脅威の侵略者編
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円堂、土門、鬼道の3人は、ボールを中心に3角に陣形を取り、その場でグルグルと回転しボールを正面に一斉に止まるという練習を始めた。
立向居は綱海相手にムゲン・ザ・ハンドの練習に勤しみ、他のメンバー達もそれぞれの練習メニューをこなしている。
「水津さん、今手空いてるかな」
そう声を掛けて来たのはアフロディだった。
『大丈夫。どうかした?』
「オフェンスとディフェンスに分かれて攻防練習したいんだけど、1人足りなくてね」
呼びに来たアフロディを除くと、フィールドに残ってるのはオフェンス側がリカちゃん、目金、豪炎寺とディフェンス側が塔子ちゃん、壁山、木暮だ。
ちらり、と視線をベンチへ移す。
そこには私が頼んだ記録付をしてくれている吹雪がいる。
本来ならDFも出来る吹雪が入れればいいんだけど……。
「彼は、今はまだ難しいようだからね」
先程、ここ数日疑問に思っていたことをみんなから教えてもらったアフロディがそう言った。
『そうだね』
練習に入るのは構わないよ、と着ていたジャージの上を脱ぐ。
「ところで、どうしてキミも試合に出ないんだい?イプシロン戦までは出ていただろう?」
脱いだジャージを畳み、芝上に置く後ろでアフロディがそう聞いてきた。
『いや、私マネージャー件トレーナーなのでね。人手が足りない時だけ臨時で試合に出てるのよ』
「へえ。なるほどね」
アフロディの赤い目が真っ直ぐこちらを見つめていて、思わず目を逸らす。いつぞやのシュートで結構キミの事怖いのよこっちは……。
「確かに、選手よりそっちの方が向いてそうだね」
そう言ってアフロディは小さく微笑んで、みんなが待ってるから行こうと歩き出す。
『………』
いつぞやに、シュートの軌道を逸らしたりしたから、てっきりもっと試合に出ればいいのに、とか言われるのかと思った。
そうじゃなくて良かった、とほっと一息吐いて、メンバーが足りないディフェンスチームの方へ入るのだった。
「やってるな、鬼道」
練習を初めてから数十分経った所で、そんな台詞と共に佐久間が、帝国イレブン達と現れた。
「来てくれたか!佐久間、源田、みんな!」
どことなく嬉しそうな声で、振り返った鬼道は、帝国イレブン達の元へ駆け寄った。
「鬼道、みんなを呼んでたのか?」
鬼道と共に練習をしていた円堂は、彼の後ろを追いかけて、帝国イレブン達を見た。
「ああ、久しぶりだな」
佐久間が鬼道の代わりに円堂の言葉に答える。
その目の前で鬼道は、ゴーグル越しの視線を足元へ向けた。それを見た佐久間は、ああ、と小さく笑った。
「心配するな、これでも順調に回復してるんだ」
そうは言うが、佐久間は松葉杖を付いた状態だった。
「雷門の監督が紹介してくれた最新治療が、よく効いているみたいだ」
ビーストファングを一度発動しかけただけだったからか、もう怪我の様子のない源田が佐久間の横でそう話す。
「そうか、良かったな鬼道」
円堂が、ポンと鬼道の肩を叩き、彼はああと頷いた。
そんな様子を見る先で、佐久間は驚いたような顔をした。
「世宇子のアフロディ……!」
数ヶ月前に、神のアクアの力を使った世宇子中に帝国学園は負けた。
これがなければ鬼道は雷門に来なかったし、佐久間も源田も真・帝国学園には入らなかっただろう。
「話は鬼道から聞いた」
因縁の相手を前に佐久間はそう言った。
他の帝国学園の子達も、アフロディの事を睨みつけたり怒鳴りつけたりしない。
何故なら……、
「お前も俺たちと同じように影山に利用されていただけだ」
共感できてしまったからだ。
「鬼道や円堂達をよろしく頼む」
少し笑みを浮かべて佐久間が言えば、アフロディは真っ直ぐに彼の顔を見て静かに頷いたのだった。
「さあ鬼道、始めようか。練習試合」
佐久間の言葉に円堂が練習試合?と首を傾げる。
「実践で得られる物もあるということだ」
「そっか!じゃあ、」
「待て円堂。お前と土門は俺と共にこっちだ」
キャプテンとして雷門イレブン達を集めようとした、円堂を鬼道が止める。
「こっちって……」
鬼道が指すのは帝国イレブン達だった。
「帝国!?」
「ああ。試したい事がある。それから水津もこっちに来てくれ」
『………。え?』
突然の事に一瞬理解出来なかった。
『えっと?』
「こっちにもマネージャーが欲しいと言うのがコイツらの要望でな。ベンチに入ってくれ」
佐久間の後ろでウンウンと帝国イレブンの数名が頷いている。
『あー、そう言うことなら?ってか、春奈ちゃんの方がいいんじゃないの、お兄ちゃん的に?』
「春奈はやらん。悪い虫が付いたらどうする」
え、君のチームメイトでしょうよ。
ほら見なよ、みんな、えっ、鬼道さん!?みたいな顔してるって。
『うーん、まあいいよ。私も3人に虫が付くの嫌だし』
なんせ春奈ちゃんも、秋ちゃんも夏未ちゃんもみんな可愛いからな。
んじゃ、よろしく〜、と帝国イレブン達に近づく。
「やったあ!女子マネージャーだ!」
ぴょんぴょんと嬉しそうに洞面が飛び跳ねてくれる。
「なー、やっぱいいよな。女子」
洞面の隣で成神がそう呟く。
帝国1年可愛いが???ゲームみたくスカウトさせろ。
「いや、女子つったって、この暴力女だぞ?」
『よし、辺見表出ろ。そのデコにシュート決めてやる』
「ほらみろ!」
「いや、今のは辺見が悪い。すまないな、水津」
そう言って謝罪するのは寺門だった。怖い顔してる割に、礼儀正しいんだよな寺門。
「そうだぞ、辺見。水津は、地区大会のあの事件の時に、ウチにマネージャーが居ないからって怪我した選手がいないが様子見に来てくれるような優しい子だぞ」
めっ、と源田が辺見を叱った後、源田はくるりとこちらを向いた。
「すまなかった」
そう言って源田は深々と頭を下げた。
『いやいや、そんな気にしてないよ?辺見のはいつものじゃれ合いみたいなもんだし』
会う度に言われてるからね。
「いや、辺見の事だけじゃない。俺は、あの時、立ち上がるのに手を貸そうとしてくれた君に酷い事を言った。すまなかった」
あの時……。真・帝国学園との試合か……。
『その謝罪は鬼道から伝え聞いたよ』
なにわランドでみんなが特訓に励んでいる時に、佐久間と源田から連絡が来たと言う鬼道から聞いた。
『それに、謝らなきゃいけないのは私の方だし……』
「え?なんでだ」
不思議そうに首を傾げる源田から目を逸らして、佐久間を見る。
彼は、大野と共に帝国チームに参加する円堂達のユニフォームを用意していた。
松葉杖をついて、動きにくそうで、足には痛々しくギプスが。……本来のアニメじゃギプスまではしていなかった。
見舞いに行った染岡の様態も、思った以上に悪かったし………。
「もしかして……止められなかった事、気にしてるのか?……あれでの怪我は、俺たちの自業自得だ。そして、俺は水津達のおかげであの技でボールを止めることがなかったから今日またゴールに立てるんだ」
源田は、グローブをはめた手で自分の二の腕をポンと叩いて見せた。
「佐久間はもう少しかかるだろうけど、心配せずとも完治するって医者にも言われてるよ。だから気にしないでくれ」
『……そっか。良かった』
最初の検査じゃ、結構やばい症状だって言われてたから不安だったけど、完治するのか……。少し、ほっとした。
安堵
選手生命が終わるようなことがなくて、本当によかった。