脅威の侵略者編
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円堂の居ないまま練習を始める。
今までは、染岡が、風丸が、円堂が……雷門サッカーを"1話"から支えてきていた彼らが声を張り先導して練習を進めていた。
だけど彼らが居ない今、あの頃はスパイとしての報告で練習を抜けたりサボったりしていた土門がみんなの先頭に立ち、ランニングを始める。
こういう時こそ、元帝国キャプテンの鬼道が練習の指揮を取るかと思ったが、彼は土門に練習を一任し、私の元に来た。
「監督の言う通り、空いたポジションを考えなければならない」
『うん、そうだね』
「吹雪と風丸。正直、現雷門のトップスピードだったこの2人が抜けた穴は大きい」
確かに。みんな北海道となにわランドでの特訓でスピードアップしエイリア学園のスピードにも慣れたとはいえ、彼らをぶっちぎりで振り解けるほどの速さはあの2人くらいのものだろう。
「そして、言わずもがな、得点力もだ」
『……だね』
リカちゃんには悪いが、やはり得点力不足は否めない。
「ここまで言えばもう分かるな」
ゴーグル越しに鬼道が真っ直ぐ見つめてくる。
分かりたくなかったけどね。
『……私に試合に出ろって事だね』
彼らほどの実力が私にある訳でもないのに。
「ああ。昨日リカに連れられ、ボールを蹴っていただろう。怪我の具合ももういいんじゃないのか?」
『うん、たぶんね。…自己診断だから1回ちゃんと医師に診てもらってからのがいいだろうけど』
こんなんなら昨日、吹雪の入院した病院で私も診察してもらえばよかったな。
「腹部挫傷だしな。医師の診察で問題ないようなら……」
そこまで言って鬼道は黙った。
どうしたんだろうと首をかしげる。
『とりあえず今日診察してもらってくるよ?』
「え、ああ。いいのか?」
『いいも何も、抜けた穴を埋めなきゃなんでしょう?』
「そうなんだが……」
随分と歯切れが悪い。
「嫌がるかと思ったんだがな。……染岡も言っていただろう。嫌なら断っていいんだぞ。お前は、試合に出たがっていなかっただろう」
『そりゃあ、本音言えばね……』
これもまた、余計な事になるのかもしれない。
でも、今までの感じでいえば、ここで断ったら多分、彼処にいる彼が永久に戻らない気がする。
陽花戸中校舎の屋上にいる円堂を見つめる。
自ら話を変えるような余計な事はせず、話の流れに身を任せる。白恋でイプシロンと戦いでは私がチームに入ってもそれで上手く行っていた。今回も試合も何も言わなかったからストーリー通りに吹雪がああなった。
真・帝国の時のように、余計な事さえしなければきっと、大丈夫。
『精神的支柱も折れててメンバーも足りなくて、流石鬼道クンも私に助けを求めるくらいの事態でしょ。わがまま言ってる場合じゃないんだよ』
「そうか……。正直に言えば、俺はお前をチームに戻すか悩んだ」
ここのところ何か疑いかけられてるもんなぁ。
鬼道の勘は合ってるし、私が反対の立場なら使わない。怪しすぎるもん。
「お前が第2の吹雪のようになる可能性を考えてな」
『…んん…?』
なんか、思ってたんと違うな。
第2の吹雪って事は、頼りすぎてって事か?
『それは、他の誰しもでありうるでしょ。リカちゃんだって吹雪が抜けてたった1人のFWで荷が重いかもしれないし、円堂だってたった1人のキーパーでキャプテンだもん。いや、まあ、だから現に、ああなってるのかもしれないけれど……』
「……そう、だな。お前の言う通り、円堂の件も、この先にリカ1人にFWを任すのも、同じような結果を生むことになりかねない」
『だからこそ、最初の提案だったんでしょ?』
私をFW入れることで、リカちゃんの負担を減らす。
そして、私が入れば吹雪ほどのスピードはなくとも、ボールキープ力が上がり中間のボール運びは楽になるはず。そして鬼道自身は、今より後ろに下がり風丸の空いた穴を埋める形で、DFよりのMFとして動き、ボールを取るほうに回る。それが合理的だ。
『今できる最善策だと思うよ』
「ああ。だからこそ、お前に取っては断り辛く、先程のように皆のためならと容易に頷くだろう。そして、それが負担になるのではないか」
なるほど、それであの歯切れの悪さだったのか。
鬼道は優しいねぇ…。
「それに……恐らく、監督はお前にトレーナーとしての仕事も続けさせるだろうしな」
『まあ、それは前もマネージャーと選手と両方してたし、大丈夫だと思うよ。それに皆も吹雪の事があって、それぞれが頑張ろうとしてる所でしょ?同じことにはならないとおもう』
「それはそうだが……。お前は、溜め込み型だからな」
はは。秘密をってか?
『そんな心配しなくても大丈夫だよ。ってかそもそも怪我治ってなかったらこの話全部パァだからね?』
「ああ、分かっている。ただ、怪我が治っているならば考えて欲しいと思ってな」
『うん』
チームの事
きっと、彼が戻ってきたらすぐに外されるだろうし。ちょっとの間だけならいいよと、とりあえず検査の為に、吹雪の眠る病院に向かった。