脅威の侵略者編
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「ダメだ!ワケわかんねー!」
そう言って綱海が自分の頭をワシャワシャと掻きむしる。
「宇宙人だと思ってたヤツらが人間で仲間だと思ってたヤツが異世界人?はい、わかりました、とはならないよねー」
木暮はお手上げと言うよに、肩付近で掌を上に向けた。
「しかも、本当は居らん人とか急に言われても分からんて………」
リカは眉をひそめている。
「何が起こるか知ってたって事は………しょうりんや先輩達が大怪我するのも知ってて黙ってたって事ッスよね……」
壁山は口元に手を当てアワアワと青い顔をしている。
「全部知ってて、俺たちを騙してたって事なのか……?話すって言ってたのも嘘で、最初から逃げる気だったのかもな」
一之瀬は俯いて、太腿の横でぐっと拳を握りしめている。
「響木さん……」
響木が以前、フットボールフロンティア決勝前にチームの輪を乱すからと秘密裏にしたのが正解だったというように、イナズマキャラバンのみんなは混乱していた。
「何故、今、彼らにその話を……?」
瞳子が聞けば、響木は瞳子の質問には答えずサングラス越しに子供達を眺めた。
「お前たちは今の話を聞いて、水津に裏切られた、と思ったか?」
「そりゃあ……」
そう、というように幾人もが頷く。
その中で、恐る恐るというように土門が手を伸ばした。
「俺は前に、梅雨ちゃんに秘密教えてくれよって聞いたことあったんだ。けどさ、今の話聞いて正直、そりゃあ話せないよなって思った。俺は……俺自身がスパイだったからさ、分かるんだよ」
土門は眉を下げて、悲しそうな顔をしていた。
「梅雨ちゃんも昨日言ってたろ?監督が話さなかったのは、怖いからに決まってんじゃん。私もみんなを騙してるから分かるって……。それを聞いた時に、俺は俺もそうだったなって思った。とんでもない話だからこそ、みんなの反応が容易にわかる。分かってから言えなかったんだろうな」
そうだな、と鬼道が同意の声を上げた。
「俺もアイツの話を聞くまでは、ずっと俺たちを信用していないから話してくれないものだと思っていたのだが、蓋を開けてみれば違った。アイツは何も言わないことを選んだんだ。それは、俺達を信用しているからこそだ」
「意味がわかんねぇよ。なんで何も言わないことが信用してるってことになるんだよ?」
綱海が聞けば、フッと鬼道は不敵に笑った。
「信用しているからこそ、未来を変える必要が無かった、ということだ」
「そうか!水津は俺たちなら、そのままでもやれるって信じてくれてたんだな」
円堂の言葉に、そうだ、と鬼道は力強く頷いた。
「でも、真・帝国の時は自ら動いてたッスよ?」
「佐久間達を助けたかったそうだ。半田たちの時は、見捨てる形になってしまったから、とな」
「やっぱり、みんなのことは見捨てたんッスね……酷いッス………」
壁山がガッカリと肩を落とす、その横で、目金が眼鏡のブリッジをぐい、と押し上げた。
「壁山くん、水津さんは恐らく助ける気でしたよ」
「どうしてそんなことが言えるんッスか」
ジロリ、と壁山は目金を見下ろした。
「ジェミニストームとの戦いの中、水津さんは僕より先に立ち上がって交代する、と言っていました。それを僕が代わりに出ると引き止めたんです。青い顔して震える女性をフィールドに立たせるなんて紳士ではありませんからね」
「えっ、そうだったんッスか!?」
「そうね。あの日は水津さん、ずっと震えていたわ」
あの日自分を心配して握ってくれた彼女の手は、自分以上に震えていたと夏未は話す。
「悪意を持って裏切っていたわけじゃないと思うわ。でなければあんな顔はしないし、あんなに必死にみんなの手当をしたりはしないと思うの」
「そうだね。ボクも裏切られただなんて、思ってないよ。まさか、瞳子監督が話すより前にボクとアツヤのこと知ってたなんてビックリだったけど………」
そう言って吹雪はギュッと首に巻いたマフラーの裾を握りしめた。
「でも、ずっとボクの事、心配してくれてて、酷い事も言ったのに見守ってくれて……。こんなボクだってみんなの元に居ていいんだって教えてくれたんだ。悪い人なんかじゃないよ」
吹雪の言葉に、せやな、とリカが頷いた。
「アンタの事、梅雨がずっと心配しとったんはウチがよお知っとる!アイツはずっと見守ってたんや」
「そうだな。水津は何も言わなかったが、何もしてないわけじゃない。みんなを見守ってくれていたこともそうだが、行動にも移していたこたもある。例えば、俺を助けるために鬼瓦刑事への連絡先をエイリア学園にバレないようにこっそりと教えてくれたり、土方に俺を大海原中の観客席まで連れてくるように伝達したりな」
豪炎寺がそう言えば、皆はそんなことしてたのか、と驚いたように顔を上げた。
「水津さんはいつもオレを助けてくれましたよ。久しぶりのフィールドプレイヤーで上手く立ち回れないオレをカバーするような作戦考えてくれたり、アドバイスをくれたり。怪我をした時にはいち早く駆けつけてくれます。だからオレは信じてます!」
「まー、確かに怪我には人一倍うるせー奴だったよなぁ。前に顔面ブロックしたらめちゃくちゃ怒られたもんな」
綱海がそう言えば、同じく顔面ブロックをして怒られた経験のある土門がうんうんと頷いた。
「悪い奴じゃないなんて、そんなこと分かってるよ!」
そう、一之瀬が嘆きの声を上げる。
「悪い奴じゃないってのも、鬼道が言うように未来を変えようと動かないくらい俺たちを信じてるっていうのも、分かるけど………じゃあ、なんで今、居ないんだよ!せめて、アイツの言葉で言ってくれれば俺だって……!」
クソッと自分の腿を拳で叩きつける一之瀬を、ダーリン……と心配そうにリカが見つめた。
「なあ、そもそもあのおっさんが言ってた事がホントとは限らないんじゃないか?」
「塔子ちゃん?どういう事?」
秋が首をかしげれば、だから、と塔子は続けた。
「水津が居なくなったのが自分の意思とかいうの。本当はエイリア学園が攫ったのに嘘ついてるんじゃないか?」
「確かに、本当の事を言う必要は向こうにはないもんねー。悪いこと企んでるおっさんの話なんか信じる方がおかしいんじゃない?」
ししっ、と木暮が笑う。
「そうだ!そうだよ!」
ぱあ、と顔を輝かせて円堂が頷く。
「きっとエイリア学園に捕まってる!だからさ、助け出して納得いかないことは水津本人に直接聞こうぜ!」
なあ、みんな!と円堂が一同に声をかける。
「そうだな。救い出して全部話してもらえばいい」
豪炎寺が強く頷く。
「ああ。それで、アイツがやってきたことに文句がある奴は、直接言ってやればいい」
フッ、と鬼道は鼻で笑った。
「へっ、そうだな!ここでウダウダ悩んだってしょうがねえし、面と向かって話すのが1番だ!」
ニカッと綱海が笑顔を見せる。
「そう、だね。うん。俺も会ってちゃんと水津と話したい」
そう言って一之瀬は握った拳を開いて顔を上げた。
「異世界人とかちょっと怖いッスけど……水津先輩はずっと優しかったんッス………。いや、時々怖い時あったッスけど……!目金先輩が言ってた事が本当なら信じたいッス!」
「本当ならとはなんですか!本当ですよ!」
壁山の言い草に、全く……と目金はため息を吐く。
「ま、みんながみんなして問い詰めたら可哀想だし、俺は慰める係でもしますかねー」
土門がそう言えば、いいな!と塔子が声上げる。
「アタシもそれやるよ!」
「オレもそうします!」
ハイハイと手を挙げる塔子につられたように立向居も手を挙げる。
「んだよ、話するだけだってのに悪者みたいにすんなよなー」
綱海が口を尖らせてそう言う。
「監督の狙いはこれだったんですね」
そう言って夏未は響木を見上げた。
「ああ。今のお前らなら、多少混乱はしても自分達で決めてまとめられるだろう。それは、瞳子監督。アンタが選手達の自主性を重んじた結果だ」
「響木さん……」
瞳子は小さく頭を下げた。
「監督!」
そう、円堂が声をかければ、瞳子は頭を上げて振り返った。
「オレたち、エイリア学園に勝ちます!勝って、水津を助けて話を聞きたいです!監督とも分かり合えたんだ!だからやってみせます!」
「円堂くん……。ええ。行きましょう!」
分かり合うために
そのために、まずはジェネシスに勝とう。