脅威の侵略者編
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「吹雪!俺と勝負しようぜ!」
そう言えば吹雪は、勝負?と首を傾げた。
一緒にボール蹴ってみたら分かるでしょ。
水津のその言葉に、プレイで示してやると返した。だから、
「ああ。俺の特訓の成果をお前相手に試そうと思ってな!」
「つまり...、どっちが雷門のエースストライカーに相応しいか決めようって事かな」
売り言葉に買い言葉ではないが、そんな調子で返してきた吹雪に、そう思ってくれていいぜと伝えた。
ゲレンデからサッカーグラウンドの方に移動して、審判を買って出た円堂がセンターラインにボールを置いた。
「ルールは簡単だ。センターから2人でボールを蹴りあって先にゴールを決めた方の勝ちだ」
ルール説明を聞いて頷いていれば、背中をポンと叩かれた。
『頑張れ』
「おう。見てろ」
そう言えば水津はニカッと笑ってフィールドの外でギャラリーとして並ぶみんなの所に向かって行った。
よし、と気合いをひとつ入れセンターサークルの中に立てば、吹雪も隣に並んだ。
「用意...、始め!」
円堂の合図と共に目の前のボールに向かって走り出す。
一足先にスライディングで滑り込んで吹雪がボールを奪った。
そのままドリブルでかけていく吹雪を追いかける。
「雷門のストライカーをなめんなァ!!」
後ろからスライディングを仕掛ければ、吹雪は両足にボールを挟んで真上にジャンプした。
「ぴょんぴょん跳ばれんのは慣れてんだよ!」
水津と練習してきたからこそ、跳んで避けられた後の動きも身についている。
スライディングの為に伸ばした右足とは反対の折り畳まれた左足の傍に左手を置いて、腕の力で押し上げるようにして直ぐに立ち上がる。
水津ほどぴょんぴょん跳び回って移動するわけでもないし奇抜な行動をする訳でもない吹雪は、そのまま着地をして、走って逃げようとするので回り込んでボールへと足を伸ばす。
吹雪は足を止めてボールを守ろうとした。その隙をついて、今度は正面からスライディングを仕掛ければ、吹雪は地に転がった。
ボールを奪いそのままドリブルで駆け上がる。
「どうだ!」
振り返れば、吹雪はやるねと笑って首元のマフラーに手を触れた。
このままゴールに決めてやると、ドリブルで真っ直ぐ駆け上がれば、横から影が差した。
「やるじゃねぇか!正直舐めてたぜ。こうじゃなきゃ面白くねぇ!」
さっきまでのなよなよくんと打って変わって、荒々しい性格の吹雪が肩をぶつけてきた。
押し合った先に吹雪の足がボールを捕え、ゴールに向かってボールを蹴りあげた。
ボールはクロスバーに当たって跳ね返った。
それに俺よりも早く吹雪が駆け寄った。
「もらった!」
シュートの構えに入る吹雪を追いかける。
「行かせねぇぞ!」
追いかけて、追いついて、吹雪にチャージすれば、あっ、と吹雪はよろめいた。
「もらった!」
その間にボールを奪ってゴールに向かってシュートした。
ボールは真っ直ぐゴールに突き刺さった。
俺の勝ちだ!
「見たか!吹雪!」
拳を握って振り返れば、吹雪は呆然としたように地面に座り込んでこちらを見上げた。
そんな吹雪が何か反応する前に、周りで見ていたみんながフィールドの中に駆け寄ってきた。
「染岡!今のシュート足に物凄いパワーが集まってたぞ!」
そう言って円堂が詰め寄ってくる。
「あれも特訓の成果だよな!」
「ああ!手応えあったぜ!これで豪炎寺の分もやれる!」
スノーボードの特訓もサッカーの特訓も付き合ってもらったし、何より助言ももらったしな。
「水津、......」
礼くらい言ってやろうかと思ったら、水津はみんなのように俺の周りに集まっておらず、未だ地に腰つけたままの吹雪に手を差し伸べていた。
「...、」
「染岡?」
目の前の円堂が不思議な顔をして俺を見上げる。
結構な勢いでぶつかったし、心配性の水津なら、まず吹雪の所に行くのはいつもの事だし当然のはずだ。
それなのに、なんで...、こんなにイラつくんだ...?
水津は座ったままの吹雪の手を引いて立ち上げた後、その背に着いた土をトントンと叩いて落としてやっていた。
他の奴らにだって今まで散々やってきただろ。
吹雪だから、こんなにもムカつくのか...。
「染岡」
横から一之瀬にも声をかけられて、なんだ、と横目で見れば、意味深な顔で笑っていた。
「な、なんだよ」
思わず、引いて聞けば、一之瀬はううんと首を振った。
その横で何故か鬼道が俺と水津の方に目線を行ったり来たりさせて、なるほどな、と頷いた。
「水津!」
一之瀬が両手をメガホンのように丸めて、叫ぶ。
呼ばれた水津は、なに?と振り返って首を傾げている。
「染岡が拗ねてる」
「は、はあ!?」
何言ってんだコイツ!?
一之瀬を睨めば、小声でナイスパスでしょと笑っている。
何がナイスパスなんだよ!?
『なあに、どうしたの?』
先程まで構っていた吹雪を放っぽって、水津が傍に駆け寄ってきた。
「染岡が勝ったのに水津が構わないから拗ねてたんだよ」
「拗ねてねーよ!!」
『何それ、可愛いわね』
そう言って、くすくすと笑いだした水津を見て自分の顔が赤くなるのが分かった。
「可愛くはねぇだろ、可愛くは...」
『可愛いわよ。まあ、それは置いといて、ちゃんと成果出てたじゃない』
おう、と頷けば水津は今度は満足そうに笑った。
『おめでとう、
エースストライカー!
そう言ってバシッと力強く背を叩かれた。
痛えよ!と笑えば、水津も笑って誤魔化していた。