脅威の侵略者編
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「おー、またな」
《うん、バイバイ》
耳元にその声をなんとなく少し名残り惜しく思い、向こうが通話を切るのを待った。
直ぐに通話中の表示が無くなった携帯をポケットにしまって談話室を出る。
松葉杖での移動もだいぶ慣れてきた。
自分の病室に戻る前に、水津に頼まれた事をしようと、チームメイトたちの入院してる大部屋へ向かった。
「おい、お前ら」
「おっ、染岡どうした?」
部屋へ入ったら直ぐに気がついた半田が声を上げた。
「今水津から連絡があったんだけどよ、近いうちに見舞いにくるから欲しい物あったら教えてくれってよ」
そう言えば、何故だかマックスがニヤァと口角を上げた。
「へぇー?水津と電話してきたんだ」
「な、なんだよ」
「いやぁ、さっきトイレ行った帰りに、随分慌てて談話室の方に行く染岡の事見たから何事かと思ってたんだけど、そっかー。水津からの連絡ねぇ〜」
ニヤニヤと笑うマックスを見て眉間に皺が寄る。
「相談事っつーから、なんかあったのかと思っただけだ」
「へぇ~?染岡ってなんか妙に水津の事心配するよね~?」
「はあ?んなもん、チームメイトなんだから当たり前だろ」
そう言えばマックスだけでなく半田まで、キョトンと驚いたような顔をした。
「なあ、もしかして、染岡お前、自覚ないのか…?」
半田が恐る恐ると言うように言葉を紡ぐ。
「自覚ってなんのだよ?」
「うわぁ……無自覚だったの?アレで??」
マックスと半田が顔を見合わせた。
「なんの話だよ?」
2人の様子にイライラとして少し声を荒らげる。
「染岡も水津さんの事好きって話だよ」
唐突に背後から肩に置かれた手と、耳元で囁かれた言葉に驚いて後ろにいた主から慌てて距離を取ろうとして足が痛んだ。
「っ…!」
くっそ、松葉杖なの忘れてたぜ。
「ごめん、驚かせるつもりは無かったんだ」
「いや、てか…それより……」
俺が水津を、好き?
は……?はあっ!?
「何おかしなこと言って…!」
「だって、染岡も水津さんの事よく見てるし、そうだろ?」
「なっ…!み、見てねーよ!」
「え?そう?俺と同じほうをよく見てたから染岡そうなんだと思ってたんだけど」
「なあ、影野ちょっと待って」
待ってと半田が片手を上げて影野を制する。
「お前さっきから、"も"って言ってるけどまさか……!」
「俺は水津さんの事が好きだよ」
フフフ、と不気味に笑う影野を見て、なぜだか不安な気持ちに駆られた。
「えー!?影野さんってそうだったんですか!!」
部屋の奥にいる宍戸が驚いたように声を張り上げた。
「だって、俺の憧れ、だからね…」
思い返せばそうだ。影野は、最初から水津の事褒めたり、結構露骨に水津のおにぎり欲しがってたりしてた、な……。
くそっ、なんでか急にイラついてきた。
「……で、結局染岡はどうなのさ?」
マックスの言葉を皮切りに、皆の視線が自分に集まって、かあっと頭に血が上る。
「は……。っ、し、知らねーよ!そんなもん!」
最初の頃と比べたら思ってたより良い奴だって思うし、案外話しやすいし、他人の面倒見が良い代わりに自分の事には意外と無頓着で心配になるし、アイツは……。
「と、とにかくお前ら欲しいもんがあるんなら自分で連絡しろよな!」
ぷい、と全員の視線を振り切るように後ろを向き、松葉杖を使って部屋を出ていく。
俺が水津の事が好きだなんて、そんな事……。
直ぐに笑った水津の顔が思い浮かんで慌てて頭を振るう。
くそっ、アイツら変なこと言いやがって…!
早まる鼓動
この感情はまだ知らない。