フットボールフロンティア編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
練習の成果、豪炎寺はジャンプからのオーバヘッドキックでの高さをクリア、壁山は着地に何あるものの、一応ジャンプの高さはクリアした。
そして遂に2人合わせてのイナズマ落としの練習が始まったのだが...。
『うーん...』
ジャンプした壁山に豪炎寺が合わせて跳び肩に乗ろうとしたタイミングで壁山が身を縮めてしまい、豪炎寺は壁山の頭を踏むことになり、失敗した。
「どうした壁山」
豪炎寺と円堂を筆頭に皆が駆け寄って声を掛ける。
「たたた高いところダメなんっス...!怖いんっス!!」
「そんなことは先に言いなよ」
珍しく影野からツッコミが入る。
そう言えば壁山はそうだった。私も忘れてた。
「ビビって目を瞑るから俺が肩に足をかけた時バランスを崩したんだろう」
「着地が出来なかったのもそれが原因か...」
「下を見ちゃうから怖くなるんじゃない?ずっと豪炎寺くんを見てたらどう?」
そう言って秋ちゃんのアドバイスが入って練習が再開されるが...。
「ヒイッ、」
やはり豪炎寺が飛び乗るタイミングで壁山が目を瞑り縮こまり、タイミングが合わなかった。
「豪炎寺さんだけを見ようとしてもつい下が気になって...」
壁山がしょぼんとしながら言うと、皆恐怖心ばかりはどうしようもないし...と言った様子でかける言葉に迷っている。
「あらあら、こんな状態で次の試合大丈夫なのかしら?」
生き生きとした可愛らしい女の子の声が後ろから聞こえて一同振り返れば、木に背を預けた夏未ちゃんがそこにいた。
「せっかく秘伝書を見つけたのにこの様子では無駄になりそうね」
「なに!?」
夏未ちゃんの皮肉に噛み付いたのはやはり染岡で、それを円堂が抑えろと止める。
「誰に何を言われたって豪炎寺と壁山はイナズマ落としを完成させるって俺は信じてる!そして、絶対試合に勝つ!」
「そう。試合が楽しみね」
そう言って夏未ちゃんは不敵に笑って去っていった。
「何しに来たんだアイツ!!」
信じられても...と卑屈になる壁山を励ます円堂達の側で、相変わらず染岡は怒っている。
夏未ちゃん試合観に来てくれるんだなぁ。いやまあ、原作でそうなんだから当たり前なんだけど、それでもなんだかんだ言って試合を観に来るんだもんなぁ。
『夏未ちゃんは可愛いなぁ』
「どこがだよ!会えば廃部か嫌味しか言わねーだろ!!」
『いや、そんなことないよ』
「お前がアイツの肩持つ意味がマジでわかんねぇ」
『そう?まあ、夏未ちゃんの嫌味はフリスタ馬鹿にする君と大差ないと思うけど』
「...お前結構根に持つタイプだな」
『まあねー』
そう言って笑えば染岡は、はあ、とため息をついた。
「練習再開すんぞ」
『はーい』
練習再開してから壁山の高さに慣れる特訓が始まったのだけれど、水泳部の飛び込み台を借りてもダメ、公園の滑り台の高さもダメ、部室にあった缶をいくつか積んで作った80センチの高さで何とかOKといったところで、結局イナズマ落としの練習も1度も成功せずに、練習最終日が終わってしまった。
『...疲れた』
マネージャーの仕事は秋ちゃんと春奈ちゃんがほとんどしてくれたのだけれど、次の対戦相手が高ジャンプ力と言うこともあり、それを推定した練習がしたいというイナズマ落とし組以外のメンバー相手にミニゲームをめちゃくちゃしたので相当疲れた。
今から家に帰ってそれからご飯作るって、もうめんどくさいな。
そう思い、ふらりと一軒の店に立ち寄る。
ラーメンと書かれた赤い暖簾をくぐり、引き戸を空ける。
『1人です。カウンターいいですか?』
こじんまりとした店のカウンター内にいる店主と思われる、丸いグラサンを掛けた恰幅のいい男性に声を掛ける。
「どうぞ」
『チャーシューメンひとつ、それとギョーザ1皿お願いします』
「あいよ」
そう言って、店主は背を向けて調理に入る。
店の中には同じカウンターの隅に座っている新聞を広げているオジサンしか客がいない。
ああ、しかもこのオジサン...。
「ん?」
じっと、見つめすぎたせいかオジサンが新聞から目を離してこちらを見たので慌てて会釈する。
「女の子1人でこんな所でなんて珍しいな」
『あー、そうですかね?私、割とラーメン好きなんで1人で色々いきますよ』
と、言ってもこっちの世界でなく向こうの世界のアラサーの私がだが。
「へーそうかい」
「はいよ、チャーシューメンお待ち」
そう言って、ごとりとラーメンどんぶりが目の前に置かれる。
『わー!美味しそう』
いただきます、と手を合わせてから、箸を取り、麺をすする。
あー、普通に美味しいな。豚骨スープだなぁ。やっぱイナズマイレブンの製作元が元々福岡の会社だから、雷々軒も豚骨スープなのかな。うん、美味いな。
「はいよ、ギョーザ1皿」
麺を啜って暫くして、ごとり、また目の前にお皿が置かれた。
わぁお。こっちもパリパリで美味しそうだ。ぱくりと一口。おお、こっちも美味しい。
「嬢ちゃん随分いっぱい食べるんだな」
『今日は部活めっちゃ大変でお腹ペコペコだったんですよ』
そう言ってまたラーメンを啜る。
「へぇ、嬢ちゃん雷門中生だろう?何部だ?」
オジサンの質問は単なる好奇心だったのだろうけれど、こちらとしてはいい質問が貰えた。にやりと笑って、店主の方を見た。
『サッカー部ですよ』
「サッカー部...」
店主が意味深に呟き返す。
正直な話この2人とのコネクションは欲しい。後々絶対に役立つ。
『ご店主ですよね。うちの円堂に秘伝書の事教えてくれたの』
「なんだ、礼でも言いに来たのか」
『ん、そうですね。その節はありがとうございます。現在、一生懸命イナズマ落としの練習してますよ』
そうか、と店主は頷いた。
「確かフットボールフロンティアの地区予選予選、明日からじゃなかったか?」
オジサンの言葉にそうですと答える。
『バスで行くんで何事もないといいんですけどね。事故とか』
「お前さん...」
オジサンが怪訝そうな顔をして何か言いかけた所でパチンと大きな音立てて両手を合わせる。
『ご馳走様でした!お勘定お願いします!』
「ああ...全部で.........」
美味しかったですよ、ラーメン
また来ますねそう言って、店を出る。
梅雨が出た後で今の娘は一体...?とオジサン2人は目を合わせるのだった。