脅威の侵略者編
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古株さんに迎えに来てもらって、陽花戸中へ帰ってきた。
「どうだった」
この雷の鳴る土砂降りの中、校門で鬼道が出迎えてくれ、会うなり直ぐに尋ねてきた。
『運動してもOKだって』
「そうか。そういう事なら数に入れるぞ」
決定事項のような口ぶりで言うが、わざわざ口に出すところ、本当にいいのかの確認なんだろうなぁ。
静かに、こくりと頷いた。
『円堂はどう?』
まあ、わかりきってはいるけれど。
「あのままだ」
そう言って彼は陽花戸中校舎の屋上を見た。
『いくら馬鹿は風邪をひかないとはいえ、ずっと雨ざらしなの?』
「春奈が傘を差し出しても、壁山達が室内に入れようとしても、木野や雷門が話しかけても無反応で微動だにしないんでな」
『マジン・ザ・ハンドの時より重症だね。あれの時はまだ、こっちの言うことに反応あったけど……』
「この雨で練習にもならんし、円堂がああではな……」
流石の鬼道も参ってるようだ。
『秋ちゃんや夏未ちゃんでダメなことを、私たちがどうこうしてもどうにもならないだろうし、とりあえず、新しいフォーメーションや作戦、それに合わせた練習メニュー作りでもする?』
「そうだな」
こういう時リカちゃんなら身体を動かせっていうんだろうけどね。
身体を動かすのもいいだろうけどお天気もお天気だし、私や鬼道みたいなのはこういう時、別のことに脳のリソースを割いた方がいい。
じゃないと多分、思いつくかぎりの最悪、を考えるから。
「円堂は昨日からあのままか」
次の日は晴れたが、やっぱり円堂は屋上のフェンスに身を預けたまま動かない。
「食事もほとんど取ってなくて……」
秋ちゃんが心配そうに上を見上げる中、ベンチによいしょと荷物を置く。
『このままだと身体壊すわね』
「……!梅雨、ユニフォーム着てるって事は怪我治ったのか!」
ぱっ、と塔子ちゃんが表情を明るくしてこっちを見た。
『うん。許可がおりたので復帰でーす』
「やっと、アンタとサッカーできるなぁ!」
リカちゃんもニコニコと笑って喜んでくれている。
『ちょうど入れ替わりだったもんね。改めてよろしくね』
と、まあ、女の子達は笑顔で喜んでくれているが、男子はというと、おめでとうと良かったねと口では言うがその表情は暗い。吹雪の事、風丸の事、円堂の事、そう簡単に割り切れないか。
私が入ったことでポジションは1つ埋まるが、問題は解決してないもんなぁ。
そんな憂鬱な空気のなか、おはようございます!!と元気な声がグラウンドに響いた。
挨拶の主、立向居はタッタッタッと駆けてきて、キョロキョロと辺りを見回した。
「あれ…円堂さんは……?一緒に新しいワザの特訓しようって約束したんです!」
立向居の言葉にみんな困った顔をする。
「円堂くんは今ちょっと……」
秋ちゃんが代表して答えれば、立向居は察したように、ああ、と頷いた。
「どこかに出かけているんですね!もしかして1人で特訓だったりして!」
キラキラと瞳を輝かせる彼をみて、だといいんだけど、とちょっと強めの口調で夏未ちゃんが吐き捨てた。
まあ、そう言いたい気持ちはわかる。
「え?」
「いえ!なんでもないの。とにかく今日はごめんなさい」
すかさずフォローを入れ、ぺこりと秋ちゃんが頭を下げる。
「いいんです!…えっと、じゃあ、伝言をお願いします」
「ええ」
「円堂さんが究極奥義正義の鉄拳を身につける前に、俺がマジン・ザ・ハンドを完成させます。負けませんよ!…以上です」
わかったわ、と秋ちゃんが頷けば、失礼します!と元気よく立向居は去っていった。
「いつもなら、今の立向居の言葉で奮い立つんだろうが……」
いつもじゃないからなあ、今回のは。
晴れ待ち
こればっかりはお天気と一緒で変わるのを待つしかない。