脅威の侵略者編
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瞳子さんから聞き取れた情報はアレだけだった。
本当にそれしか知らないのか、それとも私が信用に足りないから話さないのかは分からないが、それ以上話が続くことは無かったので、グラウンドに戻ればみんなは個人練習をしていた。
ひと試合終わった後だってのにみんな元気だなぁ。
マネージャー達がこの場に居ないから3人とも晩御飯の準備に取り掛かってるんだろう。
私も急いでそっちに向かうか、と思った矢先だった。
「水津、少しいいか?」
そう鬼道に呼び止められた。
なんだか今日はよく呼び出される日だな。
『いいけど、どうしたの?』
そう答えれば、こっちに来いと言って鬼道はみんなが練習しているグラウンドから離れた。
「監督の呼び出しはなんだったんだ?」
『ああ、そのこと?』
まあ、瞳子さんの様子明らかにおかしかったし観察力も洞察力も優れた鬼道からすれば、あのタイミングでの呼び出しは気になるよね。
『親に会えるチャンスかもしれないのに、ついて行かなくて本当に良かったのか?って最終確認だったよ。怪我して選手としては戦えないし、抜けたいなら抜けてもいいのよって』
そんなことは1ミリたりとも言われてないけどね。
「そうか。まあ、グラウンドに戻ってきたという事は、残るという事だな」
『うん』
「それで、本当の話はなんだ。そんな話なら皆の前でしても問題ないだろう。わざわざお前だけを呼び出して確認する意味が無い」
そう言って真っ直ぐとゴーグル越しに見てきた鬼道に思わず長い溜息を吐く。
頭も良いと来た。
「監督は吉良財閥の娘だろう?」
だから鬼道にはバレてるって瞳子さんに言ったのに。
『そうらしいね』
言い訳は諦めてそう答えれば、らしい?と鬼道は首を曲げた。
「…知っていたんじゃないのか?」
『え?』
今度は私が首を傾げる番だ。
そりゃあ知っていたけど、どういう意味だ??
「いや、まあいい。問題は監督は何故吉良財閥の娘であることを隠して宇宙人退治に注力しているのか、だ」
……私が本当の事、ベラベラ喋って言いわけない。瞳子さんの問題ってのもあるけど……、勝手なことして話がおかしくなるのはもう御免だ。
『勘当されてるとかじゃないの?あのおじさん、瞳子さんの事完全無視してたし。最初に吉良さんって呼んだら苗字で呼ばれるの好きじゃないって言ってたし。……それに、瞳子さんの異常な勝ちへの執着を見るからに、功績を挙げて見返してやりたい、とかそんな所じゃない?』
「……有り得なくない、な。だが、お前の話は憶測ばかりだな。監督から直接聞いているわけではないのか?」
『あの人、自分のことはなんも話さないよ』
そう言えば鬼道はまたじっと、こちらを見詰めた。
『なに?』
「お前と一緒だな」
鬼道の言葉に思わず、え?と口に出して固まる。
いや、確かにあまり自分の話はしないけど。ってか出来ないんだけど。
今までは響木さんの作り上げた設定のおかげか、そんなこと気にして無かったじゃないか。突然どうしたんだ?
「お前も監督も俺たちに何を隠している?」
『…………』
どう答えればいいのか分からない。
じっと黙っていれば、今度は鬼道が長い溜息を吐いた。
「もういい。練習に戻る」
そう言って鬼道は踵を返す。
『あ、』
去りゆく背中に待って、とは声をかけれなかった。
どうすれば良かったんだろうか。
そう悩んでいるうちに一日が過ぎ、すっかりと忘れていた。
やあ、
円堂くん。そう言って彼が現れるまでは。