できません!』
選手の健康管理はトレーナーの仕事だ。たとえ相手が監督だろうが、選手の怪我を未然に防ぐ為には食ってかからなければならない。
「怪我を恐れて大事な局面でボールを見過ごすような選手は必要ない」
『いや、そもそも後ろからのスライディングはイエローカードもしくはファウルですけど!?』
「イエローカードやファウルを恐れていては───」
脳筋がよお!!どこまでもボールを追って食らいついていくガッツがいるっての分かる。
けど危険なプレイングをするのは別問題でしょうよ!
前途多難
だがしかし、選手たちの為にもここで折れる訳にはいかないのである。