世界への挑戦編
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『ホントにうちで良かったの?お話ならもっとオシャレなカフェとかのがよかったんじゃない?』
そう訊ねながら、放課後やってきた夏未ちゃんを自分の部屋に招き入れた。
「わ、私だって、その、貴女の友人なのですから、友達の家に来るのは普通でしょう?」
なるほど。真っ赤な顔をしてそう言う夏未ちゃんは、確か昨日、円堂たちと勉強会をする場所を家に決めた時に羨ましそうに話を聞いていたな。来たかったんだね。
『そうだね』
ベッドの上に置いていたクッションを取って、それをローテーブルの前に置く。
『じゃあ、こちらへどうぞ』
「ありがとう」
そう言って夏未ちゃんはクッションの上に座った。
『狭くて落ち着かないかもしれないけど、ちょっとお茶入れてくるから待っててね』
管理人のヨネさんには悪いが、お嬢様のお家からしたら集合住宅の1部屋なんて凄く狭く感じるだろう。
部屋を出て、共有のキッチンを借りてティーポットに茶葉を入れて、ポットのお湯をそこに注いで蓋をする。
お盆にティーポットとティーカップ、それからシュガーポットを乗せて急いで部屋へ戻った。
『お待たせー』
座ったままの夏未ちゃんは少しソワソワした様子で実に可愛らしい。
ローテーブルにお盆を置いて夏未ちゃんの対面に座りカップに紅茶を注ぐ。
『お砂糖はいくつ?』
「1つでいいわ」
了解と返事をしながらお砂糖を入れて、夏未ちゃんの前にカップを置いた。
『それで、話したいことって?』
自分の手元にもカップを用意しながら本題に入る。
「その、貴女に聞くのはずるい事だと分かっているのだけれど……」
夏未ちゃんは言いにくそうに話を切り出した。
「影山の事を調べていた時に、鬼瓦刑事も仰ていた通り、円堂くんのおじい様の死に関係している事が分かったわ。ただ、その件を調べて行くうちに、円堂くんのおじい様が本当は亡くなったのではなく亡命されたのではないか、という調査結果に至ったの」
『ふむ。それを円堂に言う前に私を介した理由は?』
「まだ確信がないし、それに、生きているとしても、わざわざ自分を死んだ事にする、なんて余程の理由がなければしないはずだわ」
『そうだね』
「だから、円堂くんに話す前に水津さんに確認したかったの」
本当に賢い子だ。喜び勇んで教えるわけではなく、きちんと確信を得てから行動する。大事な事だけど、中々出来ることではない。
しかし、確認か……。
『悪いけど、みんなの未来を左右するかもしれないから私は何も言えないよ』
そう答えたが、既に、賢い夏未ちゃんは、私が驚かなかった反応で円堂大介が生きている事を確信してるだろうな。
「ごめんなさい。そういう意味ではないのよ。貴女から未来を聞き出そうだとかそういうことではなくて、……ただ、円堂くんに話さないでいることが間違いじゃないって、私が思いたかっただけで………」
『ああ、なるほど………』
その気持ちは、よく分かる。
私もみんなに先の事を話さず黙っていたし、これからも話す気は無い。
「……貴女はずっと、こんな不安を抱えていたのね」
そう言って夏未ちゃんは胸に手を置いた。
まあ、私は……覚悟の上でそれを選んだし。
『夏未ちゃんは優しさ故に真偽がハッキリするまで黙っておこうとしてるんでしょ?なら大事よ。そういう理由なら黙ってたからって怒る子じゃないもの円堂は』
私の件だって、あの感じだったし。
「そうね、円堂くんはそういう人よね」
そう言って夏未ちゃんはふんわりと笑った。
「だからこそ私は、彼の為に何かしたいと思うのでしょうね」
『そっか。その感情は素敵な事だと思うよ』
愛だよ、愛。
『で、何をしようとしてるの?現状の調査で終わらせる気はないんでしょう?』
知ってはいるけど、一応ね。
「ええ。今までは亡くなった理由を調べていたから国内での調査をしていたけれど、亡命した可能性があるならお父様に頼んで海外へ調査範囲を広げようと思うの」
それが出来る権力と財力流石だわ。
『なるほどね。当時の渡航履歴が見つかるといいけど』
「そうなのよ。40年も昔の事だし、何より本名で渡航してはいないでしょうし………」
『難しそうだよね』
だからと言って私が教えてしまうわけにはいかないし………。
『円堂のおじいさんなら海外でもサッカーしてそうだけど、それっぽい目撃情報とかあれば……』
「そうね。少しでも情報がないか調べてみるわ」
夏未ちゃんはそう力強く言うのだった。
『うん。頑張ってね』
ええ、と頷いた彼女はカップを持って、ひと口紅茶を飲んだ。
「それから、話は変わるのだけれど貴女、吉良会長との面会はどうなったの?」
『まだよ。鬼瓦さんからの連絡待ち。私の件よりも先に、被害にあった子供たちの事や、関わった研究者たちの情報だとか、そういうのの取り調べが先だろうからね』
「そうなの……。前に私が貴女の事を調べていたって話をしたでしょう?」
前、というと………響木さんが記憶喪失の嘘ついた辺りだったかな。
「その時、まず父に貴女が雷門にきた理由を聞いたのだけれど、その時父は、友人に頼まれて転校の手続きをしたって言っていたの」
『うん?友人??』
恐らくは、1番最初に理事長から貰った書類にあった保護者の欄に書いてあった、アイツ……神代というやつのことだろうが………。
理事長と友人ってどういうことよ。
「やっぱり引っかかるわよね。吉良会長も神代という名を口にしていたし……怪しく思って父にもう一度訊ねたのよ」
私は直接、吉良星二郎と話す機会がなかったから、みんなから伝え聞いた話だが、吉良は神代からお告げのような形で、エイリア石の事や私の事を聞いていたらしい。
で、吉良を唆したようなヤバいやつと友人なんて言っている父親に対し夏未ちゃんが心配になるのは当たり前だ。
「そうしたら父は友人から確かに頼まれたと言う記憶はあるけれど、その友人が何の友人かはハッキリと分からないらしいの。普通、友人なら分かるでしょう?学生時代の友人だとか、趣味で知り合った友人だとか……。そういうのが一切思いだせないならしいの」
『記憶が操作されてる……?』
え、こわ。そんなの人間じゃないじゃん。
正に神
んなアホな、とは言えいのはここが超次元だからか。