脅威の侵略者編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
円堂が友達になったと言う男の子が試合をしにくる。
朝からそう言われみんなは、少しだけ楽しみにしていたようだった。
だけど、約束の12時にグラウンドに現れたのは、どんよりとした天気と黒いモヤ、そして、新たなる宇宙人たちだった。
「やあ、円堂くん」
「まさか……」
宇宙人達のセンターに立つのは昨日とは違う衣装を来て赤い髪を逆立てたヒロトだった。
瞳子さんが息を飲む横で彼を見詰めた。
……私の名とか呼ぶなよ。頼むから。
「ヒロト…!?」
「なんやコイツら……この前の奴とちゃうやんか…!?」
「エイリア学園には……、まだ、他のチームがあったってことか……!」
風丸の顔が絶望に変っていく。
「これがオレのチーム。エイリア学園、ザ・ジェネシスって言うんだ。よろしく」
「ジェネシス……!お前、宇宙人だったのか…!?」
「どういうことだ、円堂?」
鬼道が聞くが、円堂自体もどういうことかなど分かってはいない。
「ヒロト…?」
「さあ、円堂くん。サッカーやろうよ」
困惑する円堂に、語る必要はないと言うようにヒロトは試合をするよう促した。
「どういうことなんだ…?なんで、円堂の友達がエイリア学園に……?」
「円堂さん……」
みんなが険しい顔をして、円堂と宇宙人たちを見据えた。
「まんまと騙されたみたいですね」
重たい空気を変えるかのようにそう声を上げたのは目金だった。
「騙された?」
「奴らの目的は友達になったふりをして円堂くんを動揺させること」
目金の推理に、そういう事だったんですね、と立向居が納得する。
「宇宙人が考えそうな事ですよ」
「それは違うよ」
宇宙人本人からの否定に、えっ?と彼らはヒロトを見た。
「オレは君たちとサッカーがしたいだけ。君たちのサッカーを見せてよ」
少し笑ってそういう事ヒロトの後ろで、いいのかよ?と他の宇宙人が愚痴をこぼした。
「許可もなしにこんなヤツらと試合して」
「グランがやるって言うんだ仕方ないだろ」
赤い肌の宇宙人の言葉に、ポニーテールの宇宙人がそう答える。
聞こえた名前に円堂が疑問を抱く。
「グラン?それが本当の名前なのか」
ヒロトは答えなかった。
「お前とはもっと楽しいサッカーが出来ると思っていた。けど、エイリア学園と分かった以上、容赦はしないぜ!」
怒ったように円堂はヒロトを指さした。
それに彼はただ静かに、もちろんだよ、と頷いた。
「吹雪!」
作戦会議の間、ちょっとトイレに行ってくると抜けていた吹雪が戻ってきて円堂が駆け寄る。
「ん?…どうかしたのか?」
いつもと少し様子が違う吹雪に、流石の円堂も首を傾げた。
「なんでもないよ」
そう言って吹雪は笑った。
「そう?ならいいけど……」
「吹雪。お前にはFWを頼む」
鬼道がそう言えば吹雪の顔がいつもよりキリッとした。そして、気合いを入れるようにうんと力強く頷いた。
「リカとツートップだ。いいですよね監督!」
「ええ、任せるわ」
「よっしゃー!決めたるでぇ!!」
気合を入れて叫ぶリカちゃんを見て、ムードメーカーがいてくれて助かるな、と思う。
正直この試合は予期せぬ試合で勝つことを絶念してもおかしくない。そんな中でもFWが大声で、点を取るという意気込みを聞かせてくれるだけで少しでも士気は上がる。
「頼むぞ吹雪!今日もエターナルブリザード決めてくれよな!」
そう言って土門がポンと吹雪の肩を叩く。
「あ…うん」
「行くぞ、みんな!」
円堂の掛け声に、おう!と返事をしてみんなグラウンドにかけていく中、吹雪は立ち止まったまま深呼吸していた。
「水津さん」
『え、あ、はい?』
呼ばれると思っていなかった。慌てて返事をすれば、吹雪が近づいてきた。
「ボクの名前呼んでくれないかな」
『え…?士郎?』
「うん。ありがとう。頑張ってくるよ。染岡くんの分も」
そう言うだけ言って吹雪はグラウンドにかけて行った。
それを見てか、梅雨先輩、と名を呼んでニタニタした表情の春奈ちゃんが隣にやってきた。
「名前で呼んでくれなんて、吹雪さんはプレイボーイですねぇ」
『ああ、うん、ただの確認だろうけど』
「確認?」
こてん、と春奈ちゃんは首を傾げる。まあ意味分かんないよね。
とにかくベンチ座って応援しようかと春奈ちゃんを押して席に着いた。
結局どうすることも出来ないんだから、名を呼ぶくらいはいいだろう。
頑張れ、士郎。
ギュッと拳を握りしめた。
試合は雷門のキックオフでスタートする。
ボールを持ったリカちゃんがドリブルで進むとその前にジェネシスの9番ウィーズが立ち塞がり彼の勢いに怯んだリカちゃんの足元からボールが奪い去られた。
「一之瀬!」
カバーの指示を鬼道が送るが、ウィーズはそのまま一之瀬をぬき去る。
それを雷門のMF達が追いかけようとするが、その後ろから走ってきたほかのジェネシスたちに追い抜かれた。
「なんですか、あのスピード!?」
スピード特化だったジェミニストームよりも速い。
「アーク!」
ウィーズから背番号8番アークに渡り、そこから素早いパスで、6番コーマ、それから10番のウルビダに渡った。
「グラン!」
ウルビダが蹴りあげたボールを空中で拾いグランはその前円堂の待つゴールへ走った。
「行くよ円堂くん!」
「こい!ゴールは割らせない!」
グランがシュートを放ち円堂は掌を突きつけた。
「マジン・ザ・ハンド…うわっ!?」
ただのシュートに押し負けて魔神が消えてボールがゴールの中に飛び込んだ。
「入っちゃった」
グランは本当に驚いたと言わんばかりの顔をしていた。
ザ・ジェネシス
開始1分での先制点だった。