脅威の侵略者編
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髪を下ろした風丸と、いつもよりも鋭い目付きでこちらを睨んでくる染岡。
2人を使って脅してくる研崎の事だ。おそらく私の部屋にリカちゃんと塔子ちゃんがいることも知ってるだろう。
何かあってはいけない。そう思い大人しく研崎に従うと言えば、彼は黒いサッカーボールの力を使って我々を一斉に移動させた。
サッカーボールの放つ眩い光が消えて、目に映るのはよく分からない装置の置いてある、窓のない白い部屋だった。
『ここは……、星の使徒研究所……?』
「やっぱり知ってるんだな」
その言葉に後ろを向けば、風丸と染岡と同じフード付きのコートを着て顔を隠した9人がいた。
「でも流石にこれは予想外だっただろ」
先程の研崎と同じように、そう言ってフードを被っていた彼らはそれを脱いだ。
『………、』
半田、松野、影野、栗松、宍戸、少林寺。
それから御影専農キャプテンの杉森と秋ちゃん達の幼なじみ、木戸川清修の西垣。
そして……、染岡が離脱する際、河川敷で特訓をしていた杉森とバックアップチームを組むと言っていたシャドウこと闇野カゲト。
「驚いて声も出ないといったところでしょうか」
やけに嬉しそうに研崎は笑ってそう言う。
……気まずさから口を閉ざしていたのだけれど、なにやら先程から彼らの言葉がおかしい気がする。
「彼らは私が集めた優秀な選手達です。この石の価値に気付いた、とても優秀な、ね」
そう言って研崎は、デスクの上に置いてあった小型のジェラルミンケースのロックを解除して開けて見せた。
ウレタンクッションの上に置かれた紫色の小さな石達。それがキラリと怪しく光る。
『エイリア石………』
「貴女の事だ。この石についても、そしてエイリア学園についても全てご存知でしょう」
『そうね。……5年前に飛来し、この富士山麓へ墜落した隕石。その石に秘められたエナジーで強化された人間の子供達に宇宙人と名乗らせているのがエイリア学園』
「ええ。では、ジェネシス計画についてもご存知ですね?」
『ジェネシスは、エイリア石を利用して強くなったジェミニストームやイプシロンと戦わせる事でそれらよりも強くなった、エイリア石を使わない強化された普通の人間』
そうです、と研崎は頷く。
「あの男は復讐のためにそれらの計画を企てました。しかし、それはあなた達雷門イレブンによって止められるのでしょう?」
余程の確信があるのか、ニヤニヤと笑いながら研崎はこちらを見た。
「貴女の知る未来では、必ず雷門イレブンがジェネシスを倒す。だから貴女は雷門イレブンには何も言わず、事の顛末を見守っていた。あの男の娘が、あの男と同じように、ジェミニストームやイプシロンと戦わせ雷門イレブンを強化するのを黙って見ていた。違いますか?」
何も違わない。
周りにいる雷門の子達からの視線が棘のように刺さって、痛い。
「本当に全部知っててあの日、ボクたちをジェミニストームと戦わせたんだ」
ふーん、と鼻を鳴らしながら冷めた目で松野が私を見た。
『………、そうだよ。あの日、君たちが酷い怪我を負うと知りながら、戦おうとするみんなを引き止めなかった』
そっと、目を伏せる。
あの日のことを何度も考える。けれどきっと私は何回だって同じように、彼らに戦うなとは言えないだろう。だって、彼らが戦わなければ傘美野中は破壊されて、きっとその後他の学校だって……。
「他のメンバーを強くするために、俺らの事は見捨てたってことですか!」
「ひどい……」
宍戸が憤慨したように言い、少林寺がボソリと呟く。
言われても仕方がない。私はそれだけのことをしている。
「………俺たちが弱いから」
『違う!』
影野の言葉を慌てて否定する。
『違うよ。君らが弱いからじゃないんだ。私が……、私が、知らない未来に進むのが怖かっただけ』
「そんなの自分勝手過ぎるだろ」
半田の言葉に、そうだね、と頷くことしか出来ない。
「俺は、水津の気持ちも分かるけどな」
そう言って、ぽん、と肩に手を乗せたのは、風丸だった。
「知らない道の先が崖だったら?そう思ったら知ってる安全な道を選ぶだろ。俺も同じだよ、水津。自分に限界を感じながらどれだけいるか分からない敵に恐怖しながら戦うより、強い力を手に入れてどんな敵も倒せるようになりたい」
そう言って、風丸は研崎が先程開いたジェラルミンケースの中にある紫色の石を1つつまみ上げた。
「この石で俺たちが、ジェネシスより強くなれば、もうエイリア学園との戦いに畏怖する必要もない」
『それは………』
「水津。怪我の心配だって誰よりも強ければ必要なくなる。そうすりゃあお前だって、未来が変わることを恐れて黙り込まなくていいんだ」
『染岡………』
知らない顔だった。
元々強面だけど、彼のことを怖いと思ったことは1度もなかった。
けど、私を納得させるために喋っているのに、染岡の方が逼迫したような顔をしていて、えもいわれぬ恐怖を感じた。
「みなさんの中には、水津さんに反感がある方もあるでしょう。しかし、私は貴女の存在を、行動を知り、やはり旦那様のやり方では最強の戦士など作れないと理解しました。貴女のおかげで、この最強のハイソルジャー達を私は手に入れたわけです。感謝していますよ」
ククク、と研崎は笑った。
「より強化されたエナジーを使い、ジェネシスよりも強い彼らで、ジェネシスを倒した雷門イレブンを倒し、世界中にハイソルジャーの脅威を知らしめる。それが私の目的です。貴女には知らぬ世界の先を見せて差し上げますよ」
研崎の今の言葉で、やっと彼らの今までの言葉の違和感が分かった。
研崎は、##RUBY#ダークエンペラーズ#みんな##の事を私が知らないと思っているんだ。
確かに、普通の物語ならジェネシスを倒して終わりだと思うよね。だからこそ、研崎はそこでハイソルジャー計画を終わらさない為に、自分がこうすることで未来を変えた、と思い込んでいるのか。
私の存在がなくとも、元々吉良から覇権を握ろうとしていたのに……。
物語の上で
結局、彼は踊らされているだけだ。