フットボールフロンティア編
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フットボールフロンティア地区予選1回戦。雷門中対野生中の試合は、随分と深い森の奥地にある野生中のグラウンドで行われる。
応援に来ている観客のほとんどは野生中の物と思われる緑色の制服に身を包んでいて明らかにアウェーであるが、我が雷門中にも小さく可愛らしい応援団が3人も来てくれた。そのうちの1人は壁山の弟でサクくんと言うらしい。
兄ちゃんは″あの″帝国に勝ったんだぞ、と2人の友達に誇らしげに言うサクくんにプレッシャーを感じてか、壁山がいつもの如くトイレに引き篭ろうとしたところを皆で何とか止めて、試合開始に至る。
ドリンクやタオル、救急箱の準備を終え、秋ちゃん、春奈ちゃん、そして控え選手の目金と土門と共にベンチに座る。
雷門中のボールでキックオフで始まり、一度後ろへと戻されたボールは風丸から染岡に渡り豪炎寺へとセンタリングをあげる。高めに上げられたボールに豪炎寺がタイミングを合わせて跳びファイアトルネードを打つ体制を取る。しかし、野生中のキャプテンでMFの鶏井がすかさず跳び上がり、豪炎寺よりも高い高さでボールを蹴り弾きあげた。
「高さじゃ負けないコケッ!」
飛べない鶏モチーフの癖に本当に高く飛ぶ。
奪ったボールを鶏井はチーターのような見た目の11番、水前寺にパスを出した。半田がマークに着くが、モチーフ通りの素早い脚でフィールドを駆け抜け半田のマークを振り切り、少林寺のスライディングを交わし、風丸のチャージを避けた彼はゴールにシュートを放つ。
「来い!...えっ」
水前寺が蹴ったのはシュートでなく、ボールはゴール手前の頭上に上げられた。そのボールに野生中7番、大鷲が高く飛び上がる。
「センタリングか!」
気がついた影野がジャンプするが、大鷲は背の高い影野の遥頭上に跳びそこから両手でX字を宙に切って必殺技の体制になった。
「コンドルダイブ!!」
ヘディングシュート、誰もがそう思った。
それはGKの円堂もで、止める!と円堂はシュートコースを定める。
しかし、
「ターザンキック!!」
円堂がボールを正面に捉えた瞬間、横からターザンロープにぶら下がった9番の五利がシュートチェインを行った。
「何っ!させるか!熱血パンチ!!」
そう言って円堂は大きく右の拳を振るった。辛うじてボールを弾き、弾かれたボールは風丸の足元へ。
「いやー、やっぱ野生中はジャンプ力が凄まじいな」
「ジャンプ力だけでなく個人個人の身体能力も相当高いですよ」
土門の言葉にまるで分析官のように眼鏡を光らせながら目金が喋る。
『うーん。2人とも一応アップしといてね』
「「えっ、」」
目金は少し引きつったような表情で言い、土門はまるで、俺?と言うような表情で驚きの声をあげた。
「新人の俺の出番なんてないんじゃないの」
「そ、そそ、そうですよ。僕が出るほどの相手でもありませんし」
俺は関係ないとでも言うような雰囲気の土門と、ガタガタと震えながら言う目金に小さくため息を吐く。
『いいから、一応準備しといて』
「りょーかい」
「は、はい...」
2人が返事をしてベンチから立つのを見て、再び試合に意識を戻す。
もう一度どうにか豪炎寺の元までボールを運んできたが、すぐに3人のマークに付かれてしまったようで動けないみたいだ。
「豪炎寺!!」
こっちだと言わんばかりの染岡の声に豪炎寺はボールを大きく蹴りあげた。
「ドラゴンーーー」
ボールを受け止めた染岡がそのままドラゴンクラッシュの溜めに入る。
「うぉぉぉおおおおお」
5番、獅子王が雄叫びを上げて、まるで肉弾戦車のように転がりながらそのまま染岡に突っ込んで行き、吹き飛ばされた染岡はフィールド外の木製の柵に強く叩きつけられた。
「染岡っ!!」
『秋ちゃん、救急箱っ!!』
「は、はい!」
土埃が晴れたそこには足首を押さえて苦しそうな呻き声をあげる染岡が地に転がっていた。
試合はボールが外に出たことによりちょうど止まったので、救急箱を抱えた秋ちゃんと共に染岡の元に走る。
「染岡!」
雷門選手達も心配して集まってくる。
『待って、皆動かさないで!!...、染岡、意識はあるね』
「ぅ...あ、ああっ...」
返事を聴き、しゃがんで彼の様態を見る。
頭や耳からの出血はない。意識もハッキリしてる。
『痛いのは足だけ?頭や背中は?』
「っ、足だけだ...!」
なら、動かしても大丈夫か。
『円堂、豪炎寺手伝って』
ああ、と2人が返事をしてくれたので、染岡の上半身を起き上がらせて、柵が背もたれになるようにしてもらった。
『捻挫だといいけど、折れてたら厄介ね。診せてね』
そう声をかけて、足を押さえている染岡の手を剥がし、ソックスを捲るとやはり足が腫れ上がっていた。
『触るね。痛かったら言って』
そっと腫れた部位を親指の腹で押すように触れる。
押して痛い訳じゃなさそうだし、折れてはないか...。
「どう、水津さん?」
『捻挫かな』
心配そうに覗き込む秋ちゃんにそう返せば、彼女は眉を潜めた。
「じゃあ、試合は無理ね...。水津さん、これ氷嚢」
『ありがとう』
腫れた足にそっと氷嚢を当てる。
「選手交代しかないか...」
そう言って円堂達がベンチの2人を見つめる。
「ど、土門くん。君にチャンスを譲ってやるよ。決してビビっているわけではないからね」
そう言って後ろに向いた目金にやれやれといった様子で土門が立ち上がる。
「チャンスねぇ」
立ち上がった土門はじっと、染岡の手当に当たっている梅雨の背中を見据えた。
「まるで、交代するのが分かってたみたいだったな」
「な、何か言いましたか土門くん!?」
「いや、なーんも」
偶然にしては
秋に出した救急箱の指示も早かったよなぁ。
応援に来ている観客のほとんどは野生中の物と思われる緑色の制服に身を包んでいて明らかにアウェーであるが、我が雷門中にも小さく可愛らしい応援団が3人も来てくれた。そのうちの1人は壁山の弟でサクくんと言うらしい。
兄ちゃんは″あの″帝国に勝ったんだぞ、と2人の友達に誇らしげに言うサクくんにプレッシャーを感じてか、壁山がいつもの如くトイレに引き篭ろうとしたところを皆で何とか止めて、試合開始に至る。
ドリンクやタオル、救急箱の準備を終え、秋ちゃん、春奈ちゃん、そして控え選手の目金と土門と共にベンチに座る。
雷門中のボールでキックオフで始まり、一度後ろへと戻されたボールは風丸から染岡に渡り豪炎寺へとセンタリングをあげる。高めに上げられたボールに豪炎寺がタイミングを合わせて跳びファイアトルネードを打つ体制を取る。しかし、野生中のキャプテンでMFの鶏井がすかさず跳び上がり、豪炎寺よりも高い高さでボールを蹴り弾きあげた。
「高さじゃ負けないコケッ!」
飛べない鶏モチーフの癖に本当に高く飛ぶ。
奪ったボールを鶏井はチーターのような見た目の11番、水前寺にパスを出した。半田がマークに着くが、モチーフ通りの素早い脚でフィールドを駆け抜け半田のマークを振り切り、少林寺のスライディングを交わし、風丸のチャージを避けた彼はゴールにシュートを放つ。
「来い!...えっ」
水前寺が蹴ったのはシュートでなく、ボールはゴール手前の頭上に上げられた。そのボールに野生中7番、大鷲が高く飛び上がる。
「センタリングか!」
気がついた影野がジャンプするが、大鷲は背の高い影野の遥頭上に跳びそこから両手でX字を宙に切って必殺技の体制になった。
「コンドルダイブ!!」
ヘディングシュート、誰もがそう思った。
それはGKの円堂もで、止める!と円堂はシュートコースを定める。
しかし、
「ターザンキック!!」
円堂がボールを正面に捉えた瞬間、横からターザンロープにぶら下がった9番の五利がシュートチェインを行った。
「何っ!させるか!熱血パンチ!!」
そう言って円堂は大きく右の拳を振るった。辛うじてボールを弾き、弾かれたボールは風丸の足元へ。
「いやー、やっぱ野生中はジャンプ力が凄まじいな」
「ジャンプ力だけでなく個人個人の身体能力も相当高いですよ」
土門の言葉にまるで分析官のように眼鏡を光らせながら目金が喋る。
『うーん。2人とも一応アップしといてね』
「「えっ、」」
目金は少し引きつったような表情で言い、土門はまるで、俺?と言うような表情で驚きの声をあげた。
「新人の俺の出番なんてないんじゃないの」
「そ、そそ、そうですよ。僕が出るほどの相手でもありませんし」
俺は関係ないとでも言うような雰囲気の土門と、ガタガタと震えながら言う目金に小さくため息を吐く。
『いいから、一応準備しといて』
「りょーかい」
「は、はい...」
2人が返事をしてベンチから立つのを見て、再び試合に意識を戻す。
もう一度どうにか豪炎寺の元までボールを運んできたが、すぐに3人のマークに付かれてしまったようで動けないみたいだ。
「豪炎寺!!」
こっちだと言わんばかりの染岡の声に豪炎寺はボールを大きく蹴りあげた。
「ドラゴンーーー」
ボールを受け止めた染岡がそのままドラゴンクラッシュの溜めに入る。
「うぉぉぉおおおおお」
5番、獅子王が雄叫びを上げて、まるで肉弾戦車のように転がりながらそのまま染岡に突っ込んで行き、吹き飛ばされた染岡はフィールド外の木製の柵に強く叩きつけられた。
「染岡っ!!」
『秋ちゃん、救急箱っ!!』
「は、はい!」
土埃が晴れたそこには足首を押さえて苦しそうな呻き声をあげる染岡が地に転がっていた。
試合はボールが外に出たことによりちょうど止まったので、救急箱を抱えた秋ちゃんと共に染岡の元に走る。
「染岡!」
雷門選手達も心配して集まってくる。
『待って、皆動かさないで!!...、染岡、意識はあるね』
「ぅ...あ、ああっ...」
返事を聴き、しゃがんで彼の様態を見る。
頭や耳からの出血はない。意識もハッキリしてる。
『痛いのは足だけ?頭や背中は?』
「っ、足だけだ...!」
なら、動かしても大丈夫か。
『円堂、豪炎寺手伝って』
ああ、と2人が返事をしてくれたので、染岡の上半身を起き上がらせて、柵が背もたれになるようにしてもらった。
『捻挫だといいけど、折れてたら厄介ね。診せてね』
そう声をかけて、足を押さえている染岡の手を剥がし、ソックスを捲るとやはり足が腫れ上がっていた。
『触るね。痛かったら言って』
そっと腫れた部位を親指の腹で押すように触れる。
押して痛い訳じゃなさそうだし、折れてはないか...。
「どう、水津さん?」
『捻挫かな』
心配そうに覗き込む秋ちゃんにそう返せば、彼女は眉を潜めた。
「じゃあ、試合は無理ね...。水津さん、これ氷嚢」
『ありがとう』
腫れた足にそっと氷嚢を当てる。
「選手交代しかないか...」
そう言って円堂達がベンチの2人を見つめる。
「ど、土門くん。君にチャンスを譲ってやるよ。決してビビっているわけではないからね」
そう言って後ろに向いた目金にやれやれといった様子で土門が立ち上がる。
「チャンスねぇ」
立ち上がった土門はじっと、染岡の手当に当たっている梅雨の背中を見据えた。
「まるで、交代するのが分かってたみたいだったな」
「な、何か言いましたか土門くん!?」
「いや、なーんも」
偶然にしては
秋に出した救急箱の指示も早かったよなぁ。