脅威の侵略者編
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立向居に、へそとしりに力を入れるんだって、とマジン・ザ・ハンドのヒントをあげてからみんなの元に戻ったけど、昼食後もみんなの気合いは変わらなかった。
ダラダラと練習にならない練習を終え、夕飯を食べて皆、眠りにつく。
その中で、こっそりとテントを抜け出した。
今日練習してみて分かったが、やっぱり休んでた分体力が落ちてる。
それに、皆が修練所で練習してた分との差は大きい。せめて、体力ぐらいはないと。
そう思い、皆には内緒で夜間ランニングだ。
とは言っても知らない街だし迷子になりかねないから、陽花戸中の外周をぐるぐる回るだけだ。
3週目ももう終わる、と校門に差し掛かった所で、そこから飛び出してきた何かとぶつかった。
『うわ、』
「わぁっ!」
ぶつかった衝撃で横に倒れる。どうにかこうにか受身をとったが……。
『痛たた……』
「いてて。……すみませんでやんす!って…!」
やんす?
起き上がってぶつかってきた者を見れば、それは私と同じように痛む箇所を擦りながら立ち上がる栗松だった。
「水津さん……!」
暗くて表情はよく分からないが、栗松は驚いたような声を上げた。
「どうしてこんな時間に……」
『…え、あー。ちょっと、体力作りにランニングを……』
みんなには内緒のつもりだったんだけどなぁ。
「ランニング…?ホントでやんすか……?……あっ」
自分で聞いといて、しまった、というような反応をしている栗松を見た。
「いや、今のは……」
『分かってるよ。信用がないのはしょうがないよ。吹雪の事も皆にずっと黙ってたし』
「そういうつもりじゃ…」
慌ててフォローしようとしているが、彼が怪しく思うのは間違っちゃいない。
『いいよ。疑われんのはいつもの事だし』
「………それは辛くないでやんすか?」
小さな声でそう言った栗松に、え?と聞き返す。
「オイラだったら耐えられないでやんす」
辛いか辛くないかなんて、そんなの辛いに決まっている。
『……。だから、出ていくの?』
「気づいてたでやんすか…」
『その荷物見ればね』
出ていった風丸と同じように、栗松は自分の荷物を一色背負っている。
「……風丸さんもいなくなって、キャプテンもああなって、自分はもう限界でやんす…………」
『そっか……。ごめんね、私には止める資格がないから、こういう時どう言えばいいかもわかんないや』
風丸の時もそうだったけど、黙って見送る事しかできない。
少し沈黙が続いた。
「………。今までお世話になったでやんす」
そう言って栗松は深々と頭をさげた後、歩いていってしまった。
いとまごい
栗松くんがいなくなりました。
そう翌日、春奈ちゃんに叩き起された。
栗松から残された手紙。
それを読んでまた、円堂は陽花戸中の屋上から動かなくなってしまった。