脅威の侵略者編
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『ふぁあ』
欠伸を1つ噛み締めながら、キャラバンのキッチンに立つ。
「梅雨ちゃん眠そうね?」
「全く。しっかりなさい。音無さんなんて朝から元気よ」
そう夏未ちゃんが言った春奈ちゃんはここには居ない。
漫遊寺中のサッカーコートを借りて、古株さんと木暮と明け方から何やらやっているようだ。昨日寝るの遅かった筈なのに本当元気だよね。
何本目になるか分からない卵焼きを巻き終えて、バットに移す。
業務用の大きいサイズの卵焼きフライパンだから数はできるが、重たいから肩痛いや。
全ての卵を巻き終えて、フライパンと溶いた卵を入れていたボウルや菜箸を流しに持っていく。
スポンジを手に取って、洗剤のボトルを逆さまにして押して、あれ?と首を傾げた。
シュコシュコという音と空気が出るだけで洗剤が出ない。
詰め替えないと、とキャラバンの荷台を開けて、ダンボールの中から洗剤類を探すが...。
『うーん、』
どう見てもない。
『秋ちゃーん!食器洗剤の予備見てない?』
「え?もしかしてない?」
『うん』
「前に詰め替えたので最後だったのかも」
「あら?まだあるとばかり...。食材のチェックばかり気にしてて、洗剤類はすっかり忘れてたわね」
『人数多いから洗い物多いしね。予定と狂う事あるよね』
しょうがない、と身につけていたエプロンを外す。
『私ちょっと、買いに走ってくるよ』
洗い物出来ないと困るし。
近くにコンビニかスーパーかあるでしょ。
そう思い漫遊寺中から飛び出した。
京都のコンビニ、擬態化してて地図見てなかったら分かんなくて通り過ぎてたわ。
良かった良かったと、近くにあったコンビニで食器用洗剤を買う。
「まいど、おおきに〜」
店員さんにそう言われながらドアを出れば、来た時よりも空が明らかに曇っている。
『...来たか』
「さっすが、水津梅雨チャン」
そう言って、建物の陰からモヒカン頭に赤い刺青...いやボディペイントかな後々消えるし、まあとにかく目立つ頭の少年が現れた。
ていうか、そっちかー...。そもそも漫遊寺中に現れたエイリア学園に対して言ったんだけどなぁ。
なんで名前知ってんだとかは、どうでもいい。とにかく関わりたくねぇー!!
そう思い、聞こえなかったフリをして歩き出す。
「オイオイオイ、無視は酷いんじゃねぇの、水津チャン」
そう言って大股で歩いて少年は私の前に回り込んだ。
『どちらさんか知りませんけど、どなたかとお間違えじゃありませんか?』
「その雷門ジャージ着といて違うわけないでしょうよ」
それを聞いて思わずチッ、と舌打ちすれば、少年はニヤリとわらった。
マネージャーの時のジャージ着てれば良かった。
「それにアンタが俺の事知らないわけないだろ」
そう言った少年の目は確信しているような力強いものだった。
ちょっと待て、私の事を知っているのは影山経由だと思ってたが、だとしたら私が不動の事を知っている事を知っているのはおかしい。稲妻町の河川敷出会ったヒロトがあの人と言ったのも勝手に影山だと思っていたが、そもそも影山にはチートみたいな物だとは言ったが、この先の事を知っているとは1度も言っていない筈だ。じゃあ...、あの人って
『誰だ?』
「オイオイ、まだとぼけんのかよ」
冷静に考えれば考えるほど、影山であるのはおかしいんだよな。
影山からなら、ヒロトに通る前にアイツを経由する筈だからそうなると、ヒロトの発言は父さんが言った通りじゃないとおかしい。それに、ヒロトの口からは私が別世界から来たという情報は出なかった。それこそ影山には伝えている情報だし...。つまり私が彼らのことを知っているって事を知る第三者がいるって事だ。
『.........』
もう頭こんがらがってきたんだけど。
「おい、アンタ、人の話聞いてんのか!?」
『え、ああ。まだ居たの』
そう言えば不動は顔を赤くしてハア?とキレた。
「なんでこんな訳わかんねぇ女、影山の奴は引き入れようとしてんだ!?」
『...そこはやっぱり影山なんだ』
ますます分かんないんだけど、とりあえず影山は勧誘役に不動選んだの間違いだと思うけどなぁ。
『影山さんに言われて来たの?』
「そう言ってんだろ!」
言ってたか?キレてたの間違いじゃ?
「とにかくアンタを連れて来いって命令だ。悪いが一緒に来てもらうぜ」
そう言って腕を掴んできた少年に、ちょっと待ってと声をかける。
「なんだよ」
『ちょっとでいいから待って』
そう言えば何故か腕から手を離して律儀に待ってくれた。
ジャージのポケットに手を突っ込んで、ポケット入っていた携帯を取って即耳に当てた。
『あっ、もしもし、警察ですか?』
「ハア?...はあ!????」
ぽかん、とした少年は慌てたように大声を出した。
そうすれば通りを歩いていた人たちの視線がこちらに向いた。
『漫遊寺中近くのコンビニの前で、不良に絡まれました。助けて下さーい!!』
大きな声でそう叫べば、少年はげっ、という顔をした。
「何事ですか?」
そう言って後ろから通行人のひとりが近寄って来た。勝った。
『実はこの人がしつこく絡んできて...』
そう言って、後ろを振り向いて、固まる。
「チッ、くそっ!!お前、覚えてろよ!!」
雑魚みたいな捨て台詞を吐いた少年はその場を去って行ったが、待ってくれそれどころじゃない。
まさかの助けに入ってくれたのは、赤い髪の顔色の悪い少年だった。
「やあ、久しぶり。水津梅雨さん」
《おい、どうした...?オイ!》
本当に繋いでいた警察、というか鬼瓦さんの声が、耳元の携帯から響く。
『モヒカン頭の怪しい少年に、連れ去られそうになりました。助けが入ったので無事でしたが、少年は影山の名を口にしました』
《何っ!?大丈夫だったか?》
はい、と電話越しに返事をする私を見て、ヒロトはニコニコと笑っている。
こっわ。
《直ぐに、その少年の事は追おう。モヒカン頭の他には特徴はあるか?》
『赤い刺青のようなものが頭にあって、つり目で格好は黄緑色の半袖の上に滅紫のタンクトップみたいなの着ててあと緑の半ズボンでした』
《分かった。まだそいつの仲間がいるかもしれん気をつけるんだぞ》
『はい』
ピッと通話終了ボタンを押す。
『...二度と来んなって言ったはずなんだけどなぁ』
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