脅威の侵略者編
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立ち上がって一目散にデザームの元へ駆け出し、スライディングで足元のボールを狙う。
「そうだ!もっと私を楽しませろ!」
そう言って笑ったデザームは易々とスライディングを避けた。
『まだまだぁ!』
すぐさま方向転換してもう一度デザームに向かって走る。
「いいぞ!もっと!もっとだ…!」
私にはこんな時間稼ぎしかできないけれど。
デザームに再度挑戦し今度は転がされた。
「こんなものではないだろう!」
『そうだよ……!』
もう一度起き上がる。
点はやれない。彼が来るまで、
『諦めてたまるか!!』
そう叫ぶと、対峙するデザームの後ろにあるゴール前で倒れている円堂がぴくり、と動いた気がした。
「そうか。地球では獅子はうさぎを全力で倒すという。私も、どんなに弱っていたとしてもお前たちを全力で倒す!」
そう言ってデザームはゴールの方へ向きシュート体制に入った。シュートを止めて見せろってか。無茶言うぜ…。
「……めない」
「…ほう?」
むくり、と円堂の身体が起き上がった。
「俺は…あの時誓ったんだ消して諦めないと……!」
身体を起こした円堂は立ち上がって両足を大きく開き、手を前に構えた。
「ならば私を止めてみせろ!」
「来いっ!」
「─グングニル!!」
デザームが真正面からシュートを放つ。
円堂はどこか自信に溢れた顔で手と足を大きく振りかぶった。
「ぅおおおおお!正義の鉄拳!」
しっかりとグーで円堂はデザームのシュートをはじき飛ばした。
飛んだボールをデザームに取られる前にと走り、踏み止める。
「なに!?パワーアップしただと!?」
「そうだ。これが常に進化し続ける究極奥義、正義の鉄拳だ!」
円堂がそう叫べば、ベンチからマネージャーたちと立向居の喜ぶ声か上がった。
「楽しませてくれるな!だが、技が進化しようと我々から点を取らないとお前たちに勝ち目はない…!」
そう言ってデザームの赤い目がこちらを見た。
『点、ね……。取るわよこれから。彼が来てくれたもの』
そう言って、ラインの外に首を向ければ、円堂とデザームだけでなく、徐々に身体を起こしていた雷門イレブンたちが、え?と声を上げた。
オレンジ色のフードで顔を隠した人が、ラインの傍までやってきた。
そして彼は、ゆっくりとフードを下ろして、ツンツンと逆だった白髪を顕にした。
「待たせたな」
「いつもお前は遅いんだよ!」
パァっと円堂が顔を輝かしてそう言う。
「豪炎寺…!」
「豪炎寺!!」
雷門中のみんなが次々と彼の名を呼ぶ。
「豪炎寺さんが……、豪炎寺さんが帰って来たッスーー!!!!」
一際大きな声で壁山が叫んだ。
本当に良かった。ちゃんと戻ってきてくれて。
「監督!」
円堂がベンチに声をかければ、瞳子さんは大きく頷いて見せた。
「選手交代!10番、豪炎寺修也が入ります!」
その宣言に会場一体が拍手に包まれる。
みんなに待ち望まれていたヒーローだ。
ベンチでユニフォームを着替えた豪炎寺が、目金と交代でフィールドに入ってきた。
『おかえり、豪炎寺』
「ああ。水津、後で話がある」
『話…?』
私が返事をする前に豪炎寺はさっさとポジションに向かって行ってしまった。
「さあ、試合再開です!」
先程、私が持っていたボールを交代の為1度外に出したので、イプシロン側のスローインで始まる。
マキュアがボールをデザームに投げ、それをトラップしたデザームはドリブルで駆け出した。
「見せてみろ!お前の実力を!」
そう言ってデザームは、真正面から突撃するように豪炎寺に向かっていく。
豪炎寺は向かって来たデザームを美しい身体の捻りで避けながら、デザームの足元からボールを掬いとった。
そして彼はそのまま、ボールを空中に蹴りあげ身体をぐるぐるとひねり出した。
「ファイアトルネード!!」
「ワームホール!」
炎のシュートがキーパーのゼルを目掛けて飛んでいく。
ワームホールの中にファイアトルネードが吸い込まれる。
「この程度か!」
ゼルがそう言って鼻で笑った次の瞬間、中でパワーを増したファイアトルネードが大きな力でワームホールを押し壊した。
「なんだ…!」
激しい炎を纏ったボールが、ゼルごとゴールに叩きつけられた。
「決まったぁー!!豪炎寺のファイアトルネードがイプシロン改のゴールに突き刺さったー!!」
「やっぱり豪炎寺さんは凄い!」
「くう〜!痺れるぜ!」
「なんかカッコイイやん!!」
「うわ〜!」
元々雷門ファンの立向居はともかくとして、彼が離脱した後から入った3人は、豪炎寺の圧倒的エースストライカー感に圧倒されている。
「あの破壊力!今までと違う!」
一之瀬の言葉に、鬼道が頷く。
「うん、大きくパワーアップしたファイアトルネードだ!」
確かに今までのにファイアトルネードよりも炎が激しく燃えていたように思える。
『さすが、豪炎寺だ』
みんなの表情がシュートひとつで変わってしまった。
それは見方だけでなく、敵まで。
ポジションチェンジだ!
そう高らかにデザームが宣言する。
すっかり私など眼中になく、デザームはギラギラとした目で豪炎寺を見つめていた。