脅威の侵略者編
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前半はあのまま雷門が1点取った状態で終わり、皆ベンチに戻って休息を取る。
流石に地区予選の決勝まで進んでた事もあって中々やると、みんな大海原中を褒めたたえている。
そんな中、はあっはあっ、と浅い呼吸を繰り返す音が聞こえる。
「大丈夫か?」
その呼吸主の隣に立つ土門が声をかける。
「え?……あっ、はい!」
声をかけらた立向居は一瞬、ぽかんとした後慌てて姿勢を正した。
『立向居。そのままキープ』
そう言ってその背中に手を置けば、立向居はへ?と間抜けな声を上げた。
『はい、吸ってー、吐いてー』
「え、えっと…?すぅー…はぁー…、こ、こうですか?」
『うん。背筋曲がって浅い呼吸になると酸欠になりやすいからね?今やったみたいに呼吸は整えなさい』
「あっ、はい」
ぽんぽんと背中を叩いて離れれば、ニヤニヤとしたリカちゃんが近づいてきた。
「やっぱり面倒見ええし、年下が似合いやなぁ?」
「また言ってるよ。梅雨、リカは無視していいぞ」
そう塔子ちゃんも側に来て言う。
「ちょお、酷ない!?」
「リカが何でもかんでも恋愛に結びつけようとするからだろ〜?」
『まあ、リカちゃんが悪いよね』
「梅雨までそんな事いうん!?」
2人して酷いわ、としくしく泣き真似してみるリカちゃんはほっとく。
「にしてもなんか立向居の奴、凄く疲れてるな」
『まあ、GKとMFじゃ動く量違うからねぇ』
「ひっさびさや、言うとったしな」
リカちゃんの言葉にウンウンと頷く。
『深呼吸って疲労回復効果あるらしいから、あれで少しでも回復するといいけどね』
「そうなんだ!?」
『らしいよ?6秒吐いて3秒吸うと自律神経が整って疲労回復しやすくなるとか何とか』
「はぇ〜、相変わらず変なこと知ってるな梅雨は」
雑学楽しいんだよね。まあ医療系雑学はたまに間違った民間療法もあるけどさ。
「すぅ〜〜、はぁ〜〜」
深呼吸をやってみてる塔子ちゃんに、どう?と聞く。
『疲れ取れた?』
「わかんない!けどなんかスッキリはするな」
『そっか。さて、そろそろ後半も始まるし行こうか』
「せやな」
「ああ!」
マネージャー達にタオルとドリンクボトルを預けてフィールドに戻る。
「後半もいっちょ、点とって行こか!」
そうリカちゃんが声を張れば、雷門中イレブン達は、おう!と声を揃えた。
雷門ボールからのスタート。
ピーッとホイッスルが鳴り、私は足元のボールをちょん、とリカちゃんへ蹴った。
リカちゃんがそのままドリブルで攻め上がり、ライトから上がってきた一之瀬にパスを回す。
「行け!一之瀬!」
後ろから円堂が叫ぶ中、一之瀬の正面には綱海が向かってきていた。
真っ直ぐ走ってきた綱海を一之瀬はそのままドリブルで抜き去る。
「くっ、」
後ろを走っていく一之瀬を振り返って見ながら綱海は悔しそうに歯を食いしばった。
まあ、初心者がいきなり人の足元にあるボール取るのは難しいよね。
そんな中でもトゥントゥクトゥントゥクと音村ばビートを刻み続けている。
ドリブルでゴール目前まで迫った一之瀬の前に大海原のディフェンス2人がマークにつく。
「っ、立向居!」
FWでセンターから上がったリカちゃんとレフトから上がった私にも1人ずつマークが付いているのを見て、一之瀬はレフトサイドの立向居に向かってボール蹴った。
弧を描いたパスを立向居はトラップで受け取ろうとしたが、目測を誤りボールは立向居の頬に当たった。
「うぐっ、」
『立向居!?』
勢いよくボールにぶつかった立向居はそのまま後ろに倒れる。
ぶつかったのは頭とか鼻ではなかったけど大丈夫だろうか…。
「立向居!」
弾かれ転がったボールのフォローに同じMFの塔子ちゃんがすかさず入って、ボールを奪いにきた渡具知の目の前でスライディングして守った。
しかし、スライディングから立ち上がった塔子ちゃんの後ろから足ぬきして音村がボールを奪い去って行く。
「渡具知!」
音村がボールを取ったと同時に雷門陣営に駆け上がっていた渡具知へ渡る。
「立向居!」
渡具知が攻め上がる前にいるのは立向居で、彼は倒れた所から起き上がったばかりだった。
そのフォローに入らなければ、という思いが先行したのだろう。塔子ちゃんは自分の守備位置から外れ、立向居の元に駆け寄った。
「おっと!?」
渡具知は立向居と塔子ちゃんの目前でギュン、と向きを変え空いたセンター側へ走って行く。
「財前逆を突かれたぞ!」
角馬くんの実況を聞きながら、任せて!と叫ぶ。
「これは!FWの水津が中盤まで戻っていた」
『ブレイクリフティング!』
渡具知がFWへ蹴ろうとしていたボールをつま先で掬うように蹴りあげたあと、リフティングで相手に触れさせないようにしてボールを奪って距離を取る。
「そのまま上がれ!」
鬼道の指示に従って駆け上がれば、正面にトゥントゥクトゥントゥク言ってる音村が回る。
『あーもう、それ、ウザったいな!』
リフティングするのに音村のトゥントゥクに引っ張られ、そのリズムでボールを蹴ってしまう。
「正確なビートを刻んでいるね」
そう言って音村はフッと笑った。
「2ビート!」
音村の合図と共に彼の後ろから、平良が飛び出してきて、リフティングで浮いたボールをかっさらわれた。
そのまま平良は前方の池宮城へロングパスを出した。そして池宮城の元に宜保と古謝が駆け寄って、先程と同じように宜保が池宮城と古謝を上空へ投げ飛ばした。
「「「イーグルバスター!!!」」」
「円堂くん!」
「任せろ!」
円堂はグッと拳を握って身体を捻る。
「マジン・ザ・ハンド!!」
がっちりとボールを受け止めセーブする。
「一之瀬!」
円堂は大きくボールを投げ、受け取った一之瀬が再度ゴールへ向かって駆け上がる。
今度こそと言うように、ライトを守る綱海は駆け出して、ボールを前に飛び上がった。
「うおおおお!!」
綱海の対空時間の間に一之瀬は進路を変え抜き去る。
「ちくしょう!」
着地した綱海は悔しそうに芝を叩く。
綱海を避け、センターに寄った一之瀬に、シュートを打ちに前に出ていたDFの宜保が戻ってきて、ゴール前の赤嶺と前後を挟むように陣形を取られた。
「立向居!」
前にも後ろにも出せない一之瀬は、横にボールを蹴り飛ばす。
駆け寄ってボールに合わせようとする立向居の前に、音村が飛び上がってパスカットをした。
「あっ、」
そこからどんどんと、雷門の調子が崩れて行った。
前は戦の最初のように、取っても直ぐにボールを取られる。
「どうした雷門!急に動きが悪くなったぞ!?」
前半戦で私でもパスカット上手くいってたぐらいだから、もっとリズミカルな音村がやれば簡単に切り崩せるだろう。
「勝負はこれからさ!皆ガンガンノってくぜ!」
音村の言葉に大海原イレブン達は、いえーい!といっせいに声を上げ士気を高めた。
a battuta
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