フットボールフロンティア編
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何処から借りてきたのか、消防車のいわゆるはしご車の頂上から円堂がボールを落として、それを染岡がジャンプして蹴りあげるといった練習を初めている。
『むちゃくちゃだなぁ...』
様子を見ながら呟けば、傍にマックスがやってきた。
「だよね。高い打点のボールを蹴る練習より、まず、ジャンプの基礎力をあげる方がいいと思うんだけど」
帝国学園の試合後のみんな体力無さすぎ発言もそうだが、マックスは意外と基礎を大事にしてるよね。やはり色んな部の助っ人に回ると色んな基礎練やるからだろうか。
「水津はピョンピョン飛ぶじゃない?詳しいんじゃないの?」
「へぇ、梅雨ちゃんはジャンプ力あるんだ」
よっ!と言いながらユニホームに身を包んだ土門がやってきた。
「似合う?」
『うん似合ってる』
けど腰細っ。内蔵ちゃんと入ってるか??
「で?梅雨ちゃんがジャンプ力あるって話だけど」
土門の問にいやいやと手を振る。
『私はフリスタでアクロバットやってるだけだから、野生中に叶う程のジャンプ力を持ち合わせてるわけじゃないよ』
「そういえば水津、野生中の事知ったふうに言うけど」
『ああ、去年のフットボールフロンティア少し見てたからね』
「なるほどね」
「いやてか、梅雨ちゃん、フリスタやってんの!?めずらし」
『あー日本じゃあんま見ないもんねぇ』
こっちの世界でどうかは知らないが、あの世界では2003年にナイキにより発足した競技らしく、日が浅くまだまだそもそもの競技者人口が少ない。
「日本じゃあんまりストリートも流行ってないよな」
『そうそう!』
「2人で盛り上がるのもいいけど、ジャンプ力の話はどうなったのさ」
じろ〜っと、マックスに見つめられて、ああそうだったと思い出す。
『ああね。ジャンプ力上げるならとりあえず筋トレかな』
「やっぱ足腰鍛えるのがいいんだ?」
『いや、ちゃんと腕とか背中とかも鍛えないとダメだね。ジャンプには腕の振りも使うし、身体が反るから背中や腹筋も鍛えといた方がいい』
「「へぇ」」
「ほう」
いつの間にか、先程まで円堂のむちゃくちゃな練習を見上げていた豪炎寺まで近くに来ていて、頷いている。
『あとは柔軟...ストレッチで結構変わるよ』
まあだだこれは向こうの世界の原理であって、超次元の世界でどうなるのかは知らないが。
「あれだけピョンピョン飛んでたらやっぱり詳しいんだね」
『連続して飛ぶ技術は高く飛ぶのとはまた別だけどね』
うーんと伸びをしてみる。
『とりあえずアレ待ちの子から、筋トレやってみ...る?...って誰か来てるね』
不意に消防車の方を見れば作業着に身を包んだおじさんが、消防車を見上げて円堂と何か喋っている様子。
「あ、古株さんだ」
古株さん?と首を傾げる豪炎寺と土門を見て、マックスがああと呟いた。
「3人とも転校生だったね」
「あれ、そうなの?」
今日転校してきたばかりの土門が、豪炎寺と私をわざとらしく見比べる。
私の事はともかくとして、豪炎寺の事は知ってるでしょうよ。
『そうね。確か用務員の方だっけ?夏未ちゃんが言ってた』
「そうそう」
話している様子を見ていると、円堂から大きな声で集合!と叫ばれた。
円堂の声で皆部室前に集まって古株さんを囲んで地面に座る。
「イナズマイレブンってのはなぁ、40年前に雷門中にあった伝説のサッカーチームだ。フットボールフロンティア優勝目前だったのに、あんな事があって...」
へ?と首を傾げた円堂を見て、古株さんはなんでもないと首を振った。
40年前ね...。
「とにかく凄い連中だった。アイツらだったら世界を相手にしたって戦えたはずだ!」
「くぅ〜!かっこいい!!超絶対かっこいい!!」
テンションが上がり腕を振る円堂の横に座った風丸と豪炎寺が迷惑そうに身体を反らす。
「イナズマイレブンかぁ...」
「そうさ!お前さんは伝説のチームの血を受け継いどるんだ!」
「え?じいちゃんの?」
「円堂大介はイナズマイレブンの監督だ!正にサッカーそのもののような男だったよ!」
その言葉に円堂は頷いて立ち上がる。
「よぉし!俺、絶対イナズマイレブンみたいになってやる。じいちゃんみたいに!!」
「1人でなる気かよ」
風丸が言い、皆が円堂を見つめている。
「もちろん皆でさ!」
おう!と全員から返事が返って円堂はグッと拳を握り直した。
「俺たちはイナズマイレブンみたいになってみせる!!」
伝説のチーム
練習再開だ!と駆け出した皆の背を見送る。
『後にどうなったかも聞かずにイナズマイレブンになるなんて宣言して』
「お前さんは...、もしや知っているのか」
『ほんの少しだけ。それにそんなに強いチームが居たはずなのにこのオンボロ部室には過去の優勝トロフィーもない。少し考えれば分かりますよ』
そう言えば古株さんは、そうか...と呟いて空を見上げた。