脅威の侵略者編
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ピピーッとまたゴールを告げるホイッスルがなった。
闇野シャドウのダークトルネードが決まって、5点目を許してしまった。
どんまい次だ次!と円堂がチームメイトを励ましているし、皆もまだまだ!と諦めてはいない。
しかし………。
視線を前へ向ければ、ゴーグル越しの視界に映るのはダークエンペラーズの紅一点。
彼女は、マックスと影野に何やら指示を出している。
「やはり、敵にすると厄介だな」
本人は、情報を知ってるからだ、と言って謙遜していたがいたが、ただ知っているだけではああも巧みにアドバイスは出来ない。
考えることは嫌いじゃないと言っていたし、策を練ったり問題点を見つけて修正する事に向いているのだろう。
実際、俺も頼りにしていた。
だからこそ、俺の思考が見抜かれた。
綱海たち、追加メンバーを中心に攻略する予定が、フィールドプレイヤーとして出てきた水津自身によって壊された。
皆が未知数な綱海には、あの突拍子もない運動神経をも勝る自身の跳躍力を武器に当て、こちらの最高速度である吹雪には向こうの最高速度である風丸を使って対応する。
塔子や木暮には、染岡やシャドウのようなパワーで押し切るタイプを当てる。
その他の雷門中生には動きを理解している半田、マックス、宍戸を使って切り抜ける。
そして、なにより、立向居のムゲン・ザ・ハンド。
発動に目と耳を研ぎ澄ませ、集中力が必要なのを知った上で、FWだけでなくMFもフル稼働で前線に上げ、畳み掛けるようにシュートを打ってくる。
反対にダークエンペラーズ側のディフェンスは、DFの影野と西垣をゴール前から動かさないようにしている。
こちらが、1点取っていた時のように左右に引きつける作戦も、点を取られて直ぐに水津が何があっても動くな、とでも2人に指揮したのか、つられなくなった。
2人が動かない代わりに、小回りの効く栗松を動かし、豪炎寺や吹雪の牽制をしている。
普通なら一人一人の負担が大きく相当無茶が掛かる作戦ではあるが、それでいて誰1人息切れ1つしていないのは、エイリア石の力か………。
それに対してこちらは、選手のほとんどが肩で息する状態だ。どう見ても疲弊しきっている。
向こうのスピードに追いつくには、こちらは常に全力疾走。
向こうのシュートを防ぐには、こちらは最大パワーを常に引き出す状態。
故意にシュートをぶつけられたり、怪我をさせられたりもしたわけでもないのに、疲労の蓄積だけで、皆、立つのがやっとな様子。
「完全に水津のリズムだな………」
そして、そのリズムにはいささか気になる点がある。それは………。
再び動き出した試合の中で、水津を見ていれば、やはり少しおかしな動きをしている。
今のだって、風丸に渡せば簡単に突破出来たであろうとところだが、あえて水津はマックスにボールを回した。
風丸の向かい側から来ていたのは………円堂。
「鬼道、水津の動きがおかしい」
そう言って寄ってきたのは豪炎寺だった。
「ああ。何を企んでいるんだ………」
「今のだけでなく、さっきも染岡にパスした方がスムーズに通りそうだったが、あえて、マークの多いシャドウに回していた」
「それってさっき、ボクが染岡くんに向かってた時のだよね」
そう言って吹雪も寄ってきた。
こう防戦一方だと、FWも中々向こうの陣地へ上がれないか。
「ああ、あの時点ならまだ吹雪は追いついていなかったし、染岡にはマークがついてなかった」
ここから先はお前が考えろ、とでも言うように豪炎寺はそれだけいってボールを追って走って行った。
それを見て吹雪もディフェンスのフォローをしに行った。
風丸と円堂、そして染岡と吹雪か………。
この二人が当たらないようにしているのか。
だとしたら、それは………。
「土門、少しいいか」
「え、こんな時になんだよ」
こちら側のゴール前に風丸、マックス、染岡が走り向かっていた。
「さっき水津のことで何かに気がついていただろう」
「それは………」
そう呟いた土門は水津を見たあと、吹雪に視線を移した。
「喜んでるように見えたんだよ。吹雪がシュートを決めたのを見て、梅雨ちゃん、多分喜んでた。普通、点決められたら悔しい顔するだろ」
それはつまり、吹雪のスランプが治ったことによる喜びだったのだろう。
だとしたら水津が今やろうとしていることは………。
「そういうことか」
いや、水津はいつだってそうだったな。
あの影山ですら、踏み台にする気の女だ。
だったら俺も全力で行こう。
「壁山は風丸をマーク!円堂はシャドウを!綱海は染岡だ!」
「はいッス!」
「おう!」
「任せろ!」
疲れは見えるもののまだまだ力強い返事を聞き、俺は次なる策へ移行するのだった。
疑獄に連累するのは
沖縄のあの夜に俺が決めたことだった。