脅威の侵略者編
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イプシロンとの試合の後も、1日程なにわランドの地下修練場で特訓をして過ごして居たところに、理事長からの連絡があり、福岡に向かうことになった。
「じいちゃんのもうひとつのノートを手に入れるぞ!」
円堂がキャラバンの中で叫べは、みんなも、おー!と声を揃えた。
隣に座る吹雪も、声を出してやんわりと笑っている。
拭いきれないこの、合わせてます、感。
大丈夫かって聞いても突き放されるだけだし、ここで私が余計なことしてもな。
はあ、と窓の外を見てため息を吐く。
なんか染岡がいなくなった分、席間も空いたけど、心の距離も空いた気がするなぁ…。
「なんかよぉ分からんけどノートや!」
真後ろの席で一之瀬の腕をがっちり掴んだままリカちゃんがそう叫び片腕を突き上げる。
「ていうか、なんであなたが……?」
私の前の席の秋ちゃんが、なんで乗ってるの?と疑問を投げかける。
「ええやん!ウチとダーリンは一心同体や!切っても切れへん仲やねんから!」
スリスリとリカちゃんが身を寄せれば、一之瀬は困ったように乾いた笑い声を上げていた。
「いいじゃないか!仲間が増えて!」
「せや!さすがキャプテンは言うこと違うわ!」
それを聞いて秋ちゃんが、はあ、とため息を吐いた。
底抜けに明るくて元気がいいのがリカちゃんの素敵なところだが、さすがに、この狭いキャラバンでイチャイチャされるのは敵わんな。いや、1番辛いのは、彼らの隣に座る土門か。
長いことキャラバンに揺られ、福岡の都市から少し外れた町の先にある陽花戸中学校へ到着した。
地方育ち的には福岡ってけっこう都会のイメージだったけど、都心部から外れると地方民でも安心する街並みだったなぁ。
「君が円堂大介の孫か。よぉ来たねぇ」
「はい」
キャラバンから降りると、陽花戸中の校長が待ち構えていた。
なんでも陽花戸中校長は、円堂大介の大親友。そんな彼だから、自分に何かあった時には捨ててくれと円堂大介が託したノートを、捨てれずに保管していたそうだ。
ノートの中身は相変わらず円堂にしか読めないが、円堂大介でも完成出来なかった必殺技について書かれていた物だった。
そして更に、陽花戸中校長は紹介したいものがある。と雷門イレブンをサッカーグラウンドに案内してくれた。
「俺は陽花戸中キャプテンの戸田。君たちの活躍はよく知ってる!」
校長の号令でサッカーグラウンドに居た少年達が集まり、その中で頭に黒いバンダナを巻いた円堂より若干身長の低い男子がそう爽やかに挨拶してくれた。
「俺達みんな君らのファンさ!」
「そんな、ファンだなんて」
照れた円堂に、よろしく頼むよと戸田キャプテンが握手を差し出せば、ありがとうと円堂もその手を握った。
「みんな、よろしくな!」
円堂が陽花戸中のみんなにも声をかければ、よろしくー!と元気よく返ってきた。
そんな中、戸田キャプテンは、ん?首を傾げた。
「おい、立向居。なにしてんだ?円堂くんだぞ!」
彼がそう叫んで見た先には、土門に負けず劣らず細い腰と長い身長の少年の後ろに隠れる、陽花戸中のオレンジのキーパーユニフォームを着た少年がいた。
「円堂さんに会えたらオレ感激です!とか言ってたのに…」
「はっ、はい!」
慌てて返事をした少年、立向居はガチガチと緊張したように、同じ側の手と足を同時に出しながら歩いてきた。
「手と足一緒に出てたッスよ」
『緊張してるみたいね』
可愛いじゃないか。
「え、え、円堂さん!お、オレ、陽花戸中1年、た、立向居勇気です!」
「え、おう」
よろしくな、と円堂がサッと手を差し出す。
「あ、握手してくれるんですか!?」
…オタクの反応見てる気分だ。
「もちろんさ!」
神ファンサの円堂がそう言えば立向居は両手で円堂の手をガシッと掴んだ。それからぶんぶんぶん、と上下に振った。
「感激です!オレもうこの手一生洗いません…!」
「いや、ご飯の前には洗った方がいいぞ?」
それはそうだけど、言葉の綾というか……いや立向居ならガチで洗わないもあるか。
「ですよね…」
たはは、と立向居は首の後ろに手を置いた。
それにつられて円堂が笑う。
「君もサッカー好きなのか?」
「はい、大好きです!」
「立向居は元々ミッドフィールダーだったんだけど、円堂くんに憧れてキーパーに転向したんだ」
「それ、本当なのか?」
円堂が聞けば、立向居は照れたようにちょっと下を向いた。
「はい」
「立向居!あれを見せるんじゃなかったのか?」
そう戸田キャプテンが言えば、立向居はモジモジと、指先で遊びだした。
「なんだ?アレって」
「オレが習得したキーパー技です。…でも円堂さんに見せるのは緊張するな……」
「見てみたいな!」
円堂がそう言えば立向居は、ぱあっと顔を上げて見せた。
うんうん、分かるよ。推しにそう言われちゃやるしかないよな。
立向居はゴール前に移動して軽く屈伸運動をする。
シュートを打つのは一之瀬が買って出た。
「どんな技っスかねぇ」
「全国レベルに通用するか見てもらいたいんじゃないか?」
壁山と土門の会話を聴きながら、1人後方で腕を組んでほくそ笑む。
ふっふっふ、見て驚け。
「それじゃあ、行くよ!」
一之瀬が声をかければ、立向居は胸に手を当て大きく深呼吸をした。
「お願いします」
呼吸を整え終わった立向居は、真剣な眼差しで構えた。
「はあっ、」
一之瀬がシュートを打ち、ボールがゴールへ飛んでいく。
その目の前のボールに立向居は手のひらを突き出した。
ゴッドハンド
青く輝くゴッドハンドに一同驚愕していた。