脅威の侵略者編
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「行くぞ、円堂!」
センターラインにボールを置いた鬼道がゴール前に立つ円堂に声をかければ、円堂は両手で自分の頬をパンパンと叩いた。
「来いッ!!」
構えた円堂を見て、鬼道がボールをドリブルし一之瀬が共に走り出す。
鬼道がボールを上に蹴り、一ノ瀬が飛んでそれを蹴り下ろし、そのボールをすぐさま鬼道がシュートした。
「「ツインブースト!!」」
ゴール前の円堂は左足を大きく上げて、ピッチャーかのように右手を後ろに反らせて足をダンッと地面に降ろした後、大きく振りかぶった。
「正義の鉄拳!!」
黄色い光の大きな拳がギューンと回転しながら現れて、目前のツインブーストを受け止めた。
まさにぶつかった衝撃はドカン、だ。
完全にボールを弾き切って、円堂はよし、と言うように拳を掲げた。
「円堂くん!」
「出来たんっスね、とうとう!究極奥義正義の鉄拳が!!」
「円堂!」
「やったな!」
数日間のサーフィン特訓の成果を見て、見守っていた皆がやったやった!と喜ぶ中、輪の端で、ひとり立向居が首を傾げた。
「なんだろ……この感じ」
彼がそう呟いた瞬間、赤色の光を放つ黒いサッカーボールが空からフィールドの上に落ちてきて、ドコンと大きな音と土煙を立てる。
「なっ、」
「アレは……!」
土煙が晴れると、そこにはサッカーボールと同じように瞳を赤く光らせた、宇宙人達が立っていた。
「イプシロン!」
「我々はパワーアップし、イプシロン改となった」
「イプシロン改?」
「我々は雷門に勝負を挑む」
その言葉に雷門イレブンたちはザワついた。
「ジェネシスの命令か?」
「命令ではない。デザーム様、そして我らイプシロン改の意思だ」
鬼道の問にゼルがそう答える。
「もう一度楽しみたいのだ」
デザームのその言葉に、円堂はえ?彼を見つめた。
「実力が拮抗するもの同士のギリギリの戦いの緊張感、高揚感。あの抑えられない興奮を感じながらお前たち雷門を倒す」
そう言ってデザームは顔前で右の手のひらをグッと握りしめて、不気味な笑みを浮かべた。
「これ以上の理由がいると思うか?」
明らかに今までの地球侵略を目的とした試合と異なって、雷門イレブン達は困惑していた。
「そんなお前らの都合だけで戦えるかよ!」
土門がそう声を張りあげる。
「断れば、その辺の学校の1つや2つ、破壊することになる」
ゼルがそう返し、雷門側は何も言えなくなる。
「彼らに勝てなくては、エイリア学園最強のザ・ジェネシスに倒せるわけがない……」
『向こうの試合理由がどうあれ、エイリア学園をほっといていいのかって話だし、どの道倒すしかないでしょうね』
「そうだな……。分かった試合を受けよう」
円堂がそう言えば、デザームは満足そうにフッと笑ったあと、準備をしろ、とベンチを指さし、イプシロン達を連れて指さしたベンチと反対側のベンチに向かっていった。
「ひょっとしてアイツら例の……」
綱海がこそっと塔子ちゃんに聞く。
「前に話したエイリア学園」
「宇宙人か、おもしれぇ……。よし!俺も力を貸すぜ!あんな宇宙人どもにでかい顔させとく訳にはいかねぇ!」
綱海はそう言って瞳子監督の方へ振り返った。
「いいわ。あなたの才能を見込んでイナズマキャラバンに誘おうと思っていたの」
「そう来なきゃ!」
『はい、ユニフォーム』
「水津先輩いつの間に……」
手に持った背番号4のユニフォームを見て春奈ちゃんが驚いている。
『綱海ならノリでそう言い出すんじゃないかなって』
「なるほど」
いや、まあ知ってただけなんですけどね。
「よく分かってるじゃねーか!」
ハハッ、と笑いながら綱海は着ていた大海原中のユニフォームを脱ぎ捨てて、私の手からユニフォームを取って、勢い良く頭から被った。
「改めて、よろしくな綱海!」
「おう!」
ピンポンパンポーン、とどこかのスピーカーからビブラフォンの音が流れる。
『校内放送?』
《みんなよく聞け!雷門中対エイリア学園のサッカーの試合がもうすぐ始まるぜ!今すぐ大海原中のグラウンドへ急げ!!》
『町内放送だったわ』
まあ、これで土方が彼を連れてきてくれるだろう。
観客席にゾロゾロと人が集まる中、ベンチで瞳子さんの口からスターティングメンバーが発表される。
「GKは円堂くん。DFに壁山くん、木暮くん、土門くん、綱海くん、そして、吹雪くん。MFは財前さん、鬼道くん、一之瀬くん、立向居くん。FWが浦部さんでいくわ。準備なさい」
「えっ、ウチと梅雨のツートップちゃうん!?」
驚いたように言うリカちゃんに、みんなもウンウンと頷いている。
「水津さんはあくまでトレーナーとしてチームに残しているのよ。練習試合や選手が足りない時は使うけれど、基本的にエイリア学園との戦いで使う気は無いわ」
「なんだよその言い方!人を道具みたいに!」
土門が怒り飛び出そうとしたのを、まあまあ落ち着いて、と腕を掴んで引き止める。
瞳子さんからすれば、この間エイリア学園に勧誘された私を疑ってるのでホイホイと試合に出させる訳にも行かないから、こういう言い回しなんだろうけど。
「なんでだよ!」
『私は気にしてないもの』
「お前なぁ……!」
依然、怒った様子の土門に、はあ、とため息を吐く。
出来れば、試合には出たくないし、私はこれでいいんだけど。
「土門。言っても仕方がない。監督がああなのは前からだろう」
私の事情を知ってる鬼道が、さらり、とフォローを入れてくれる。
『そうそう。気にするだけ無駄。それよりも、初エイリア戦で緊張してるだろうから、立向居のフォロー頼むよ』
ぽんぽんと土門の背中を叩く。
リカちゃんのワントップで私が入らない分、レフトは立向居が攻撃に参加しないといけないし、そうなった時の守備範囲が大きく広がる。一応吹雪がDFのセンターにいるけど………、まあ、あてにしない方がいいし。
「……はあ、分かったよ」
渋々と言った様子でそう言った土門の背中をもう1回叩いて、フィールドへと見送る。
『よろしくね』
あとは、ヒーローの帰還までおかしなことが何も起きなければいいけど。
VSイプシロン改
まもなく開幕です!と角馬くんの声でアナウンスが流れた。