脅威の侵略者編
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脅威にはならないから、放っておく。そう言ったヒロトは、それじゃあね、と一方的に別れを告げて、眩い光と共に消えていった。
彼と話した感じからして、私が先の未来を知っている事はあの人という人物から伝わっているようだが...だとしたら尚更不可解だ。
普通なら私が未来を変える気がないとしても、未来を知っているならその内容を聞いて自分たちの有利に繋がるようにするんじゃないか?
まるで、私が変える気のない未来では彼らにとっての不都合がないかのような...。何かおかしい。
私が知ってる未来と別の未来を、そのあの人って奴に聞かされている...?いや、だとしたらそのあの人ってのはなんでそんな事を?
『訳が分からない』
考えても結局何も分からずじまいだ。
下に見えるフィールド上でも、いつの間にかイプシロンが居なくなって試合が終わってしまっているし、とりあえずここから下に降りる道を探しに歩いた。
どうにかこうにか建物を降りて、外に出て走って、サッカーグラウンドの方に向かった。
『みんな!!』
雷門中と漫遊寺中の集まりが見えて叫べば、一斉に振り返った。
「水津!」
「お前!どこいってたんだよ!!」
染岡に怒鳴られて、慌ててごめんと謝る。
「そうですよ!洗剤1個買いに行くのに全く何処まで行ってるんですか」
「電話にも出ないから、どうかしたのかと思ったわ」
ネチネチと言う目金は無視して、心配したように言う秋ちゃんにも、ごめんね、と謝る。
『急いで戻りたかったんだけど、邪魔が入って』
そう言えば一同は邪魔?と首をかしげた。
『それが...、』
さて、なんて言い訳しようか。
『あー...』
ちらり、と鬼道を見ればどうした?というようにゴーグル越しに目が合った。
『...影山の名前を出して接触を図ってきた子がいてね』
「なっ、」
「影山だって!?」
雷門イレブン達がザワザワとする。
塔子ちゃんと吹雪や漫遊寺中の人たちも、少年サッカー協会の副会長が捕まったってニュースで名前くらいは知ってるだろうけど、置いてけぼりって顔をしている。
「あいつは今捕まってるだろ!?」
『そのはずだよね』
多分まだ、護送車が襲撃されて逃げ出したって情報は一般公開されてないはず。
『なのに、その名を出てきたのがいるんだよ』
「それで、お前大丈夫だったのかよ!?」
『うん。その場でどうしたんですか!?って大声だして助けてくれた男の子が居てね。それでソイツは走って逃げてったんだけど』
まあ大体嘘は言ってないし、信じてくれるかな。1番は黙ってじっとこっち見つめてくる瞳子さんに信じてもらいたいをだけどなぁ。
『それからとりあえず鬼瓦刑事に電話して、警察にソイツ探してもらってる』
「そうか...」
「とりあえず無事でよかったよ」
ほっとしたように皆、息をつく。
「なあ。その影山って奴、エイリア学園と関係があるのか?」
「え?なんでだ?」
塔子ちゃんの疑問に円堂が首を傾げる。
「だってこのタイミングで梅雨の足止めしようとしたって事は、試合に出させないようにするためだろ?」
「なるほど...」
『本当に影山が関係しているかは、分からないけど、私らが影山の名を出されたら足を止める事は分かってるみたいだったよ』
「......」
無言で鬼道が拳を握るのを土門が不安そうに見つめている。
「その子と言ったわね。貴女に接触したのは子供だったのかしら」
瞳子さんの質問に、ええと応える。
『みんなと変わらない中学生ぐらいの男の子でした』
「......。その子はどういう経緯で影山の名を出したの」
色々説明めんどくさいからぼかして言ったのになぁ...。結局話さなきゃか。
『えー、と。影山からの命令で連れてくるように言われたから大人しく着いてこい、って』
「お前それ誘拐されそうになってんじゃねーか!」
そう言う染岡に、うんと頷けば、お前なぁ、と呆れたように呟かれた。
「本当に影山の可能性があるな。総帥は、お前のことを気に入っていたしな」
『いや流石に今回の呼び出しは復讐じゃない?』
まあそれと、恐らく私が未来を知ってるって情報を得て、前にチートの話もしたから彼は確信を持っただろうし、それもあって確保したかったんじゃないかなぁ。
私が彼の立場なら確実に、未来の情報欲しいもの。だからこそ、ヒロトたちの方の行動が余計おかしいんだよなぁ...。
「とりあえず、しばらくの間水津さんに限らずみんな1人での行動は極力しないように。いいわね」
瞳子さんの命令に、今回ばかりは皆、はい、と大人しく返事をした。
「水津さん、響木さんたちにも連絡を入れたいから、キャラバンでもう少し詳しい話を聞かせて頂戴」
『はーい。あ、秋ちゃんこれ買ってきた洗剤ね。夏未ちゃん、領収は袋の中に一緒に入れてる』
秋ちゃんに洗剤の入ったビニール袋を手渡しする。
「みんなは、さっきの試合の疲れもあるでしょう。しっかり休息を取るように」
雷門イレブンたちにそう告げ、行くわよと言ってキャラバンの中に入る瞳子さんについて中に入る。
外の音が聞こえないようにキャラバンをドアを閉めれば、瞳子さんはそこに座ってと座席を指さし、通路を挟んだ反対の席に腰掛けた。
大人しく従って腰を座席に預ける。
「聞きたいことがあるわ」
だよね。だって試合の時にこっち見てたもんなぁ。
『なんでしょう』
「貴女を連れさろうとした少年は」
『ああ。モヒカン頭の子でしたよ。刺青も入っていて特徴的だったので、目撃情報があれば捕まるのも早いかと』
話の途中で割って話せば、瞳子さんはただ静かに、そう...、と頷いた。
『あの赤い髪の少年は、助けてくれた方の子、ですよ』
「...!」
『その事が聞きたくてわざわざ呼んだんですよね』
「気づいていたの。彼とは何を」
『言ったじゃないですか。彼が助けてくれたって。あそこまで連れて逃げてくれたんですよ。で、下見たらグラウンドで試合してるし』
ビックリですよ。そう言えば瞳子さんは黙ったままじっとこちらを見つめた。
いや、流石にこの言い訳は無理がありすぎたか。
それならどうして直ぐにグラウンドに戻って来なかったの?って話だ。
『嘘です。助けてくれたのは本当だけど、その後、試合に出るなと脅されました』
いたたまれなくなって本当の事を話せば、瞳子さんは溜息を吐いた。
「そう...。貴女が、前に言った異世界人と言うのは、宇宙人とは別と考えていいのよね」
『はい』
「分かったわ」
『嫌にあっさり受け入れますね?』
もっと、宇宙人と関わりがあるんだろうと責められるかと思ったが...。
『私が宇宙人側のスパイだとかは考えないんですか?』
「なくはない話だけれど、だとしたら貴女が私にベラベラと異世界から来ただなんだの言うのは軽率過ぎるわ。怪しすぎるもの」
そりゃあそうだ。普通に信用を勝ち取りに行く方がスパイ活動しやすいもんなぁ。
『そういう作戦の可能性もありますよ』
「だとしたら大成功ね」
そう言って瞳子さんはフッと笑って髪を払った。
「けれど、響木さんから貴女が怪しい動きをする時は子供たちの為だと聞いているわ」
『そんな高尚なことはしてないですよ。私のはただの保身だし』
だから何も変える気がないなんてヒロトにはっきりと言われてしまうんだろうし。
「それでも、私には貴女を信じるしかないのよ」
そう言って光のない瞳がじっと私を見つめるのだった。
試算中のくせに
純粋な雷門の子供たちですら信頼できていないのに私を信じてるわけないじゃん。
本音は言わず、そうですかと笑って返しておいた。