脅威の侵略者編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「行くぞ、豪炎寺、円堂!」
リスキーだが何としてもあと1点が欲しい雷門の鬼道は、ダイヤモンドダストから奪ったボールをドリブルしながら2人を呼んだ。
「またも円堂が上がった!これはイナズマブレイクの体制だ!」
鬼道の横に豪炎寺と円堂が追いつき、鬼道は空にボールを蹴りあげた。
しかし、そのボールを鬼道の真上に飛び上がっていたアイシーがトラップしてボールを持ち去ってしまった。
「なんということだァ!?ボールを奪われてしまった!雷門のゴールはまたもがら空きだあ!?」
ドリブルで駆け上がるアイシーの前にアフロディが立ち塞がる。
「円堂くん戻れ!早く!」
円堂が必死で戻る中、アフロディが足止めしているアイシーの後ろから思い知れ!と叫んでガゼルが走り抜ける。
アイシーはガゼルが自身の横を通り過ぎるタイミングを見計らってボールを横に流し見事にパスした。
「凍てつく病みの恐怖を!ノーザンインパクト!」
パスを受け取りガゼルはすぐさま必殺シュートを放った。
何とかゴールとボールの間に滑り込んだ円堂は、大きく足を振りかぶり、正義の鉄拳の構えを取った。
「ダメだ!ペナルティエリア外だぞ!ハンド
になる!」
慌てて鬼道が叫ぶ。
ゴール前の囲う長方形白線より前にいる今、パンチングを繰り出したら鬼道の言う通りハンドになる。
しかも、相手がシュートを打っているということは、ルールに従えば、決定機を邪魔したハンドはレッドカード。一発退場だ。
慌てて振りかぶりを止めたが、他のDFが駆けつけるのには間に合わないし、円堂がペナルティエリアに入るのも間に合わない。
どうしたら、というような円堂の焦った顔がハッキリと見えた。
『円堂ー!頭ー!!』
ヒントを叫べば円堂はハッとしたように目を見開いた。
「だああああああっ!」
叫びながら円堂は頭を前に突き出して、額でボールを受け止めた。
「くっ、く……」
ノーザンインパクトを耐える円堂の額から、正義の鉄拳の拳に似た力が飛び出してボールを弾いた。
「なにっ!?」
「馬鹿なっ!?」
「えっ……?」
鬼道もガゼルも、瞳子さんも、いやここにいる私以外の全員が驚いた顔をして、円堂を見つめた。
「な、なんと!?円堂がへッドで守ったああ!」
角馬くんが実況で叫ぶ中、ぴっぴっぴーと終わりのホイッスルがなった。
「同点のまま試合終了ー!!ダイヤモンドダスト得点ならず!」
「な、なんですか今のは……」
呆然とフィールドを見つめていた春奈ちゃんが呟く。
「新しい技……?」
秋ちゃんも驚きを隠せないようだった。
『引き分けって、PK?いや、先にアディショナルタイムか……?』
「いいや、ここまでだよ」
質問に答えるかのように、ヒロトがグラウンドに入ってくる。彼の顔を見て瞳子さんが少し眉を下げた。
「ガゼル」
いいね、と言い聞かせるように横に立ってヒロトが名を呼べば、ガゼルは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「……ヒロト」
「見せてもらったよ、円堂くん。短い間によくここまで強くなったね」
「エイリア学園を倒すためなら、俺たちはどこまでだって強くなってみせる」
ぐっと拳を握る円堂を見て、ヒロトは少しだけ口元を緩めた。
「いいねえ。俺も見てみたいなあ。地上最強のチームを」
「本当に思っているのか?」
その質問に真顔になったヒロトは黙りを決め込んだ。
「じゃあ、またね」
そう一方的に別れを告げたヒロトは青いボールを落とした。
「円堂守……!次は必ずお前達を倒す……!」
黒いボールが放つ青白い光の中で、睨みを効かせながらガゼルがそう宣言した。
青白い光の眩さに瞬きをした次の瞬間にはエイリア学園は1度消え去っていた。
「次、か……。俺たちももっと強く」
円堂は自身の手のひらを見つめながらそう呟いでいた。
「みんなきちんとクールダウンをして。終わったらキャラバンへ戻るわよ」
瞳子さんの言葉に、マネージャー陣も慌ててタオルとドリンクを選手達に配り始める。
「水津さん、少しこちらに」
私も配るの手伝おうと思って立ち上がったところで、瞳子さんに呼ばれた。
『はい?なんですか?』
寄れば瞳子さんはなにやら少し考え込んで居るようだった。
「……率直な意見を聞きたいのだけれど」
『はい?』
「あなたから見て、GKとしての立向居くんはどうかしら」
『立向居ですか……』
ってっきり今の円堂の技をどう思うか聞いてくるのかと思ってたんだけど……。
『恐るべき成長能力の持ち主ですし、いずれは円堂をも凌ぐGKになりますよ。MFとして起用し続けるより有用ですね』
「そう。わかったわ」
そう言った瞳子さんの顔は、何かを決意したようだった。
「一緒に戦ってくれるんだな」
「ああ、よろしく」
フットボールフロンティアスタジアムの外に出てみんながキャラバンへ乗り込む前に、アフロディ自らイナズマキャラバンへの参加意志を伝えられた。
「歓迎するわ」
「感謝します、監督。失礼ながら、今の雷門は決定力が不足してますからね」
「ふっ、言ってくれるじゃないか」
不敵に笑う豪炎寺にアフロディは振り返った。
「君たちの強さは、こんなものではないはずだよ。僕は君たちを勝利に導く力になりたいと思ってるんだ」
真っ直ぐな目でそう答えたアフロディを見て成長したなあ、と親戚のおばさんみたいな感傷に浸る。
「うしし、さっきは勝てなかったけどね〜」
余計な一言を言った木暮を、こら!と春奈ちゃんが叱れば、木暮はピューと駆けて私の後ろに隠れた。人を盾にするんじゃないよ、まったく。
「エース、じゃなかった。クイーンの座は渡さへんで……!」
いやいや、アフロディは男の子だからクイーンじゃないんだよなあ……。
「キミは早く怪我を治さなきゃ」
一之瀬の言葉を聞いてリカちゃんは、せやなと彼の腕に抱きついてハートを飛ばす。
「さすがダーリン優しいなあ〜」
「あ、あはは………」
助けて、という目で一之瀬がこちらを見てくるが、私も木暮と春奈ちゃんの防衛戦に挟まれてるから無理だよ。
「よーし!エイリア学園を完全にやっつけるまで頑張るぜー!」
円堂が気合いを入れて拳を掲げれば、みんなも、おー!と気合いを入れる。
そんな、円堂の背に瞳子さんが歩み寄る。
「円堂くん」
はい、と振り返って円堂は瞳子さんを見上げた。
「あなたには、ゴールキーパーを辞めてもらうわ」
「えっ?」
衝撃の言葉に、円堂だけならず、他のみんなもあんぐりと口を開けるのだった。
驚天動地
それにしても、瞳子さんは相変わらず言葉足らずだなあ。